■今後の見通し
1. 2021年3月期の見通し
藤商事<6257>では、新型コロナウイルス感染症拡大による遊技機業界の影響を適正かつ合理的に見積もることが困難なことから、2021年3月期の業績計画については未定とし、先行きが見通せるようになった段階で公表する方針とした。4月に入って政府による緊急事態宣言が全都道府県に発令され、パチンコホールに対する営業自粛要請が出されたことで、多くのホールが休業を余儀なくされた。緊急事態宣言が解除され、営業を再開するホールも増えてくると予想されるが、最大市場である首都圏では引き続き営業自粛が求められることとなり、体力のないホールの淘汰が一段と加速する可能性もある。こうした厳しい市場環境を受けて2021年1月末に迫る新規則機の設置期限延長が認められたこともあり、2021年3月期における遊技機市場は見通し難い状況となっている。
売上高の先行きについては読みにくいものの、売上総利益率については、前期の52.4%から51%前後と若干低下する見通しとなっている。利益率の低下要因は、パチンコ機における本体販売の構成比率が前期の32%から上昇するためだ。本体販売はパネル販売(盤面およびサイドユニットの交換)と比べて部材費が多くなるため、販売単価が高くなる反面、売上総利益率は低下する。ただ、営業利益ベースへの影響はほとんどない。本体販売が増えるということは、その後のホールでの機種入れ替え時に、自社の後継機種の販売を行いやすくなるため、本体販売を拡大することがシェア拡大施策の1つとなっている。一方、販管費については人件費、研究開発費ともに前期並みの水準を見込んでおり、販売手数料や広告宣伝費などは新機種の投入や販売状況によって変動することになる。
(1) パチンコ遊技機
パチンコ機に関してはメインタイトルを複数投入する予定となっている。このうち、第1四半期はパチンコ機「Pリング 呪いの7日間2」の1機種を投入した。ただ、ホールの営業自粛が続くなかで、どの程度販売できるかは見通し難くなっている。
「Pリング 呪いの7日間2」については、ゲーム性を高める「遊タイム」機能を搭載した同社初の機種となり、開発方針もよりユーザー目線に立って、一から作り上げた機種となっていることから、その評価に注目が集まる。新規則機は射幸性を抑えられた結果、人気が低い傾向にあり、結果的に旧規則機から新規則機への移行が進まない要因ともなっていたが、2020年1月に「技術上の規格解釈基準」を改正して、時短モードに関する規制を緩和し、その1つが「遊タイム」と呼ばれる機能を搭載することが可能になった。具体的には、低確率中に一定の回転数に達した段階で、時短モードが作動するというもの。時短モードに入ることで、遊技者は一定回数分の大当たり抽選を、保有玉をほぼ減らすことなく行うことが可能となる。そのほかにも時短の作動回数の上限撤廃や、確変リミッター回数を2パターンまで搭載することが可能となるなど、技術的な規制が緩和されたことによって、従来よりもゲーム性を高めた機種の開発が可能となった。今回の改正によって、メーカーのアイデア次第でヒット機種が創出できる環境になったとも言え、同社にとってもシェア拡大の好機となる。4月よりこうした機種の発売が可能となっており、同社も今後発売する機種は「遊タイム」機能などを搭載していくことにしている。
また、前期に型式試験の適合に時間を要し、2機種の投入が遅れた反省から、今まで以上に型式試験の適合機種確保に努めるべく、JFJなど複数ブランドを活用した販売戦略を推進していく方針となっている。
(2) パチスロ遊技機
パチスロ機については稼働力向上に向けたスペック、ゲーム性の更なる追求に向け開発力の強化を進めていく。また、型式試験の適合機種確保によるラインナップを構築し、ホールの入れ替え需要に対応できる体制を整えていく。
(3) デジタルコンテンツ事業
スマートフォン用ゲームアプリの新作タイトルの開発を現在進めており、2020年後半のリリースを予定している。2016年に同事業に参入して以降、4作目となるが、今回の出来によってデジタルコンテンツ事業を継続していくかどうか判断するとしている。今作は、オリジナルIPによるキャラクターを生かした育成型ゲームで、RPGの要素も取り入れている。40代以上の男性を顧客ターゲットとしているようで、今後の動向が注目される。
その他、デジタルコンテンツ事業では提携先のサン電子を通じて、パチンコ機やパチスロ機の実機シミュレーションアプリを配信(1タイトル2千円)しており、同社はサン電子からロイヤルティ収入を得る格好となる。2020年3月までに「CR戦国†恋姫」「パチスロ リング 終焉ノ刻」「CRリング 終焉ノ刻」「CR 緋弾のアリアAA」「P 地獄少女四」の5タイトルをリリースしている。業績への影響は軽微だが、実機のゲーム性をアプリでも楽しめるほか、新規ユーザーがアプリを体験後にホールの実機で遊技する流れを作るなど、ファン層を拡大する取り組みの1つとして注目される。ダウンロード数は1タイトル当たり平均で約2万ダウンロードとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
1. 2021年3月期の見通し
藤商事<6257>では、新型コロナウイルス感染症拡大による遊技機業界の影響を適正かつ合理的に見積もることが困難なことから、2021年3月期の業績計画については未定とし、先行きが見通せるようになった段階で公表する方針とした。4月に入って政府による緊急事態宣言が全都道府県に発令され、パチンコホールに対する営業自粛要請が出されたことで、多くのホールが休業を余儀なくされた。緊急事態宣言が解除され、営業を再開するホールも増えてくると予想されるが、最大市場である首都圏では引き続き営業自粛が求められることとなり、体力のないホールの淘汰が一段と加速する可能性もある。こうした厳しい市場環境を受けて2021年1月末に迫る新規則機の設置期限延長が認められたこともあり、2021年3月期における遊技機市場は見通し難い状況となっている。
売上高の先行きについては読みにくいものの、売上総利益率については、前期の52.4%から51%前後と若干低下する見通しとなっている。利益率の低下要因は、パチンコ機における本体販売の構成比率が前期の32%から上昇するためだ。本体販売はパネル販売(盤面およびサイドユニットの交換)と比べて部材費が多くなるため、販売単価が高くなる反面、売上総利益率は低下する。ただ、営業利益ベースへの影響はほとんどない。本体販売が増えるということは、その後のホールでの機種入れ替え時に、自社の後継機種の販売を行いやすくなるため、本体販売を拡大することがシェア拡大施策の1つとなっている。一方、販管費については人件費、研究開発費ともに前期並みの水準を見込んでおり、販売手数料や広告宣伝費などは新機種の投入や販売状況によって変動することになる。
(1) パチンコ遊技機
パチンコ機に関してはメインタイトルを複数投入する予定となっている。このうち、第1四半期はパチンコ機「Pリング 呪いの7日間2」の1機種を投入した。ただ、ホールの営業自粛が続くなかで、どの程度販売できるかは見通し難くなっている。
「Pリング 呪いの7日間2」については、ゲーム性を高める「遊タイム」機能を搭載した同社初の機種となり、開発方針もよりユーザー目線に立って、一から作り上げた機種となっていることから、その評価に注目が集まる。新規則機は射幸性を抑えられた結果、人気が低い傾向にあり、結果的に旧規則機から新規則機への移行が進まない要因ともなっていたが、2020年1月に「技術上の規格解釈基準」を改正して、時短モードに関する規制を緩和し、その1つが「遊タイム」と呼ばれる機能を搭載することが可能になった。具体的には、低確率中に一定の回転数に達した段階で、時短モードが作動するというもの。時短モードに入ることで、遊技者は一定回数分の大当たり抽選を、保有玉をほぼ減らすことなく行うことが可能となる。そのほかにも時短の作動回数の上限撤廃や、確変リミッター回数を2パターンまで搭載することが可能となるなど、技術的な規制が緩和されたことによって、従来よりもゲーム性を高めた機種の開発が可能となった。今回の改正によって、メーカーのアイデア次第でヒット機種が創出できる環境になったとも言え、同社にとってもシェア拡大の好機となる。4月よりこうした機種の発売が可能となっており、同社も今後発売する機種は「遊タイム」機能などを搭載していくことにしている。
また、前期に型式試験の適合に時間を要し、2機種の投入が遅れた反省から、今まで以上に型式試験の適合機種確保に努めるべく、JFJなど複数ブランドを活用した販売戦略を推進していく方針となっている。
(2) パチスロ遊技機
パチスロ機については稼働力向上に向けたスペック、ゲーム性の更なる追求に向け開発力の強化を進めていく。また、型式試験の適合機種確保によるラインナップを構築し、ホールの入れ替え需要に対応できる体制を整えていく。
(3) デジタルコンテンツ事業
スマートフォン用ゲームアプリの新作タイトルの開発を現在進めており、2020年後半のリリースを予定している。2016年に同事業に参入して以降、4作目となるが、今回の出来によってデジタルコンテンツ事業を継続していくかどうか判断するとしている。今作は、オリジナルIPによるキャラクターを生かした育成型ゲームで、RPGの要素も取り入れている。40代以上の男性を顧客ターゲットとしているようで、今後の動向が注目される。
その他、デジタルコンテンツ事業では提携先のサン電子を通じて、パチンコ機やパチスロ機の実機シミュレーションアプリを配信(1タイトル2千円)しており、同社はサン電子からロイヤルティ収入を得る格好となる。2020年3月までに「CR戦国†恋姫」「パチスロ リング 終焉ノ刻」「CRリング 終焉ノ刻」「CR 緋弾のアリアAA」「P 地獄少女四」の5タイトルをリリースしている。業績への影響は軽微だが、実機のゲーム性をアプリでも楽しめるほか、新規ユーザーがアプリを体験後にホールの実機で遊技する流れを作るなど、ファン層を拡大する取り組みの1つとして注目される。ダウンロード数は1タイトル当たり平均で約2万ダウンロードとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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