ドル円は21日線を一時下回る 米中協議への不透明感で利益確定売り=NY為替前半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/11/14 03:08
 きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが強まり、一時108.65円付近まで下落する場面が見られた。きょうの下げで200日線を下放れしており、本日108.75円付近に来ている21日線も一時下回った。

 市場の注目が米中貿易協議の行方に集まる中、前日のNYエコノミッククラブでのトランプ大統領の講演からは何もヒントが出なかった。市場には不透明感も漂う中、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として、米中は第1段階の合意に近づいてはいるものの、既存の関税撤廃に踏み切るべきか、それとも12月15日に発効する予定の関税のみを取り消すかを巡って対立しているとも伝わっている。先週も関税の扱いについてホワイトハウス内で意見が対立しているとの報道が流れていたが、合意には近づいているものの、まだ不確定な部分が多いようだ。

 米株は押し目買いに支えられているものの、米国債利回りの下げがドル円を圧迫している模様。ここに来て米国債と伴にドル円も利益確定売りが活発に出ているのかもしれない。

 きょうはパウエルFRB議長の上下両院合同経済委員会での議会証言が伝わった。議長は「経済が軌道を維持する限り、現行政策は適切」と述べる一方、「基本的な見通しは良好だが、留意すべきリスクは残る」とも言及している。ただ、それ自体に対する市場の反応はいまのところ限定的。

 先日のFOMCでは、一旦追加利下げを見送る姿勢を強調していた。議長もその意向を踏襲しているものと思われるが、CMEのFEDウォッチでは12月利下げの確率は3%程度しかなく、既に市場は十分に織り込んでいる状況ではある。

 ユーロドルは売り優勢となっており、1.10ドルを割り込む場面も見られた。一時1.0995ドル付近まで下落。米中貿易協議への不透明感も台頭する中、今週に入ってドル買いは一服しているものの、ユーロドルが浮上する気配は見られていない。

 きのうはドイツの企業景況感指標が予想を上回ったものの、ユーロの反応は一時的に留まった。きょうも9月のユーロ圏鉱工業生産が発表になり、前月比0.1%増と予想外の増加となっていた。低迷している製造業に下げ止まりの予兆も見せているものの、ユーロの反応は鈍い。英EU離脱や中国経済の行方などの不透明要因で市場は、ユーロ圏経済の先行き不安を払拭できずにいるのかもしれない。ECBの追加緩和や低金利の長期化が見込まれる中、ユーロに積極的にはなれないようだ。

 米政権の自動車関税発動の判断期限が本日到来する。トランプ大統領はそれについて、「かなり近いうちに決定」と述べていた。日本やカナダ、メキシコとは関税をかけない方向で決着している。残るはEUだが、一部報道では、決断をさらに6カ月先送りする方針とも伝わっていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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