■プラッツ<7813>の中期経営計画と中長期の成長戦略
2. 国内販売体制の強化
国内販売体制の強化は、2020年6月期の取り組みの中で特に注目される施策の1つだ。具体的には、営業部隊の区分けを、営業部(介護関連市場全般)とメディカル営業部(病院向け営業)という区分けから、在宅営業部(在宅レンタル向け)と病院施設営業部(病院及び高齢者施設向け営業)という区分へと変更した。
高齢者施設(特養、老健、グループホーム、有料老人ホームなど)の営業について、従来はレンタル事業者・レンタル卸事業者向けの営業担当者が兼任という形で行っていた。これを大きく変更し、高齢者施設向け営業の専任部隊を組織し、なおかつ、病院向け営業部隊と統合した。
在宅レンタル市場向け営業と高齢者施設向け営業とでは、取扱商品こそ介護用ベッドという点で共通だが、販売手法や営業担当者に求められるスキル、競争環境・同社のポジショニングなどが大きく異なっている。これが在宅レンタル市場向けと高齢者施設向けとで、営業担当者を分離・専任化した背景だ。
弊社では、今回の体制強化、組織改編についてポジティブに評価しており、今後の成果の発現について、期待を持って見守りたいと考えている。理由の1つは言うまでもなく、専任部隊の設置だ。兼任と専任とでは意識の持ち方がまったく異なる。営業担当者のスキルやノウハウを高める上でも専任化は有効と考えられる。理由の2つ目は医療用ベッド営業担当者とのノウハウの共有だ。施設向け営業という点では病院向けと高齢者施設向けは共通しており、スキル、ノウハウ共有し活用できる余地は大きいと考えられる。
今回の営業体制変更に関して、レンタル事業者向けの営業担当者の戦力が低下する可能性を懸念する向きもあるだろう。この点について弊社は、過度な懸念は不要と考えている。事業の概要の項で述べたように、同社にとってはレンタル事業者・レンタル卸事業者は顧客であり、そこに競合関係などはまったくない。この点が子会社にレンタル事業者を持つ大手ベッドメーカー各社と根本的に異なる点だ。メーカーに特化している同社は、レンタル事業者から高い信頼を獲得しており、それが、同社が効率的に営業を実行できている大きな要因となっている。一時的に営業人員が減少してもマイナス影響は極めて限定的とみている。
要介護者の自立支援や介護者に寄り添った周辺機器の開発・販売を目指す
3. 製品ラインナップ、事業領域の拡大
この取り組みテーマは、これまで介護用・医療用のベッド中心で製品ラインナップを展開してきたが、中期的に周辺機器等の拡充を図ろうという取り組みだ。この取り組みは決して新しいものではなく、従来から打ち出していた。直近の例では、2018年6月に介護ベッドの供給で事業提携を行った上海偉賽智能科技有限公司(以下、「上海偉賽」と略)との間での業務提携がある。これは、上海偉賽が開発を進めるAI搭載ベッド、見守りセンサー、自宅リハビリロボット等の新製品に関し、同社が製造及び日本仕様に関するアドバイスとサポートを行い、上海偉賽は日本国内の総販売権を同社に与えるという内容のものだ。
しかしながら、これまでのところ上海偉賽の製品開発に目立った進展は見られない。AIやセンサーの領域は上海偉賽にとっても新規分野で、製品開発に想定以上に手間取っていることが要因とみられる。
今後同社は、これまで開発・販売してきたマットレスやベッドの囲い柵、手すりなどの周辺機器について、ブラッシュアップや関連製品の充実を図り、要介護者の自立や患者の回復、介護者(職員、家族等)の負担削減等をサポートするような機能をセールスポイントとして、事業の拡大を目指す方針とみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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2. 国内販売体制の強化
国内販売体制の強化は、2020年6月期の取り組みの中で特に注目される施策の1つだ。具体的には、営業部隊の区分けを、営業部(介護関連市場全般)とメディカル営業部(病院向け営業)という区分けから、在宅営業部(在宅レンタル向け)と病院施設営業部(病院及び高齢者施設向け営業)という区分へと変更した。
高齢者施設(特養、老健、グループホーム、有料老人ホームなど)の営業について、従来はレンタル事業者・レンタル卸事業者向けの営業担当者が兼任という形で行っていた。これを大きく変更し、高齢者施設向け営業の専任部隊を組織し、なおかつ、病院向け営業部隊と統合した。
在宅レンタル市場向け営業と高齢者施設向け営業とでは、取扱商品こそ介護用ベッドという点で共通だが、販売手法や営業担当者に求められるスキル、競争環境・同社のポジショニングなどが大きく異なっている。これが在宅レンタル市場向けと高齢者施設向けとで、営業担当者を分離・専任化した背景だ。
弊社では、今回の体制強化、組織改編についてポジティブに評価しており、今後の成果の発現について、期待を持って見守りたいと考えている。理由の1つは言うまでもなく、専任部隊の設置だ。兼任と専任とでは意識の持ち方がまったく異なる。営業担当者のスキルやノウハウを高める上でも専任化は有効と考えられる。理由の2つ目は医療用ベッド営業担当者とのノウハウの共有だ。施設向け営業という点では病院向けと高齢者施設向けは共通しており、スキル、ノウハウ共有し活用できる余地は大きいと考えられる。
今回の営業体制変更に関して、レンタル事業者向けの営業担当者の戦力が低下する可能性を懸念する向きもあるだろう。この点について弊社は、過度な懸念は不要と考えている。事業の概要の項で述べたように、同社にとってはレンタル事業者・レンタル卸事業者は顧客であり、そこに競合関係などはまったくない。この点が子会社にレンタル事業者を持つ大手ベッドメーカー各社と根本的に異なる点だ。メーカーに特化している同社は、レンタル事業者から高い信頼を獲得しており、それが、同社が効率的に営業を実行できている大きな要因となっている。一時的に営業人員が減少してもマイナス影響は極めて限定的とみている。
要介護者の自立支援や介護者に寄り添った周辺機器の開発・販売を目指す
3. 製品ラインナップ、事業領域の拡大
この取り組みテーマは、これまで介護用・医療用のベッド中心で製品ラインナップを展開してきたが、中期的に周辺機器等の拡充を図ろうという取り組みだ。この取り組みは決して新しいものではなく、従来から打ち出していた。直近の例では、2018年6月に介護ベッドの供給で事業提携を行った上海偉賽智能科技有限公司(以下、「上海偉賽」と略)との間での業務提携がある。これは、上海偉賽が開発を進めるAI搭載ベッド、見守りセンサー、自宅リハビリロボット等の新製品に関し、同社が製造及び日本仕様に関するアドバイスとサポートを行い、上海偉賽は日本国内の総販売権を同社に与えるという内容のものだ。
しかしながら、これまでのところ上海偉賽の製品開発に目立った進展は見られない。AIやセンサーの領域は上海偉賽にとっても新規分野で、製品開発に想定以上に手間取っていることが要因とみられる。
今後同社は、これまで開発・販売してきたマットレスやベッドの囲い柵、手すりなどの周辺機器について、ブラッシュアップや関連製品の充実を図り、要介護者の自立や患者の回復、介護者(職員、家族等)の負担削減等をサポートするような機能をセールスポイントとして、事業の拡大を目指す方針とみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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