明日の株式相場戦略=“マクアケ効果”で直近IPOに攻勢
きょう(19日)の東京株式市場は前日に続いて売り優勢の地合いで、日経平均株価は続落となった。ただ、下げ幅は70円程度と限定的だった。前日と合わせても200円あまりの下げで大勢上昇トレンドにおける小休止と受け止めてよさそうだ。また5分足チャートでみると、日経平均は前日(18日)の寄り付きから2日間にわたり一貫して下値を切り下げてきたが、きょうの前場後半(午前11時頃)からは2万3800円台でもみ合いに転じており、目先下げ渋る動きとなっている。明日の値動きは今晩の米国株次第とはいえ、自然体で切り返すタイミングは近いとみられる。
今回の日銀の金融政策決定会合については注目度が低く、ほとんど全体相場に与える影響はみられなかった。ただ、一点だけ気になる点としては、日銀が保有するETFを市場参加者に貸し出す制度を導入すると発表したこと。方針としてかねてから表明していたことではあるが、これが貸株調達に伴う機関投資家の空売りを助長するのではないかという警戒感も一部にはあった。しかし、黒田総裁の主張としては元来流動性が低いETFを、今回の措置によってマーケットメーカーが価格形成しやすくする狙いであり、純粋に流動性を高めるという観点からはポジティブ材料となる。日銀にとっては貸株料が入ってくるというメリットがあり、実際はこれが本音の部分かもしれないが、いずれにせよ貸し出すのはあくまでETFであって個別企業の株式を貸し出すわけではなく、相場の波乱要因の火種とはならないという認識でよさそうだ。
個別株に目を向けると、個人のデイトレーダーが活発に参戦している銘柄は値動きの大きい直近IPOの一角だ。国内ネット証券大手の売買動向では、BuySell Technologies<7685.T>、フリー<4478.T>、JTOWER<4485.T>などが人気。今月11日に上場したマクアケ<4479.T>の鮮烈な上値指向が、この流れを作っている。テーマ買いとか成長株を買うといった動きとは少し距離を置いた需給重視の投資だが、決して邪道ということはなく、これも個別株戦略の一形態であり、年の瀬が押し迫った慌ただしい今の地合いにマッチしている。
一方、テーマ買いの動きも健在。半導体関連の中小型株物色の波が一段と広がりをみせてきた。着地が近づく今期業績よりも来期の回復期待を買うモードに変わってきたことが、ここ最近の株価の動きに映し出されている。
5G関連投資の恩恵などがロジックなど非メモリー分野の市況回復に結実しているが、遅れていたメモリー市況の回復も徐々にではあるが見えてきた。米中貿易摩擦はとりあえず休戦局面を迎えており、来年は中国のメモリー投資拡大が製造装置市場の伸びに貢献するとの見方が強い。東京エレクトロン<8035.T>は最高値更新後、直近開けたマドを埋めにいく展開となっているが、アドバンテスト<6857.T>などは強調展開を続けており、全体観として来年に上値への期待を残しているとみてよさそうだ。そして、半導体市況回復の恩恵は時価総額の小さい銘柄にもあまねく波及する。今はまだその初期にある。ミナトホールディングス<6862.T>、浜井産業<6131.T>、アドテック プラズマ テクノロジー<6668.T>、和井田製作所<6158.T>などが上値指向をみせており、引き続き注目。
半導体関連以外では、順張り対象として国土強靱化関連で建機販売を手掛ける前田製作所<6281.T>、逆張り対象では就職苦戦層を対象とした人材紹介事業を手掛けるジェイック<7073.T>などに着目してみたい。
日程面では、あすは11月の全国CPI(消費者物価指数)が朝方取引開始前に発表されるほか、午後には11月の食品スーパー売上高、11月の全国百貨店売上高、11月の主要コンビニエンスストア売上高などが順次発表される。また年末IPOラッシュが続くなか、あすはマザーズ市場にスペースマーケット<4487.T>、INCLUSIVE<7078.T>の2社が新規上場する。海外では、米国で経済指標の発表が相次ぐ。7~9月の米GDP確報値、11月の米個人所得・個人支出、12月の米消費者態度指数確報値(ミシガン大学調査)などが予定されている。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
今回の日銀の金融政策決定会合については注目度が低く、ほとんど全体相場に与える影響はみられなかった。ただ、一点だけ気になる点としては、日銀が保有するETFを市場参加者に貸し出す制度を導入すると発表したこと。方針としてかねてから表明していたことではあるが、これが貸株調達に伴う機関投資家の空売りを助長するのではないかという警戒感も一部にはあった。しかし、黒田総裁の主張としては元来流動性が低いETFを、今回の措置によってマーケットメーカーが価格形成しやすくする狙いであり、純粋に流動性を高めるという観点からはポジティブ材料となる。日銀にとっては貸株料が入ってくるというメリットがあり、実際はこれが本音の部分かもしれないが、いずれにせよ貸し出すのはあくまでETFであって個別企業の株式を貸し出すわけではなく、相場の波乱要因の火種とはならないという認識でよさそうだ。
個別株に目を向けると、個人のデイトレーダーが活発に参戦している銘柄は値動きの大きい直近IPOの一角だ。国内ネット証券大手の売買動向では、BuySell Technologies<7685.T>、フリー<4478.T>、JTOWER<4485.T>などが人気。今月11日に上場したマクアケ<4479.T>の鮮烈な上値指向が、この流れを作っている。テーマ買いとか成長株を買うといった動きとは少し距離を置いた需給重視の投資だが、決して邪道ということはなく、これも個別株戦略の一形態であり、年の瀬が押し迫った慌ただしい今の地合いにマッチしている。
一方、テーマ買いの動きも健在。半導体関連の中小型株物色の波が一段と広がりをみせてきた。着地が近づく今期業績よりも来期の回復期待を買うモードに変わってきたことが、ここ最近の株価の動きに映し出されている。
5G関連投資の恩恵などがロジックなど非メモリー分野の市況回復に結実しているが、遅れていたメモリー市況の回復も徐々にではあるが見えてきた。米中貿易摩擦はとりあえず休戦局面を迎えており、来年は中国のメモリー投資拡大が製造装置市場の伸びに貢献するとの見方が強い。東京エレクトロン<8035.T>は最高値更新後、直近開けたマドを埋めにいく展開となっているが、アドバンテスト<6857.T>などは強調展開を続けており、全体観として来年に上値への期待を残しているとみてよさそうだ。そして、半導体市況回復の恩恵は時価総額の小さい銘柄にもあまねく波及する。今はまだその初期にある。ミナトホールディングス<6862.T>、浜井産業<6131.T>、アドテック プラズマ テクノロジー<6668.T>、和井田製作所<6158.T>などが上値指向をみせており、引き続き注目。
半導体関連以外では、順張り対象として国土強靱化関連で建機販売を手掛ける前田製作所<6281.T>、逆張り対象では就職苦戦層を対象とした人材紹介事業を手掛けるジェイック<7073.T>などに着目してみたい。
日程面では、あすは11月の全国CPI(消費者物価指数)が朝方取引開始前に発表されるほか、午後には11月の食品スーパー売上高、11月の全国百貨店売上高、11月の主要コンビニエンスストア売上高などが順次発表される。また年末IPOラッシュが続くなか、あすはマザーズ市場にスペースマーケット<4487.T>、INCLUSIVE<7078.T>の2社が新規上場する。海外では、米国で経済指標の発表が相次ぐ。7~9月の米GDP確報値、11月の米個人所得・個人支出、12月の米消費者態度指数確報値(ミシガン大学調査)などが予定されている。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
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