―1年に一つ、大化け株を発掘しよう!―
日本の株式市場は2018年12月、 日経平均株価が一時1万8948円まで売られ、前月比で2336円下落するなど厳しい地合いを強いられました。一方、2019年12月は日経平均株価が17日に2万4091円まで上昇し、アベノミクス相場の最高値2万4448円(2018年10月)に迫るなど、前年と打って変わって好調な地合いとなっています(2019年12月27日現在)。
日経平均株価は日本経済新聞社が東証一部に上場している銘柄のなかから選定した225銘柄で構成される株価指数で、日本を代表する多くの大型株が採用されています。そのため、大型株の多くにとって、2019年は指数の上昇に伴って堅調な地合いが続いた一年だったといえるでしょう。(参考:日経平均プロフィル 構成銘柄一覧:日経平均株価)
一方、 東証マザーズ指数は2018年1月に1367ポイントの高値をつけた後は下落基調が続き、日経平均株価が右肩上がりの上昇を続けるなかで、ここへきてようやく下げ止まりの気配が出てきたという状況です。多くの個人投資家が好んで取引する新興市場銘柄は東証マザーズ市場に上場している場合も多いので、株式市場が高値圏にあるにも関わらず盛り上がりに欠けているのは、新興市場の低迷が要因の一つになっているといえるかもしれません。
とはいえ、停滞ムードが長く続いている新興市場であっても、なかには株価が大幅に上昇している銘柄があることも事実です。たとえば、東証マザーズ市場ではホープ <6195> [東証M]やレアジョブ <6096> [東証M]、JASDAQ市場ではAKIBA <6840> [JQ]など、株価が大きく上昇するスター級の銘柄が2019年に登場しました。
このような成長株はどうすれば発掘することができるのでしょうか?
◆法則1:有望成長株は安定して業績好調な場合が多い
有望成長株の基本は、業績が数年にわたって良好な銘柄である可能性が高いという点にあります。株価は内閣府の景気動向指数では先行系列に分類されており、実際の景気に先行して動く景気先行指数に位置づけられています(参考:内閣府 景気動向指数・個別系列の概要)。
ですから、現在の業績に対して足元の株価が高いのか、それとも安いのかという点を評価しているわけではありません。現在の株価からさらなる成長を今後見込むことができるのかを評価しているのであり、その成長余地が大きければ大きいほど大化けが狙える有望成長株となるのです。
もちろん、業績が低迷している銘柄でも、思惑や憶測などで株価が上昇する場合もあります。しかし、株価の上昇に業績がついてくることができなければ、特定の投資家たちによって意図的に株価を吊り上げられた仕手株にしかなり得ず、株価は元の水準(またはそれ以下)に戻ってしまうことでしょう。
つまり、株価が上昇したとしても、その後の決算で業績が良好になれば、割高にみえた株価は伸びた業績に見合った適正な水準として評価されるため、割高だった株価を維持することができます。しかし、業績が低迷したままであれば、上昇した株価は業績に比べて割高と判断されることになりますので、いずれ叩き売られる可能性が高いというわけです。重要なポイントは、株価が上昇した時に、業績面からみてその上昇した株価を妥当もしくは割安な水準だと考えることができるのか、それとも株価は割高だと捉えられてしまうのか、という視点です。
とはいえ、短期で急騰して話題になる銘柄のなかには、有望成長株に変化を遂げる銘柄ももちろん存在します。その一方で、思惑だけで終わってしまい、結局は元の株価に戻ってしまう銘柄もあります。最初のきっかけは思惑や決算発表などさまざまですが、結論として有望成長株になれるかどうかは、安定的に好業績を維持し、継続的に買われるだけの実力を持っている銘柄であるかにかかっています。
では、何を参考にすれば、安定的に好業績を維持できる企業なのか、見分けることができるのでしょうか?
有望成長株を探すうえで私たちがすべきことは、業績好調を維持できる実力があるかを分析するために、決算短信や決算説明資料といった個人投資家に向けて会社側が発表する資料を一通り念入りに読む必要があります。
具体的には、決算短信などに記載されている数字を一つひとつ確認し、過去から現在、現在から将来に向けて業績が順調に推移しているかを確認しましょう。面倒に感じられるかもしれませんが、地味な作業を積み上げること以外に、今後の業績や株価の行方を分析することはできないでしょう。
◆法則2:有望成長株は上昇トレンドのチャートが多い
しかし、業績が好調だからと言って、株価がすぐに上昇するわけではありません。有望成長株を探す時の二つ目のポイントは、株価が好業績をすでに織り込んでしまっているのか、それともまだ織り込んでいないのかを確認するために、チャートを使って株価と業績の水準を分析することです。
業績をこれから織り込む場合は、株価は値上がりすることになります。どのようなチャートを形成するのかと言えば、株価は上昇基調で推移する可能性が高くなります。つまり、株価が上昇トレンドを形成しているのか、それとも下降トレンドなのか、足元の株価の動向を分析しなければならないのです。
株価が上昇トレンドを形成している銘柄、もしくは新高値をつけてこれから上昇トレンドを形成しようとしている銘柄は、株価を上昇させるだけの実力を持っている可能性がある、つまり業績が大きく変貌を遂げる“ビッグチェンジ銘柄”になる可能性を持っていると考えることができるのです。
では、何を参考にすれば、ビッグチェンジする実力を持った銘柄なのかを、チャートで見分けることができるのでしょうか?
有望成長株を探すために私たち個人投資家がすべきことは、出来高や売買代金が増加したり、前日高値もしくは新高値を更新するといった現象の出現を、投資家の注目が集まっている銘柄を中心に、チャートで一つ一つ確認していくことです。
たとえば、高値更新銘柄の場合、オシレーター系のテクニカル指標では買われすぎの状態になっていることが多くあります。買われすぎのタイミングで株を買うと、高値掴みになる可能性も正直あります。こうした場合、短期的な急騰なのか、それとも本物の上昇なのかをチャートで分析するためには、出来高が急増し始めるタイミングを逃さないようにすることです。
これが私がおススメしている代表的な投資手法の一つである「有望成長株に乗るためのトレンドフォロー戦略のピコ投資」になります。(「ピコ投資」についてはこちらの記事を参考にしてください:「横山利香“ピコ流” テーマ&チャートで狙う高成長株」)
◆法則3:有望成長株はあなたのそばに!
「法則1」では業績、「法則2」ではチャートの観点から、有望成長株を探す方法をご紹介しました。1年間という時間軸で見ると、株価が2倍、3倍、なかには5倍、10倍と大化けする有望成長株も誕生する場合があります。しかし、買う銘柄がすべて成長株になることは難しいですから、実際には一つでも有望成長株を見つけることができればよいでしょう。
「法則1」、「法則2」は株式投資のテクニックの部分ですが、有望成長株の本質は多くの人に支持される身近な銘柄から誕生することが多いという点です。
具体的な銘柄でみていきましょう。いまでは大人も子供も見ている「YouTube(ユーチューブ)」という動画配信アプリがあります。そして、多くの有名ユーチューバーが、ネットのYouTubeの世界から地上波テレビという既存メディアの世界にまで進出を果たすようになっています。このYouTubeに動画を投稿しているユーチューバーの制作サポート事業などを展開しているのがUUUM <3990> [東証M]です。UUUMの株価は2018年夏から2019年新春にかけて、1500円程度から6870円の高値まで駆け上がりました。4倍以上も株価は値上がりしたのです。
また、「大学入試改革」「小・中・高の新学習指導要領」「英語教育改革」によって、小学校や中学校、高校の英語教育がグローバル人材の育成を目指して“話せる英語”に重点がおかれる状況になり、英語の検定制度も変化の時を迎えています。2019年には、オンライン英会話の老舗であるレアジョブ <6096> [東証M]の株価は、年初の300円程度から3145円まで10倍以上にまで駆け上がりました。いわゆるテンバガー銘柄です。
これらの銘柄を見てみると、有望成長株は私たちの身の回りに潜んでいるということがわかるのではないでしょうか。
もちろん、この他にも多くの有望成長株がこの1~2年の間に誕生しています。過去にどのような銘柄が有望成長株として大化けしたのか参考にしてみてもおもしろいでしょう。ただ、すべての有望成長株を発掘することは難しいのですから、1年に一つ、私たちの身の回りに眠っている有望成長株を探すことができれば十分でしょう。
2020年の有望銘柄も、あなたの身の回りから誕生するかもしれませんから、周囲にアンテナを張り巡らせてみてくださいね!
2019年12月27日 記
●横山利香(よこやま りか)
ファイナンシャルプランナー、国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。投資・マネー雑誌を中心に執筆・講演活動・勉強会を開催。会社四季報ONLINEで「横山利香のスイングトレード日記」を連載。公式ホームページで、投資ブログ、無料メルマガ、おしらせを掲載。
★元日~6日に、2020年「新春特集」を一挙、“26本”配信します。ご期待ください。
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6096
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364.0
(12/30)
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+11.0
(+3.11%)
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6195
|
197.0
(12/30)
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+3.0
(+1.54%)
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6840
|
239.0
(12/30)
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