来週の相場で注目すべき3つのポイント:香港情勢、米FOMC議事要旨、日貿易収支
配信元:フィスコ
投稿:2019/11/16 19:16
■株式相場見通し
予想レンジ:上限23800-下限23000円
来週の日経平均は、心理的な節目として働いている23000円を下値ラインとしての強調展開が見込まれるなか、きっかけ次第では24000円台を臨む位置まで浮上しそうだ。クドロー米大統領国家経済会議(NEC)委員長が記者団に対して、「米中貿易協議は終了していないものの、取りまとめに近づいている」と発言したことを受けて、15日の日経平均は先物から引き戻す展開となった。米中協議を巡ってはポジティブ、ネガティブなニュースが交錯しているが、米中両国が何らかの合意に至るとの期待は根強く残っている。14日に掛けての続落で日経平均は約378円の調整幅を見て、短期的な高値警戒感は和らいだことから、この米中協議で具体的なポジティブ材料が浮上すれば、上値トライの期待が膨らんでくる。現状で「幻のSQ値」となっている11月8日の23637.93円を超えてくると上げに弾みが付く可能性がある。ただし、先物の売買などで日経平均が大きく振らされる場面が目立ち始め、株価変動率(ボラティリティー)がやや高まってきていることは気掛かり要因だ。香港情勢の緊迫化に伴い、香港ハンセン指数や上海総合指数の影響を受けて、日経平均は神経質な展開を見せているが、24日に香港区議会(地方議会)選挙を控えている点も懸念材料だ。このほか、日米中ともに大きな金融政策イベントや経済指標の発表は予定されていないが、翌週は27日に米国経済指標(ベージュブックと10月個人消費支出)の発表を控えているのに加えて、28日は感謝祭で米国市場が休場となることから、手控えムードが出てくる可能性もあろう。
一方、3月期第2四半期を中心とする決算発表が一巡したことを受け、個別株物色が強まってくることが見込まれる。東京証券取引所が集計、発表する投資部門別株式売買状況(2市場、1部・2部合算)によると、海外投資家の現物株と先物を合計した買い越しは11月8日時点で6週連続の買い越しとなっていることから、引き続き大型株優位の展開が見込まれる。ただ、15日は週末ながらも一時を含めた東証上場(マザーズ・ジャスダック含む)銘柄のストップ高は17銘柄と14日の9銘柄から急増し、物色動向にうねりが生じ始めており、中小型物色にも広がりが出てくることが予想される。
主な国内経済関連スケジュールは、20日に10月訪日外客数、10月貿易統計、21日に9月全産業活動指数、22日に10月消費者物価が発表予定にある。一方、米国など海外主要スケジュールでは、19日に米10月住宅着工件数、20日に10月29日・30日開催のFOMC議事録などが予定されている。このほか、18日は米政府による中国通信機メーカー大手ファーウェイへの制裁措置の一部猶予期限、22日はG20外相会合(23日まで、名古屋)、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)失効期限が予定されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。米中通商協議の行方については予断を許さない状況が続いており、リスク回避的な円買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ打ち止め観測は後退していないことから、金利見通しの引き下げにつながる材料が提供されない場合、ドル売り・円買いが大きく広がる可能性も低いとみられる。
米中通商協議について、両国は第1段階の合意に向けて最終的な調整を進めているとみられる。一部報道によると、米国産農産物の輸入や相互に発動した関税の撤廃を巡って双方の主張は異なっているようだ。通商協議が難航するとの懸念は払拭されていないが、近日中に第1段階の合意が成立する可能性は残されていること、パウエルFRB議長は議会証言で、政策金利を当面据え置く考えがあることを示唆しており、リスク回避的なドル売り・円買いは抑制されるとみられる。
市場関係者の間では、20日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月29-30日開催分)に対する関心が高いようだ。前回の会合で政策金利を0.25ポイント(25bp)引き下げることが決定されたが、会合後の声明では、景気拡大に向け「適切に行動する」との従来の文言は削除された。追加緩和に否定的な意見が多く出ていた場合、ドル買い・円売りが強まり、心理的節目の110円を目指す展開もあり得る。
■来週の注目スケジュール
11月18日(月):タイGDP、米NAHB住宅市場指数、ブ貿易収支、ロサンゼルス自動車ショーのプレスデーなど
11月19日(火):国債買い入れオペ、欧新車販売台数、米住宅着工件数、米住宅建設許可件数など
11月20日(水):日・貿易収支、コンビニエンスストア売上高、南ア消費者物価指数、米MBA住宅ローン申請指数、米FOMC議事要旨、米大統領選挙における民主党の指名を争う候補者による討論会など
11月21日(木):日・スーパーマーケット売上高・工作機械受注、米・景気先行指数、米・中古住宅販売件数、OECD経済見通し公表、南ア・インドネシア中銀が政策金利発表など11月22日(金):日米独ユーロの各種PMI、ラガルドECB総裁が講演、独GDP改定値、加小売売上高など
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予想レンジ:上限23800-下限23000円
来週の日経平均は、心理的な節目として働いている23000円を下値ラインとしての強調展開が見込まれるなか、きっかけ次第では24000円台を臨む位置まで浮上しそうだ。クドロー米大統領国家経済会議(NEC)委員長が記者団に対して、「米中貿易協議は終了していないものの、取りまとめに近づいている」と発言したことを受けて、15日の日経平均は先物から引き戻す展開となった。米中協議を巡ってはポジティブ、ネガティブなニュースが交錯しているが、米中両国が何らかの合意に至るとの期待は根強く残っている。14日に掛けての続落で日経平均は約378円の調整幅を見て、短期的な高値警戒感は和らいだことから、この米中協議で具体的なポジティブ材料が浮上すれば、上値トライの期待が膨らんでくる。現状で「幻のSQ値」となっている11月8日の23637.93円を超えてくると上げに弾みが付く可能性がある。ただし、先物の売買などで日経平均が大きく振らされる場面が目立ち始め、株価変動率(ボラティリティー)がやや高まってきていることは気掛かり要因だ。香港情勢の緊迫化に伴い、香港ハンセン指数や上海総合指数の影響を受けて、日経平均は神経質な展開を見せているが、24日に香港区議会(地方議会)選挙を控えている点も懸念材料だ。このほか、日米中ともに大きな金融政策イベントや経済指標の発表は予定されていないが、翌週は27日に米国経済指標(ベージュブックと10月個人消費支出)の発表を控えているのに加えて、28日は感謝祭で米国市場が休場となることから、手控えムードが出てくる可能性もあろう。
一方、3月期第2四半期を中心とする決算発表が一巡したことを受け、個別株物色が強まってくることが見込まれる。東京証券取引所が集計、発表する投資部門別株式売買状況(2市場、1部・2部合算)によると、海外投資家の現物株と先物を合計した買い越しは11月8日時点で6週連続の買い越しとなっていることから、引き続き大型株優位の展開が見込まれる。ただ、15日は週末ながらも一時を含めた東証上場(マザーズ・ジャスダック含む)銘柄のストップ高は17銘柄と14日の9銘柄から急増し、物色動向にうねりが生じ始めており、中小型物色にも広がりが出てくることが予想される。
主な国内経済関連スケジュールは、20日に10月訪日外客数、10月貿易統計、21日に9月全産業活動指数、22日に10月消費者物価が発表予定にある。一方、米国など海外主要スケジュールでは、19日に米10月住宅着工件数、20日に10月29日・30日開催のFOMC議事録などが予定されている。このほか、18日は米政府による中国通信機メーカー大手ファーウェイへの制裁措置の一部猶予期限、22日はG20外相会合(23日まで、名古屋)、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)失効期限が予定されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。米中通商協議の行方については予断を許さない状況が続いており、リスク回避的な円買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ打ち止め観測は後退していないことから、金利見通しの引き下げにつながる材料が提供されない場合、ドル売り・円買いが大きく広がる可能性も低いとみられる。
米中通商協議について、両国は第1段階の合意に向けて最終的な調整を進めているとみられる。一部報道によると、米国産農産物の輸入や相互に発動した関税の撤廃を巡って双方の主張は異なっているようだ。通商協議が難航するとの懸念は払拭されていないが、近日中に第1段階の合意が成立する可能性は残されていること、パウエルFRB議長は議会証言で、政策金利を当面据え置く考えがあることを示唆しており、リスク回避的なドル売り・円買いは抑制されるとみられる。
市場関係者の間では、20日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月29-30日開催分)に対する関心が高いようだ。前回の会合で政策金利を0.25ポイント(25bp)引き下げることが決定されたが、会合後の声明では、景気拡大に向け「適切に行動する」との従来の文言は削除された。追加緩和に否定的な意見が多く出ていた場合、ドル買い・円売りが強まり、心理的節目の110円を目指す展開もあり得る。
■来週の注目スケジュール
11月18日(月):タイGDP、米NAHB住宅市場指数、ブ貿易収支、ロサンゼルス自動車ショーのプレスデーなど
11月19日(火):国債買い入れオペ、欧新車販売台数、米住宅着工件数、米住宅建設許可件数など
11月20日(水):日・貿易収支、コンビニエンスストア売上高、南ア消費者物価指数、米MBA住宅ローン申請指数、米FOMC議事要旨、米大統領選挙における民主党の指名を争う候補者による討論会など
11月21日(木):日・スーパーマーケット売上高・工作機械受注、米・景気先行指数、米・中古住宅販売件数、OECD経済見通し公表、南ア・インドネシア中銀が政策金利発表など11月22日(金):日米独ユーロの各種PMI、ラガルドECB総裁が講演、独GDP改定値、加小売売上高など
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