■日経平均は今年初の5連騰を記録
前週の日経平均は3週連続の上昇となり、一時23000円に急接近した。5月29日の米国市場では、対中方針を巡る大統領会見が穏当に終わったことから、週開け6月1日の日経平均は堅調に始まった。ハイテク株を中心に買い戻され終値は2月26日以来となる22000円台を回復した。また、続伸したマザーズ指数が、大引けで2018年12月以来となる1000ポイントを回復した。米中対立に続き人種問題を巡る米国内抗議デモの激化が懸念されたものの、1日のNYダウは3営業日ぶりに反発。この流れを受けて2日の日経平均は一段高でスタートすると、前日比300円超上昇する場面もあった。海外投資家などによる買い戻しが断続的に入ったとみられ、出遅れている景気敏感株を中心に幅広い銘柄に買いが流入した。新型コロナウイルスの流行が鎮静化、経済活動の再開、ワクチン・治療薬の開発進展で先行きへの期待が増して2日のNYダウが続伸すると、3日の日経平均も3日続伸となった。中国の好調な経済指標や米国の5月経済指標が事前予想を上回ったことから経済回復への期待が高まり、3日のNYダウは前日比527.24ドル高と3日続伸。4日の東京市場もこの流れを好感して始まると、日経平均は一時22907.92円まで上昇した。しかし、2月21日以来となる節目の23000円を目前とした水準では高値警戒感から利益確定売りが出やすく、後場にマイナスに転じる場面もあった。だた、それでも大引けにかけては持ち直した。4日のNYダウは4日続伸ながら小幅上昇にとどまったことから、5日の東京市場は利益確定売りが先行し、日経平均は5日ぶりに反落スタート。だた、この日も後場に入ってから強含み上昇に転じた。日本時間5日夜に発表される米5月雇用統計が意識されたものの、欧州中央銀行の金融緩和や為替相場の円安推移が相場の下支え材料として働いた。結局、大引けの日経平均は前日比167.99円高の22863.73円と5日続伸した。5日のNYダウは829.16ドル高の27110.98ドルと大幅高をみた。注目された5月雇用統計は予想以上に速い雇用の回復を示したため、経済のV字型回復期待が高まり投資家心理の改善で買いが先行。トランプ大統領が給与税減税など一段の刺激策を要請していく方針を示したことも好感された。
■金融イベントなどが集中
今週の日経平均は、2月21日以来となる23000円回復をにらみ高値波乱となることが想定される。東京証券取引所が4日に発表した5月第4週(25−29日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物では2週間ぶりに小幅に売り越したものの、先物では大幅に買い越して、現物・先物の合計では2週連続の大量買い越しだった。海外投資家の買い戻しがほぼ一巡することが想定されるなか、需給の節目であるメジャーSQを境に相場のムードが変わる可能性がある。ここまでは、短期的な上昇幅が大きくテクニカル的な過熱感もあった。3日に日経平均と75日移動平均線との上方乖離は約11%まで拡大した。過去の経験則では75日線のプラス乖離10%以上は過熱数値である。一方、日銀のETF(上場投資信託)買いが5月15日から無いことが示すように相場トレンドは強く、5日線が下値サポートとなる基調は継続している。5日にかけての日経平均5日連続高は今年初だ。そのため、ここからは強気で構えつつも相場の急変には注意して臨む局面となってこよう。また、5日大引け後の米5月雇用統計は通過したが、9日のFOMC(連邦公開市場委員会)の他には10日にはパウエルFRB議長会見をはじめとした相場に影響の大きい金融イベントと経済指標の発表が集中している。FOMCでは政策が据え置かれて大きな変化はない模様で、経済指標についても大きな波乱は見込まれていないが、要人発言には注意を払う必要がある。また、こうした外部要因のほか東京市場の相場ムードを変える可能性があるのは、緊急事態宣言の再発動という国内要因だろう。東京都で再び感染者の増加が顕著となってくると、手控えムードが増しリスクオフの展開に切り替わる懸念がある。
■循環物色のほか改めて新興市場にも注目か
物色的には引き続き、ハイテク関連のグロース株と景気敏感のバリュー株を循環物色する流れが想定される。ただ、メジャーSQ前後で物色動向が変わる可能性もある。10日は島津製作所<7701>がPCR検査事業を開始することから、感染対策関連に再び関心が向く可能性もあろう。このほか、1000ポイントの大台を回復したマザーズ指数はその後一服しているものの、IPO市場ではブックビルディングが始まることから、中小型株に物色意欲が再度高まってくる期待も膨らむ。11日にステムリム<4599>、12日にスマレジ<4431>、モルフォ<3653>といったマザーズ銘柄が決算発表を行うこともポイントだ。
■FOMC、米中消費者物価、メジャーSQ
今週の主な国内スケジュールは、8日に1-3月期GDP確報値、5月景気ウォッチャー調査、9日に、5月工作機械受注、10日に5月国内企業物価指数、4月機械受注、11日に4-6月期景気予測調査、トヨタ自動車が株主総会、12日にメジャーSQが予定されている。一方、海外では、9日にFOMC、ユーロ圏1-3月期GDP確報値、OPEC定例総会、10日に米5月消費者物価、パウエルFRB議長会見、中国5月消費者物価、OECD経済見通し発表、11日に米5月生産者物価、12日に米5月輸出入物価、米6月ミシガン大学消費者マインド指数がそれぞれ予定されている。
<FA>
前週の日経平均は3週連続の上昇となり、一時23000円に急接近した。5月29日の米国市場では、対中方針を巡る大統領会見が穏当に終わったことから、週開け6月1日の日経平均は堅調に始まった。ハイテク株を中心に買い戻され終値は2月26日以来となる22000円台を回復した。また、続伸したマザーズ指数が、大引けで2018年12月以来となる1000ポイントを回復した。米中対立に続き人種問題を巡る米国内抗議デモの激化が懸念されたものの、1日のNYダウは3営業日ぶりに反発。この流れを受けて2日の日経平均は一段高でスタートすると、前日比300円超上昇する場面もあった。海外投資家などによる買い戻しが断続的に入ったとみられ、出遅れている景気敏感株を中心に幅広い銘柄に買いが流入した。新型コロナウイルスの流行が鎮静化、経済活動の再開、ワクチン・治療薬の開発進展で先行きへの期待が増して2日のNYダウが続伸すると、3日の日経平均も3日続伸となった。中国の好調な経済指標や米国の5月経済指標が事前予想を上回ったことから経済回復への期待が高まり、3日のNYダウは前日比527.24ドル高と3日続伸。4日の東京市場もこの流れを好感して始まると、日経平均は一時22907.92円まで上昇した。しかし、2月21日以来となる節目の23000円を目前とした水準では高値警戒感から利益確定売りが出やすく、後場にマイナスに転じる場面もあった。だた、それでも大引けにかけては持ち直した。4日のNYダウは4日続伸ながら小幅上昇にとどまったことから、5日の東京市場は利益確定売りが先行し、日経平均は5日ぶりに反落スタート。だた、この日も後場に入ってから強含み上昇に転じた。日本時間5日夜に発表される米5月雇用統計が意識されたものの、欧州中央銀行の金融緩和や為替相場の円安推移が相場の下支え材料として働いた。結局、大引けの日経平均は前日比167.99円高の22863.73円と5日続伸した。5日のNYダウは829.16ドル高の27110.98ドルと大幅高をみた。注目された5月雇用統計は予想以上に速い雇用の回復を示したため、経済のV字型回復期待が高まり投資家心理の改善で買いが先行。トランプ大統領が給与税減税など一段の刺激策を要請していく方針を示したことも好感された。
■金融イベントなどが集中
今週の日経平均は、2月21日以来となる23000円回復をにらみ高値波乱となることが想定される。東京証券取引所が4日に発表した5月第4週(25−29日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物では2週間ぶりに小幅に売り越したものの、先物では大幅に買い越して、現物・先物の合計では2週連続の大量買い越しだった。海外投資家の買い戻しがほぼ一巡することが想定されるなか、需給の節目であるメジャーSQを境に相場のムードが変わる可能性がある。ここまでは、短期的な上昇幅が大きくテクニカル的な過熱感もあった。3日に日経平均と75日移動平均線との上方乖離は約11%まで拡大した。過去の経験則では75日線のプラス乖離10%以上は過熱数値である。一方、日銀のETF(上場投資信託)買いが5月15日から無いことが示すように相場トレンドは強く、5日線が下値サポートとなる基調は継続している。5日にかけての日経平均5日連続高は今年初だ。そのため、ここからは強気で構えつつも相場の急変には注意して臨む局面となってこよう。また、5日大引け後の米5月雇用統計は通過したが、9日のFOMC(連邦公開市場委員会)の他には10日にはパウエルFRB議長会見をはじめとした相場に影響の大きい金融イベントと経済指標の発表が集中している。FOMCでは政策が据え置かれて大きな変化はない模様で、経済指標についても大きな波乱は見込まれていないが、要人発言には注意を払う必要がある。また、こうした外部要因のほか東京市場の相場ムードを変える可能性があるのは、緊急事態宣言の再発動という国内要因だろう。東京都で再び感染者の増加が顕著となってくると、手控えムードが増しリスクオフの展開に切り替わる懸念がある。
■循環物色のほか改めて新興市場にも注目か
物色的には引き続き、ハイテク関連のグロース株と景気敏感のバリュー株を循環物色する流れが想定される。ただ、メジャーSQ前後で物色動向が変わる可能性もある。10日は島津製作所<7701>がPCR検査事業を開始することから、感染対策関連に再び関心が向く可能性もあろう。このほか、1000ポイントの大台を回復したマザーズ指数はその後一服しているものの、IPO市場ではブックビルディングが始まることから、中小型株に物色意欲が再度高まってくる期待も膨らむ。11日にステムリム<4599>、12日にスマレジ<4431>、モルフォ<3653>といったマザーズ銘柄が決算発表を行うこともポイントだ。
■FOMC、米中消費者物価、メジャーSQ
今週の主な国内スケジュールは、8日に1-3月期GDP確報値、5月景気ウォッチャー調査、9日に、5月工作機械受注、10日に5月国内企業物価指数、4月機械受注、11日に4-6月期景気予測調査、トヨタ自動車が株主総会、12日にメジャーSQが予定されている。一方、海外では、9日にFOMC、ユーロ圏1-3月期GDP確報値、OPEC定例総会、10日に米5月消費者物価、パウエルFRB議長会見、中国5月消費者物価、OECD経済見通し発表、11日に米5月生産者物価、12日に米5月輸出入物価、米6月ミシガン大学消費者マインド指数がそれぞれ予定されている。
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