“リスク回避”再燃も、“崩れた”わけではない…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2019/11/01 10:38

◆米中懸念再燃 - 108円割れへ押し戻される…

※ご注意:予想期間は11月2日と表示されていますが、本日(11月1日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


『米中通商協議の長期的な合意を、中国は疑問視』との一部報道を機に、昨日は“リスク回避姿勢”が巻き戻されました。
「弱めのシカゴPMI(15年12月以来の43.2)」も後を押した印象があり、ドル円は先月11日以来となる“107.926円”へと下値を拡大しました。

一方で“大台割れ(108円)”に際して、目立った「ストップロス」は観測されておりません。
「実需筋のドル買いニーズ」が見込まれる“107円半ば”を前に、ドル買いオーダーはすでに
“108.00-107.50円”で厚みを増しつつあることが関係していると見られます。
このため“崩れた”と決めつけるわけには、まだいきそうにありません。

◆「米利下げの催促相場」に逆戻りするか?の分水嶺 - 米雇用統計

こうした中、本日は「米10月雇用統計」が予定されています。
“控え目予想(非農業部門雇用者数:+8.9万人)”な予想となっていますが、これは「自動車大手・GMのストライキ」を加味したと見られますので、これがすなわち「雇用環境悪化」を示すものとはいえません。
ただ「一旦の利下げ停止」がFOMCで示唆されたばかりですので、悪化すれば「米利下げの催促相場」に逆戻りしてもおかしくないという波乱要素を孕んでいることになります。

◆ただテクニカル的には…?

テクニカル的に見ると、まだ“10/3~10/30の50%押し(107.884円)”を割り込んだわけではありません。
割り込むと“同61.8%押し(107.554円)”が次のターゲットということになりますが、同水準には前記したように「実需筋のドル買いニーズ」も見込まれています。

ギリギリの処で踏み留まっている格好ではありますが、ここから「そうは崩れない」と見て、前記した「米10月雇用統計」、さらにはその後に予定される「米10月ISM製造業PMI」の行方を見極めたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:108.897(10/31高値、+1σ)
上値4:108.765(10/30~10/31の61.8%戻し)
上値3:108.605(10/30~10/31の50%戻し、日足・一目均衡表転換線、ピボット1stレジスタンス)
上値2:108.445(10/30~10/31の38.2%戻し、月足・一目均衡表転換線)
上値1:108.350(20日移動平均線)
前営業日終値:108.013(大台)
下値1:107.926(10/31安値)
下値2:107.842(10/11安値、10/3~10/30の50%押し、日足・一目均衡表基準線)
下値3:107.681(50日移動平均線、-1σ、週足・一目均衡表基準線、ピボット1stサポート)
下値4:107.554(10/3~10/30の61.8%押し、100日移動平均線、週足・一目均衡表転換線)
下値5:107.447(20週移動平均線)
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想