今週のまとめ9月16日から9月20日の週

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/09/21 08:00
 16日からの週は、一連の各国金融政策発表を通過して、ドル相場も円相場も値動きが次第に落ち着き、方向性が希薄になっている。週明けには中東での地政学リスクの発生でリスク回避の動きがみられたが、一時的な動きにとどまった。ただ、原油相場が急騰後に反落したが、依然として前週末よりは高水準となっており、今後の動向に不透明感が残っている。米FOMCでは予想通り0.25%の利下げが発表された。スタッフ金利見通しはタカハトに二分されており、事前予想ほどハト派に傾かなかったが、パウエル議長が必要であれば利下げの可能性あるとしたことで、バランスがとれた格好。日銀および英中銀は予想通り金融政策を据え置いた。日銀には事前にやや追加緩和期待があったことで、一時円買いの動きがみられたが、すぐに落ち着いた。英中銀会合を波乱なく通過したあと、ポンドは買われた。ユンケルEU委員長が離脱合意の可能性を示唆したことが好感された。一方、豪ドルは軟調。中国経済指標の弱含みが成長鈍化への警戒感につながった。引き続き豪中銀の追加利下げ観測もくすぶっている。トランプ大統領は米中通商協議について完全合意を目指す姿勢を示し、早期の合意にこだわらないことを示した。市場の早期合意期待が後退する形でドル売り円買いとなり、週末にかけてドル円は108円台から107円台半ばへ落とす場面が見られた。

(16日)
 東京市場は「敬老の日」の祝日で休場。

 ロンドン市場は、円買い・ドル買いとリスク回避の動きが優勢。14日にサウジ石油施設がドローンによる攻撃を受け、生産能力に多大な影響を与えている。週明けのオセアニア市場では供給不安から原油相場が急騰した。足元では一段高の動きは一服しているが、欧州株安などリスク回避の動きがみられている。 ドル円は週明けオセアニア市場で107.46レベルまで急落したあと、反発しているが、108円には戻しきれず。足元では107.70-80レベルと再び上値が重くなっている。ユーロ円は119円割れ、ポンド円も一時134円台を割り込んだ。米債利回りが低下するなかで、ユーロドルは1.10台前半、ポンドドルは1.24台前半へと軟化しており、金利にらみよりもリスク回避圧力がまさっている。ユーロにとっては先週のECB理事会での大規模緩和策を受けた売り圧力が再燃している面もあるようだ。

 NY市場は、ドル買いが優勢。ドル円は108円台を回復した。ユーロドルはロンドン午前からの一本調子の下げが継続し、1.10台を一時割り込んだ。ポンドドルも戻り売りに押される展開。昨日にトランプ米大統領が米戦略石油備蓄(SPR)の放出を認可したと発表。米国は世界有数の産油国となっており、原油高に対する経済の耐久性が高いことが有事のドル買いにつながった面が指摘された。ユーロにとっては、一部で米国による欧州車に対する関税賦課の可能性が取り沙汰されていた。ポンドにとってはジョンソン英首相の訪欧で、EU側が英国からの具体的な提案は無かったとしたことが売り材料。ジョンソン英首相の会見は、聴衆の非難の高まりにキャンセルせざるを得なかった。

(17日)
 東京市場で、ドル円は108円台での推移が続いた。三連休明けは、週末のサウジアラビア石油施設へのドローン攻撃を嫌気して、寄り付きから日経平均が大きく売られた。ドル円は108.02レベルまで一時下落した。しかし、大台を維持して少し値を戻すと日経平均が一転してプラスに転換、ドル円は108.37レベルまで反発した。ユーロドルは1.10を挟む水準で推移。前日海外市場では1.10台後半から一時1.10台割れまで下落したが、東京市場では1.09台での売りには慎重だった。人民元は対ドルを中心に売りがでた。米中関係改善期待は継続も、香港中心部での電車脱線を受けた警戒感や、今週の米中次官級協議を直前に控えた牽制などの動きが元安を誘った。

 ロンドン市場は、リスク回避の動きが一服。欧州株は小幅安で取引を開始、為替市場ではユーロドルやポンドドルが下値を試す動きがみられた。ユーロドルは1.0990レベル、ポンドドルは1.2393レベルに安値を更新した。しかし、すぐに1.10台や1.24台を回復している。ユーロドルは1.1025レベルに本日高値を更新した。9月独ZEW景況感指数は-22.5と前回の-44.1から予想以上に改善した。ポンドドルは1.24台回復も1.2420近辺で上値追抑えられ、対ユーロでも軟調。昨日のEU首脳との会談でジョンソン英首相は10月31日の離脱を主張、延期は求めないと発言。具体的な代替案は示されず。欧州株は次第に下げ渋っており、ユーロ円は119.26レベルに本日高値を更新。ポンド円は134円台前半での取引に終始。ドル円は108.10-20レベルでの揉み合いが継続。全般に小動きで、前日からのドル高水準を維持した。

 NY市場は、ドル円が小動きのなか、全般にドル売りが優勢だった。サウジのリスクが一服するなかで、ドル売り・円売りの動きに挟まれてドル円は108円台前半での振幅に終始した。ユーロドルはロンドン朝方に一時1.10台を割り込む場面があったが、その後は買い戻しが続き1.1075近辺まで上昇。ポンドドルも1.25ドル台まで買い戻しが進んだ。きのうは無人機によるサウジ石油施設への攻撃で、原油相場が急上昇していたが、トランプ大統領が戦争はしたくないと述べていたことに加え、サウジの生産は見通しよりも早期に回復との期待が高まり、9月末までにアブカイク製油所の生産量は攻撃前の水準回復目指すとしている。前日のリスク回避の動きがきょうは逆回転した格好。

(18日)
 東京市場は、小動き。このあとNY市場での米FOMCを控えて様子見ムードが強く、取引は低調。ドル円は108円台前半で18銭レンジ、ユーロドルは1.10台後半で14ポイントと値動きは限定的だった。ポンドドルは若干頭が重く、1.25台を割り込んだ。前日のNY市場で大きく上昇した分の調整が出た格好。豪ドル/ドルも0.68台後半から半ばへと上値重く推移している。ややドル高が優勢となった背景には、CMEフェドウォッチでFOMCでの据え置き確率が上昇していることが指摘された。ただ、依然として0.25%利下げ見通しが優勢。

ロンドン市場は、米FOMCを控えてややドル買い方向に調整された。ユーロドルは1.1037レベルまで軟化。ポンドドルは1.25近辺が重く、1.2439レベルまで反落した。前日のNY市場ではドル売りの動き調整が入った。欧州株が序盤の下げを消してプラスに転じているが、総じて小動き。米10年債利回りは1.76%近辺まで低下した。ドル円は108.20近辺に膠着している。英欧ともに消費者物価指数の伸びが鈍化した。特に英インフレ鈍化が目立っている。EU離脱関連では、EU側から英首相に具体的な提案を求める声が相次いだ。

 NY市場は、ドル買いが優勢。米FOMCの結果とパウエルFRB議長の会見を受けてドル円は108円台半ばへと上昇。FOMCでは大方の予想通り0.25%の利下げが発表された。FOMCメンバーの金利見通しの中央値がこの日決定した金利水準と一致したことが、今後の据え置きを示唆するものと受け止められた。ただ、意見が二分したこともあり、ドル買いは限定的だった印象。パウエルFRB議長は会見で、経済が弱まれば追加利下げが必要となる可能性にも言及しており、中立姿勢を強調したかった印象もうかがえる。トランプ大統領からは「またも失敗、ガッツがない!」との苦言。米株は下落の動きを消して、反発して引けた。ユーロドルは1.10台前半に下落したが、大台は維持している。ポンドドルは1.25台乗せから1.24台半ばで方向性に欠ける振幅にとどまった。

(19日)
 東京市場では、ドル売りが優勢。ドル円は米FOMC後の上昇分を解消し、さらに下をトライする流れとなった。日銀金融政策決定会合では金融政策は現状維持となった。マイナス金利の深堀りなどの緩和策を想定していた向きから売りが出た格好。朝方は前日の上昇を受けて108.40台の高値圏で取引された。仲値にかけて外貨売り・円買いの動きがでたほか、ドル円の108円台半ばからの重さで短期筋がポジション調整を持ち込んだ。日銀決定会合の結果は昼頃といつも通りに発表された。米株先物が時間外取引で軟調となり、米債利回りの低下がドル売りにつながった。ドル円は107.80近辺まで下落した。ただ、アジア株は堅調に推移しており、その後は108円近辺に下げ渋った。人民元は軟調。1ドル=7.10台に乗せた。

 ロンドン市場は、円買いが一服。ドル円はロンドン朝方に108.15近辺まで一時反発した。欧州株が安寄りしたあとは買いが優勢になっており、プラス圏で推移。原油先物も反発。ユーロは堅調。対ドルでは1.1069レベル、対円では119.50台まで上昇した。第2四半期ユーロ圏経常収支の黒字幅が拡大したことや、北欧のノルウェー中銀が利上げを発表したタイミングでユーロ買いが加速した。一方、ポンドは軟調。序盤はユーロとともに買われたが、その後は反落の動きが広がった。8月英小売売上高は予想を下回った。コベニー・アイルランド外相が前日からの英DUPとの会談について「引き続きアイルランドと英国にはブレグジットめぐる大きな溝がある」と述べた。英中銀は大方の予想通り政策金利および資産買入枠を全会一致で据え置いた。議事録では「仮にブレグジットの不透明感が続くなら、インフレは弱まるだろう」としている。ポンドドルは1.2438レベル、ポンド円は134.27レベルまで安値を広げた。

 NY市場では、ポンドが買われた。ユンケルEU委員長が「我々は英EU離脱で合意できると考えている」と述べたことがポンド買いを誘発した。ポンドドルは1.24台後半から1.2560近辺へ、ポンド円は134円台後半から135.50近辺まで一時上昇。合意なき離脱の回避に向けた期待感が広がった。ユーロドルも1.1070近辺まで連れ高となったが、1.11台を目指すほどの勢いには欠けていた。前日の米FOMC後の下落を戻す程度にとどまっている。ドル円は108円を挟んだ揉み合いに終始しており、米FOMCと日銀決定会合を通過して材料出尽くし感がでていた。米株はダウが下落もナスダックとS&P500は上昇と、まちまち。

(20日)
 東京市場では、ポンドが一段高。昨日にユンケルEU委員長が離脱合意は可能だとの見方を示したことで、合意なき離脱への警戒感が後退していた。東京市場ではポンドドルが1.2582レベルまで一段高となった。ポンド円も135.75近辺と、約2か月ぶりの高値水準をつけた。ドル円は小安い動き。米債利回りがやや低下したことで、108円挟みの揉み合いから107.80台へと再び軟化している。日経平均は34円高と小幅に続伸、原油相場も落ち着いており、リスク警戒感は一服している。

 ロンドン市場は、総じてドル買いが優勢。ロンドン早朝に低下した米債利回りが、ロンドン市場が本格稼働してからは反転して上昇する動きに反応した。欧州株は売買が交錯して始まったが、次第に買い優勢に。8月のドイツ生産者物価指数は予想を下回ったが、ユーロ相場は反応せず。その他の主要な経済指標の発表はなく、週末調整的な動き。直前の東京市場や、前日のNY市場の値動きを戻してきており、全般的な流れはでていない。この時間帯に目立ったのがポンド売りで、対ドルは一時1.25台割れ、対円は135円台割れへと反落した。EU側からは英国のブレグジット提案について「後戻りだ」と不満の声が報じられていた。ドル円は107.77レベルまで下落したあとは108円近辺に反発。ユーロドルは1.1068レベルまで買われたあとは1.1030近辺まで反落。ユーロ円は119台前半での揉み合い。
 
 NY市場は108円近辺でのもみ合いから、トランプ大統領が米中通商協議について完全合意を目指す姿勢を示したことで、早期合意期待が後退する形で値を落とし、ほぼ安値圏で取引を終える展開となった。ロンドン市場から続く欧州通貨売りドル買いの動きもあり、NY午前に108円台を回復も続かなかった。ドル円は日本勢の三連休を前に大台超えでの積極的な買いが手控えられた面も。少し調整を経てトランプ発言を受けてドル売り円買いが優勢となり、ドル円は107円50銭台で引けている。ユーロドルはロンドン朝方に米債利回りの低下などを受けて付けた高値1.1068近辺からの売り基調が継続する展開となり、1.1000を割り込む場面が見られた。その後はトランプ発言を受けたドル売りもあって値を戻したが戻りは鈍い。ポンドはEUとの合意期待が後退でユーロ以上に売りが目立つも流れはユーロと同様。

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