明日の株式相場戦略=騰落レシオ注目、逆張り戦略に徹する
イソップ童話の狼少年ではないが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が世界株市場を揺るがすというシナリオについては、地理的に離れた欧米機関投資家にとっては高を括っていた部分もあったが、今回は本当にオオカミがやって来てしまった感がある。3連休明け25日の東京株式市場では日経平均が一時1000円を超える下落をみせ、2万3000円台を大きく下に抜け、2万2000円ラインの攻防まで意識させるほどの暴落を余儀なくされた。前日の欧米株急落で発生したリスクオフの大波が東京市場を直撃、東証1部では大引け時点で値下がり銘柄数が2100を上回り、実に99%の銘柄が下落するという記録的な全面安商状に遭遇する羽目となった。
欧州や中東で感染者数が急増したことが確認され、このタイミングで頼みの綱であった米国でも2月の総合購買担当者景況感指数(PMI)の速報値が好不況の分水嶺である50を下回り、6年4カ月ぶりの低水準に落ち込んだことが世界同時株安のスイッチを入れた。日本では既に19年10~12月GDPが1年3カ月ぶりのマイナス成長に陥り、1~3月期も新型肺炎の影響で2四半期連続のマイナスがほぼ確実となっている状況にある。リセッションが強く意識されるなか、海外マネーの欧米株高によるリスク許容度拡大という拠りどころを失った場合、日本株は厳しい北風に晒される。アルゴリズムの売り仕掛けにとどまらず、海外投資家による実需の売り圧力が生じるのは回避しにくい。
安倍首相は自民総裁4期目を強く否定しているというが、「次がイメージできない」(国内ネット証券ストラテジスト)という指摘もある。自民党が政権を維持するうえで、ここで音無しの構えというわけにもいかないはず。例えば消費税の引き下げといったサプライズを伴う景気対策や日銀の国債買い入れなど量的緩和策の強化が政策アナウンスとして出てくることをマーケットは期待するよりない。
新型肺炎関連で半ばマネーゲーム的に買われていた銘柄にも跛行色が出ている。これまで全体リスク回避相場に逆行して問答無用に買われていたツートップ銘柄の川本産業<3604.T>、中京医薬品<4558.T>の値動きに目先気迷いが生じているのもそれを象徴する。このほか、マナック<4364.T>やアゼアス<3161.T>、昭和化学工業<4990.T>なども朝方は高くスタートしてもその後は利益確定を急ぐ動きに凌駕されており、こうしたケースも多くなってきた。株式市場ではどんなに爆発的な人気を博しても、ファンダメンタルズではなくモメンタムで買われている場合は、時間軸が進むにつれ飽きられる瞬間が必ず来る。収益が本当に様変わりするのであれば話は別だが、継続人気の条件としてそこら辺の現実的な目線も必要になってくる。
一方、テレワーク周辺など相場の若い銘柄に投資資金が流れ込んでいる。映像などで遠隔地を結ぶコミュニケーションサービスを提供するブイキューブ<3681.T>が3日連続のストップ高を演じるなど異彩を放っている。また、新型肺炎とは離れた位置でマイナス影響を受けにくい成長株として、人工知能(AI)関連の新星銘柄ニューテック<6734.T>が独歩高と気を吐いた。巣ごもり消費関連の一角でもあるエクストリーム<6033.T>もひと頃の勢いは止まったものの、きょうは大幅安でスタートした後下げ幅を縮小し大陽線で着地するしぶとさを見せ、今後の相場に期待を残している。とはいえ、今の相場でほんの一握りの勝ち組銘柄を探すのは容易ではないことも事実だ。ここから、もう一段の押し目があった場合に、目先リバウンド狙いで日本サード・パーティ<2488.T>、リスクモンスター<3768.T>、昭和真空<6384.T>、天昇電気工業<6776.T>、エノモト<6928.T>などを候補として挙げておきたい。
前週に、キャッシュポジションを高め急落局面に遭遇した時に買い向かう余裕を持つべきと主張したが、国内での感染者数拡大が続く現状にあって、今がまだそのチャンスとは言い切れない。ただし、株価は悪材料を織り込む段階でも常に実態に先行する。一つの目安としては騰落レシオが参考になる。東証1部の騰落レシオはきょうの大引け時点で68.8%と遂に70%を下回った。これは、2019年1月以来のことで、極めてイレギュラーな状態に置かれていることは認識しておくべきだ。ちなみに前回は、そこが陰の極となり同年2月初旬には133%まで急回復している。
日程面では、あすは1月の全国スーパー売上高の発表が予定される。海外では1月の米新築住宅販売件数など。また、米5年物国債の入札がある。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
欧州や中東で感染者数が急増したことが確認され、このタイミングで頼みの綱であった米国でも2月の総合購買担当者景況感指数(PMI)の速報値が好不況の分水嶺である50を下回り、6年4カ月ぶりの低水準に落ち込んだことが世界同時株安のスイッチを入れた。日本では既に19年10~12月GDPが1年3カ月ぶりのマイナス成長に陥り、1~3月期も新型肺炎の影響で2四半期連続のマイナスがほぼ確実となっている状況にある。リセッションが強く意識されるなか、海外マネーの欧米株高によるリスク許容度拡大という拠りどころを失った場合、日本株は厳しい北風に晒される。アルゴリズムの売り仕掛けにとどまらず、海外投資家による実需の売り圧力が生じるのは回避しにくい。
安倍首相は自民総裁4期目を強く否定しているというが、「次がイメージできない」(国内ネット証券ストラテジスト)という指摘もある。自民党が政権を維持するうえで、ここで音無しの構えというわけにもいかないはず。例えば消費税の引き下げといったサプライズを伴う景気対策や日銀の国債買い入れなど量的緩和策の強化が政策アナウンスとして出てくることをマーケットは期待するよりない。
新型肺炎関連で半ばマネーゲーム的に買われていた銘柄にも跛行色が出ている。これまで全体リスク回避相場に逆行して問答無用に買われていたツートップ銘柄の川本産業<3604.T>、中京医薬品<4558.T>の値動きに目先気迷いが生じているのもそれを象徴する。このほか、マナック<4364.T>やアゼアス<3161.T>、昭和化学工業<4990.T>なども朝方は高くスタートしてもその後は利益確定を急ぐ動きに凌駕されており、こうしたケースも多くなってきた。株式市場ではどんなに爆発的な人気を博しても、ファンダメンタルズではなくモメンタムで買われている場合は、時間軸が進むにつれ飽きられる瞬間が必ず来る。収益が本当に様変わりするのであれば話は別だが、継続人気の条件としてそこら辺の現実的な目線も必要になってくる。
一方、テレワーク周辺など相場の若い銘柄に投資資金が流れ込んでいる。映像などで遠隔地を結ぶコミュニケーションサービスを提供するブイキューブ<3681.T>が3日連続のストップ高を演じるなど異彩を放っている。また、新型肺炎とは離れた位置でマイナス影響を受けにくい成長株として、人工知能(AI)関連の新星銘柄ニューテック<6734.T>が独歩高と気を吐いた。巣ごもり消費関連の一角でもあるエクストリーム<6033.T>もひと頃の勢いは止まったものの、きょうは大幅安でスタートした後下げ幅を縮小し大陽線で着地するしぶとさを見せ、今後の相場に期待を残している。とはいえ、今の相場でほんの一握りの勝ち組銘柄を探すのは容易ではないことも事実だ。ここから、もう一段の押し目があった場合に、目先リバウンド狙いで日本サード・パーティ<2488.T>、リスクモンスター<3768.T>、昭和真空<6384.T>、天昇電気工業<6776.T>、エノモト<6928.T>などを候補として挙げておきたい。
前週に、キャッシュポジションを高め急落局面に遭遇した時に買い向かう余裕を持つべきと主張したが、国内での感染者数拡大が続く現状にあって、今がまだそのチャンスとは言い切れない。ただし、株価は悪材料を織り込む段階でも常に実態に先行する。一つの目安としては騰落レシオが参考になる。東証1部の騰落レシオはきょうの大引け時点で68.8%と遂に70%を下回った。これは、2019年1月以来のことで、極めてイレギュラーな状態に置かれていることは認識しておくべきだ。ちなみに前回は、そこが陰の極となり同年2月初旬には133%まで急回復している。
日程面では、あすは1月の全国スーパー売上高の発表が予定される。海外では1月の米新築住宅販売件数など。また、米5年物国債の入札がある。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
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