明日の株式相場戦略=DX、顔認証、そして決め手はチャート
相場の方向性を表現する言葉で強気一色とか、弱気一色といった言葉はよく使われるが、様子見一色というのは、なかなかピンとこない。しかし、それはまさにきょう(11日)のような相場に当てはまる。日経平均は朝方こそ若干のプラスでスタートしたが、買いが続かなかった。FOMCやECB理事会、ブレグジットの帰趨を占う英国議会総選挙、そして週末金曜日にはメジャーSQが待つ。更に15日日曜日は対中制裁関税「第4弾」の全面発動の期限。「ここは、静観を決め込む一手」(国内ネット証券アナリスト)という市場関係者の言葉にもうなずくよりないところだ。
しかし、売り方も動けず、日経平均はマイナス圏に沈んだ後も下げ圧力が増す気配はなく、2万3300円台後半から2万3400円の狭いゾーンを方向感なくさまよう展開となった。売買代金は4日連続の2兆円割れ。もっとも、FOMCやラガルド新総裁の初陣となるECB理事会では金融政策の現状維持が濃厚であり、英国選挙については与党・保守党が当初想定より議席数を減らす可能性が言われているものの、単独過半数を確保する公算が大きい。冷静に俯瞰して、これらに波乱の芽が潜んでいるようには見えない。
あとは15日の関税発動がどうなるか。これは正直予想が難しいが、一つ言えるのは、もしネガティブで相場が先物主導で大きく下値を試すような局面に遭遇したら、そこは買い場ということ。それは、ここまでの関税合戦の経緯で学んできた“セオリー”にほかならい。
個別ではKYCOMホールディングス<9685.T>が500円近辺でチャートが煮詰まっており、タイミング的に妙味あり。DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは民間だけではなく政府自らにとっても大きな課題であり、来年は各省庁が基幹システムにおいて一斉にクラウド環境の構築を本格化させる方向にある。システムの受託開発を手掛け官公庁向けで実績が高い同社にとって商機が高まるとの思惑が株価を刺激する。
また、ここジリジリと水準を切り上げるネクストウェア<4814.T>もマークしてみたい。顔認証システムの導入ソリューションは日本でも掛け声だけでなく民間に大きな動きが出てきており、同分野で先駆する同社はその流れに乗る可能性がある。
顔認証システムでは一頭地を抜く存在のNEC<6701.T>が、“顔認証先進国”の中国を猛追する構えをみせている。直近では情報通信研究機構と共同で原理的に解読困難な「量子暗号」の技術を使って顔認証の安全性を高めるシステムを開発したことが伝えられている。そのなかNECと連携関係にあるネクストウェアの株価200円台は値ごろ感がある。時価総額30億円台の小型株にしては意外なほどの売り板の厚さだが、滞留出来高の多い270円どころを抜けてくれば相場になる可能性がある。
東京五輪・パラリンピックを来年に控えイベント関連株にも強い銘柄が多い。レイ<4317.T>やテー・オー・ダブリュー<4767.T>などを以前に取り上げたが、同じ範疇の銘柄では、企業間取引主体でディスプレー制作を手掛ける博展<2173.T>に着目してみたい。人工知能(AI)を活用したソリューションにも展開し材料性に富む。株主還元姿勢も評価され、自社株買いに積極的な一面も好印象だ。今の株価は上値余地を示唆するポジションにいる。
最後に抜群の日足チャートを形成する国際チャート<3956.T>をマークしたい。11月初旬に急動意した後、セオリー通りの調整を入れているが、作ったように25日移動平均線をサポートラインとして同化させており、この戻り足は投資対象とするしないに関わらず、続きを見たい気持ちにさせられる。計測用記録紙のほか、流通業界向けラベル紙にも注力、同社の過半の株式を取得して傘下に置いたナカバヤシグループとの協業がうまく軌道に乗り、業績も回復色を確かなものとしている。
日程面では、あすは朝方取引開始前に10月の機械受注が予定されるほか、前場取引時間中に公表される11月の都心オフィス空室率も注目される。また、マザーズ市場にメドレー<4480.T>が新規上場する。海外では、英国議会総選挙、ECB理事会の結果発表とラガルド新総裁の記者会見などが焦点となる。また、EU首脳会談が13日までの日程で開催。11月の米PPI(卸売物価指数)なども発表される。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
しかし、売り方も動けず、日経平均はマイナス圏に沈んだ後も下げ圧力が増す気配はなく、2万3300円台後半から2万3400円の狭いゾーンを方向感なくさまよう展開となった。売買代金は4日連続の2兆円割れ。もっとも、FOMCやラガルド新総裁の初陣となるECB理事会では金融政策の現状維持が濃厚であり、英国選挙については与党・保守党が当初想定より議席数を減らす可能性が言われているものの、単独過半数を確保する公算が大きい。冷静に俯瞰して、これらに波乱の芽が潜んでいるようには見えない。
あとは15日の関税発動がどうなるか。これは正直予想が難しいが、一つ言えるのは、もしネガティブで相場が先物主導で大きく下値を試すような局面に遭遇したら、そこは買い場ということ。それは、ここまでの関税合戦の経緯で学んできた“セオリー”にほかならい。
個別ではKYCOMホールディングス<9685.T>が500円近辺でチャートが煮詰まっており、タイミング的に妙味あり。DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは民間だけではなく政府自らにとっても大きな課題であり、来年は各省庁が基幹システムにおいて一斉にクラウド環境の構築を本格化させる方向にある。システムの受託開発を手掛け官公庁向けで実績が高い同社にとって商機が高まるとの思惑が株価を刺激する。
また、ここジリジリと水準を切り上げるネクストウェア<4814.T>もマークしてみたい。顔認証システムの導入ソリューションは日本でも掛け声だけでなく民間に大きな動きが出てきており、同分野で先駆する同社はその流れに乗る可能性がある。
顔認証システムでは一頭地を抜く存在のNEC<6701.T>が、“顔認証先進国”の中国を猛追する構えをみせている。直近では情報通信研究機構と共同で原理的に解読困難な「量子暗号」の技術を使って顔認証の安全性を高めるシステムを開発したことが伝えられている。そのなかNECと連携関係にあるネクストウェアの株価200円台は値ごろ感がある。時価総額30億円台の小型株にしては意外なほどの売り板の厚さだが、滞留出来高の多い270円どころを抜けてくれば相場になる可能性がある。
東京五輪・パラリンピックを来年に控えイベント関連株にも強い銘柄が多い。レイ<4317.T>やテー・オー・ダブリュー<4767.T>などを以前に取り上げたが、同じ範疇の銘柄では、企業間取引主体でディスプレー制作を手掛ける博展<2173.T>に着目してみたい。人工知能(AI)を活用したソリューションにも展開し材料性に富む。株主還元姿勢も評価され、自社株買いに積極的な一面も好印象だ。今の株価は上値余地を示唆するポジションにいる。
最後に抜群の日足チャートを形成する国際チャート<3956.T>をマークしたい。11月初旬に急動意した後、セオリー通りの調整を入れているが、作ったように25日移動平均線をサポートラインとして同化させており、この戻り足は投資対象とするしないに関わらず、続きを見たい気持ちにさせられる。計測用記録紙のほか、流通業界向けラベル紙にも注力、同社の過半の株式を取得して傘下に置いたナカバヤシグループとの協業がうまく軌道に乗り、業績も回復色を確かなものとしている。
日程面では、あすは朝方取引開始前に10月の機械受注が予定されるほか、前場取引時間中に公表される11月の都心オフィス空室率も注目される。また、マザーズ市場にメドレー<4480.T>が新規上場する。海外では、英国議会総選挙、ECB理事会の結果発表とラガルド新総裁の記者会見などが焦点となる。また、EU首脳会談が13日までの日程で開催。11月の米PPI(卸売物価指数)なども発表される。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
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