【中銀チェック】スウェーデン中銀、ついにマイナス金利解消へ<北欧通貨>

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/12/15 18:10
 今週19日、スウェーデン中銀(リクスバンク)が金融政策理事会で利上げを実施し、2015年2月以来続けてきた主要政策金利のマイナス金利状態から脱却する見込みとなっています。

 スウェーデン中銀は2009年に超過準備に対するマイナス金利の適用を世界で初めて実施(日本やユーロ圏のマイナス金利はこちらです)。その後主要政策金利であるレポ金利を2015年にマイナスとしました。

 一時は-0.50%まで金利を引き下げたリクスバンクは、昨年12月に約7年半ぶりとなる利上げを実施。現行の-0.25%に0.25%引き上げた後は約1年据え置きを続けてきました。今回は1年ぶりに利上げを再開し、金利を0%まで回復させて、マイナス金利状況を解消する見込みとなっています。

 隣国デンマークが今年9月にマイナス金利をそれまでの-0.50%から-0.75%に深堀りするなど北欧経済全体の状況は決して強くありません。スウェーデンはここ数年比較的堅調な経済成長を続けていますが、今年に入ってのGDPは第1四半期が前年比+1.4%.第2四半期が+1.0%、第3四半期が+1.6%と、弱くはないものが、そこそこといった数字に。
物価上昇率はCPIコア前年比で直近+1.7%とまずまずですが6カ月連続で2%以下とこちらも、利上げに回るような状況には見えません。
さらに失業率に至っては6.8%とかなり高い水準となっており、そうした意味では違和感のある利上げとなります。

もっとも、リスクバンクは弱めの数字が出た時にも秋以降強調されていた12月の利上げ見通しを崩しませんでした。
日本やユーロ圏のように超過準備分をマイナスにするのではなく、レポ金利もマイナスという状況は副作用も大きくなるため、早く正常化しようという意向が働いている様子です。特に、マイナス金利が常態化することで過剰な借り入れが生じ、不動産バブルなどにつながる可能性を懸念したというところだと思われます。

とはいえ、とりあえず非常手段であったマイナス金利を解消できる程度の状況になっているということも背景にあります。今週FOMCでは金利が据え置かれ、また来年を通しての金利据え置き見通しが示されました。ECB理事会ではラガルド新総裁が景気底打ちの暫定的な兆しがあると発言しています。4日にはカナダ中銀が世界経済安定化の兆候に言及するなど、世界各国の中銀から比較的前向きな姿勢が見られるようになりました。

では、各国が利上げサイクルに回るのかというと、そこまではまだまだ遠そうですが、過剰な警戒感が後退しているという一つの象徴として、今週予定されるスウェーデン中銀のマイナス金利解消がありそうです。

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

配信元: みんかぶ(FX/為替)