明日の株式相場戦略=日米ともに中小型株のキャッチアップ相場
きょう(27日)の東京株式市場では日経平均が4日続伸。終値は64円高の2万3437円だった。この水準で売り物を吸収して下値を切り上げているという現実に対し、上値が重いというのも贅沢な話。心理的なフシ目となっている2万3500円どころを、どこで明確に突破してくるのか、具体的には終値で抜き去ってくるタイミングが注目される。
組み入れ比率を維持するための機関投資家による配当再投資の買いなども取り沙汰されており下値抵抗力は強そうだが、2万3500円ラインは鬼門という見方も一部にある。日経平均リンク債の設定が1兆5000~1兆7000億円あることが観測されており、指定日に2万3500円にノックインした場合、先物の売りを誘発して大きな下方圧力が働く理屈となる。したがって、米中協議の行方だけでなく、株式需給面からも波乱要素があることは念頭に置いておく必要がある。
過去をさかのぼって、2017年の6月から8月にかけて2万円近辺でもみ合った後、9月初旬にかけ下値を試す展開となった時も同様に2万円で設定されたリンク債の存在が言われていた。もっとも、この後の年末から18年年始にかけての日経平均の鮮烈な上昇の方が投資家の記憶に強く刻まれているはず。今回も2万3500円超えで乱気流が発生したら、そこは願ってもない買い場提供場面という前向きな視点で臨むところかもしれない。
また、日経平均だけを見ていても今の相場の体感温度を知ることはできない。個人投資家の土俵である中小型株は好調を極めている。米国株市場でもNYダウやナスダック総合指数の最高値更新の陰で、中小型株指数のラッセル2000がこれらに急速にキャッチアップしており、あとわずかで最高値奪回という水準に漕ぎつけている。遅ればせながら日本株もこの流れをなぞらえる状況にある。
個別では前週から上げ足を強め、目先上昇一服となっているハイパー<3054.T>に着目してみたい。法人向けを中心にパソコン販売を手掛けるが業績は成長加速局面にあり、19年12月期は前期比2ケタ増収で営業利益は45%増益予想と大幅な伸びを見込む。20年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることで、小中高校におけるパソコンやタブレットなど学習用コンピューター不足を解消することが喫緊の課題となっている。同社の収益機会が高まることは必然の流れで、成長期待は来期以降一段と強まりそうだ。
バイオ関連にも強い銘柄が目立つ。これはマザーズ指数の上昇基調にも反映されるものだが、10月28日にマザーズに新規上場した再生医療関連のセルソース<4880.T>が再び上値指向をみせていることもムードを良くしている。そのなか、同関連では11月13日をターニングポイントにヒタヒタと下値を切り上げてきたリボミック<4591.T>に目が行く。同社は東大発の創薬ベンチャーでリボ核酸(RNA)を使ったアプタマー薬(分子ターゲット薬)の開発を手掛けており、そのなか、加齢黄斑変性治療薬「RBM-007」の開発に対するマーケットの期待が大きい。RBM-007については、今月に入り欧州特許庁に出願していた物質特許が成立したことを開示、これに伴い日米欧3極で物質特許を成立させたことになり、今後の展開力に厚みが加わることになる。
このほかでは、販促支援業務を手掛け業績絶好調のサニーサイドアップ<2180.T>や、自動車部品の受託生産を手掛け電気自動車(EV)用2次電池関連商品も手掛けるサンコー<6964.T>のほか、以前にも複数回取り上げた光ビジネスフォーム<3948.T>なども改めてマークしておきたい。
日程面では、あすは10月の商業動態統計、10月の建機出荷額などが発表される。このほか2年物国債の入札も予定される。海外では11月の独CPI(消費者物価指数)速報値。なお、感謝祭の祝日に伴い米国株市場は休場。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
組み入れ比率を維持するための機関投資家による配当再投資の買いなども取り沙汰されており下値抵抗力は強そうだが、2万3500円ラインは鬼門という見方も一部にある。日経平均リンク債の設定が1兆5000~1兆7000億円あることが観測されており、指定日に2万3500円にノックインした場合、先物の売りを誘発して大きな下方圧力が働く理屈となる。したがって、米中協議の行方だけでなく、株式需給面からも波乱要素があることは念頭に置いておく必要がある。
過去をさかのぼって、2017年の6月から8月にかけて2万円近辺でもみ合った後、9月初旬にかけ下値を試す展開となった時も同様に2万円で設定されたリンク債の存在が言われていた。もっとも、この後の年末から18年年始にかけての日経平均の鮮烈な上昇の方が投資家の記憶に強く刻まれているはず。今回も2万3500円超えで乱気流が発生したら、そこは願ってもない買い場提供場面という前向きな視点で臨むところかもしれない。
また、日経平均だけを見ていても今の相場の体感温度を知ることはできない。個人投資家の土俵である中小型株は好調を極めている。米国株市場でもNYダウやナスダック総合指数の最高値更新の陰で、中小型株指数のラッセル2000がこれらに急速にキャッチアップしており、あとわずかで最高値奪回という水準に漕ぎつけている。遅ればせながら日本株もこの流れをなぞらえる状況にある。
個別では前週から上げ足を強め、目先上昇一服となっているハイパー<3054.T>に着目してみたい。法人向けを中心にパソコン販売を手掛けるが業績は成長加速局面にあり、19年12月期は前期比2ケタ増収で営業利益は45%増益予想と大幅な伸びを見込む。20年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることで、小中高校におけるパソコンやタブレットなど学習用コンピューター不足を解消することが喫緊の課題となっている。同社の収益機会が高まることは必然の流れで、成長期待は来期以降一段と強まりそうだ。
バイオ関連にも強い銘柄が目立つ。これはマザーズ指数の上昇基調にも反映されるものだが、10月28日にマザーズに新規上場した再生医療関連のセルソース<4880.T>が再び上値指向をみせていることもムードを良くしている。そのなか、同関連では11月13日をターニングポイントにヒタヒタと下値を切り上げてきたリボミック<4591.T>に目が行く。同社は東大発の創薬ベンチャーでリボ核酸(RNA)を使ったアプタマー薬(分子ターゲット薬)の開発を手掛けており、そのなか、加齢黄斑変性治療薬「RBM-007」の開発に対するマーケットの期待が大きい。RBM-007については、今月に入り欧州特許庁に出願していた物質特許が成立したことを開示、これに伴い日米欧3極で物質特許を成立させたことになり、今後の展開力に厚みが加わることになる。
このほかでは、販促支援業務を手掛け業績絶好調のサニーサイドアップ<2180.T>や、自動車部品の受託生産を手掛け電気自動車(EV)用2次電池関連商品も手掛けるサンコー<6964.T>のほか、以前にも複数回取り上げた光ビジネスフォーム<3948.T>なども改めてマークしておきたい。
日程面では、あすは10月の商業動態統計、10月の建機出荷額などが発表される。このほか2年物国債の入札も予定される。海外では11月の独CPI(消費者物価指数)速報値。なお、感謝祭の祝日に伴い米国株市場は休場。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
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