2019年11月~20年3月の資源・新興国通貨の展望
豪ドル/円
RBA(豪中銀)は10月に追加利下げを行い、政策金利は過去最低の0.75%になりました。利下げは今年3回目です。豪州の9月失業率は5.2%と、RBAがインフレ加速に必要と推計する4.5%を依然として大きく上回っており、RBAはいずれ追加利下げが必要になるかもしれません。ただ、市場では今後、RBAの利下げ余地の減少が意識される可能性があります。一方で米中貿易協議が進展すれば、豪ドル/円を下支えすると考えられます。
<注目点・イベントなど>
・RBAの金融政策
・米中貿易協議
NZドル/円
RBNZ(NZ中銀)の政策会合が11月13日にあり、市場では“据え置き”と“0.25%の利下げ”で見方が分かれています。11月の会合で利下げが見送られたとしても、市場は2020年3月までの利下げを完全に織り込んでおり、RBNZの利下げ観測は残存するとみられます。一方で豪ドル/円と同様、米中貿易協議が進展すれば、NZドル/円を下支えすると考えられます。
<注目点・イベントなど>
・RBNZの金融政策
・米中貿易協議
カナダドル/円
米FRBなど主要国中銀の多くが金融緩和へと向かうなか、BOC(カナダ中銀)は政策金利を据え置き続けています。10月30日の会合では、国外に起因するリスクへの対応として“保険的な利下げ”も検討されていたため、国外情勢が悪化するようであればBOCは利下げするかもしれません。ただ、利下げをしたとしても1回限りで終わる可能性があり、その場合にはBOCの政策金利が主要国の中で高いという事実に変化はないとみられます。
<注目点・イベントなど>
・BOCの金融政策
・原油価格の動向
トルコリラ/円
TCMB(トルコ中銀)は10月24日の会合で2.50%の利下げを決定。政策金利を16.50%から14.00%に引き下げました。トルコの9月CPI(消費者物価指数)は前年比+9.26%へと鈍化しましたが、 昨年のトルコリラ安の影響が薄れるにつれて、上昇率は年末以降に再び高まる可能性があります。その場合、TCMBがそれに対応(利上げ)できるのか疑問が残ります。いずれTCMBの独立性をめぐる懸念が再燃するおそれがあります。また、トルコのS400(ロシア製ミサイルシステム)導入問題やシリア情勢にも引き続き注意が必要です。
<注目点・イベントなど>
・CPI上昇率が再び高まる場合、TCMBは対応できるか
・米国とトルコの関係
南アフリカランド/円
11月1日、ムーディーズが南アフリカの格付けを発表する予定です。本稿執筆段階で結果は判明していませんが、南アフリカの格付けが引き下げられるのか否か、それが南アフリカランドの動向に影響を与える可能性があります。ムーディーズが格下げすれば、南アフリカの格付けは3大格付け会社のすべてで投機的等級(ジャンク)となり、ランドには下落圧力が加わりやすいとみられます。一方、格下げが見送られればランドは短期的に上昇するかもしれません。ただし、格付けの見通しが“安定的”から“ネガティブ(弱含み)”へと下方修正される可能性があり、その通りになれば格下げへの懸念は市場に残存するとみられます。
<注目点・イベントなど>
・南アフリカの格付け
・南アフリカの景気低迷
・エスコム(国営電力会社)の経営問題
メキシコペソ/円
USMCA(米国、メキシコ、カナダ協定)の行方がメキシコペソの動向に影響を与えそうです。米国とメキシコ、カナダの3カ国首脳は2018年11月、NAFTA(北米自由貿易協定)に代わる新協定USMCAに署名しました。ただ、USMCAの発効には3カ国すべての議会承認が不可欠であり、現時点で承認したのはメキシコのみ(2019年6月)。米国は、トランプ大統領が議会に対して早期承認を求めていますが、下院で多数を占める民主党(野党)が審議入りに同意しておらず、USMCAは発効のメドがたっていません。カナダは米国が承認するのを待つ姿勢です。
年が明けて米大統領選が本格化すれば、USMCAへの対応は後回しにされる可能性があります。そのため、大統領選が本格化する前に米議会が承認するかが焦点になるとみられます。米議会が承認してUSMCAの先行き不透明感が解消されれば、メキシコペソが上昇しそうです。
<注目点・イベントなど>
・米議会がUSMCAを承認するか
・BOMの利下げペース
・トランプ米大統領の言動
豪ドル/米ドル
豪州の失業率は高止まりしており、RBA(豪中銀)はいずれ追加利下げが必要になるとみられる一方、米FRBは利下げ休止を示唆しました。豪ドル/米ドルは目先弱含むかもしれませんが、RBAの利下げ余地の減少が市場で意識されれば、豪ドル/米ドルを下支えする可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・RBAと米FRBの金融政策
・米中貿易協議
NZドル/米ドル
RBNZ(NZ中銀)は今後追加利下げを行う可能性がある一方、米FRBは利下げ休止を示唆しました。豪ドル/米ドルと同様、RBNZの利下げ余地の減少が市場で意識されれば、NZドル/米ドルを下支えする可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・RBNZと米FRBの金融政策
・米中貿易協議
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