明日の株式相場戦略=緩和モード追い風に資本移動の思惑漂う不動産株
名実ともに9月相場入りとなった週明け(2日)の東京株式市場では、日経平均が反落となった。2万700円近辺ではキャッシュポジションを高めておくのが結果的に報われる、というパターンが今のところ続いている。ただ、いずれにしても買い方に覇気がない、売り方のショートカバーだけで浮遊しているような相場だ。
とりわけ、きょうは売買代金が1兆3000億円台と閑散商いの極致で、これは2014年4月下旬以来約5年4カ月ぶりとのこと。今晩の米株市場がレーバーデーの祝日に伴い休場ということもあって、海外投資家の“日本株スルー状態”に拍車がかかった。
今週は米国で経済指標・統計の発表が相次ぐ。3日に8月のISM製造業景況指数、4日に7月の貿易収支、5日に8月のADP雇用リポートと8月のISM非製造業景況指数、そして週末6日は8月の雇用統計が待っている。これらの内容について、「弱いほどありがたい」というのが米国株に投資する資金の本音。弱い数字が開示されることで、17~18日のFOMCで0.25%の利下げはもちろん、年内残す2回のFOMC(10月29~30日と12月10~11日)で連続利下げの選択肢が意識されるようなら、株式市場にとっては少なからぬポジティブ材料となる。ただし、エコノミストの声を聞いた限りでは「注目度の高い米ISM製造業景況指数について鈍化はしても大きな落ち込みは考えにくい、雇用統計も同様で年内あと2回(9月を含め3回)の利下げは高いハードルとなりそうだ」という。
これに先立つ12日のECB理事会ではマイナス金利の深掘りの可能性が高い。そして、世界的な緩和競争に取り残されそうな日銀も18~19日の決定会合で音無しの構えというわけにはいかない。ここでは銀行業界に負担を強いない形でのマイナス金利の深掘りなどが俎上に載っているが、「仮に実施したとしても為替市場に与えるインパクトは薄い。株式市場も素直に好感するかは未知数」(国内生保系エコノミスト)という声が強く、黒田総裁としても躊躇するところ。メインはやはりETF買い入れ枠の拡大だろう。足もとはETF買いの出口論は封印されているような状況にある。ここで買い入れ枠拡大の強いアナウンスメント効果が出せれば、それが良いか悪いかは別として、消費税引き上げで意気が上がらない東京市場にとっては福音となりそうだ。
直近の騰落レシオ(25日移動平均)は東証1部で81.9%だが、東証2部は76.5%、マザーズ市場は75.6%、ジャスダック市場はスタンダードで79.4%、グロースで60.0%と売られ過ぎを示唆する水準にある。少なくとも東京市場における体感温度はかなり低い。しかし、潜在的な売り圧力もそれほど強くはない。ここから下に振られるようならそこは短期で買い場と心得たい。
個別では不動産セクターの中小型株に引き続き注目か。マンション市場も低金利環境下で中古物件の成約が増勢にあることを今日付の日本経済新聞が報じている。7月末にマザーズに上場したツクルバ<2978.T>は中古マンション流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」を運営している。株価は8月28日に2400円台まで買われた後に調整しているが目先切り返しに転じてきた。
また、マンション開発や商業施設、ホテルなどにも展開する日本エスコン<8892.T>の目先調整場面は買い場となっている可能性がある。業績は19年12月期上期(1~6月)に営業84%増益と急拡大をみせた。PER6倍台で配当利回り4.7%の時価は見直し余地が大きそうだ。ユニゾホールディングス<3258.T>がエイチ・アイ・エス<9603.T>の敵対的TOBを契機に2000円近辺の株価を大化けさせたが、こういった資本絡みの動きが中小型の不動産関連株には思惑としてつきまとう。
このほか、内需の成長セクターではサイバーセキュリティー関連で休養十分なセラク<6199.T>あたりに再浮上の目がありそう。75日移動平均線近辺で売り物を枯らしており、リバウンドの機が熟しているようにも見受けられる。
日程面では、明日は8月のマネタリーベースが開示されるほか、10年物国債の入札がある。また、海外では豪州準備銀行理事会の結果が発表されるほか、8月の米ISM製造業景況指数などがある。(中村潤一)
出所:minkabuPRESS
とりわけ、きょうは売買代金が1兆3000億円台と閑散商いの極致で、これは2014年4月下旬以来約5年4カ月ぶりとのこと。今晩の米株市場がレーバーデーの祝日に伴い休場ということもあって、海外投資家の“日本株スルー状態”に拍車がかかった。
今週は米国で経済指標・統計の発表が相次ぐ。3日に8月のISM製造業景況指数、4日に7月の貿易収支、5日に8月のADP雇用リポートと8月のISM非製造業景況指数、そして週末6日は8月の雇用統計が待っている。これらの内容について、「弱いほどありがたい」というのが米国株に投資する資金の本音。弱い数字が開示されることで、17~18日のFOMCで0.25%の利下げはもちろん、年内残す2回のFOMC(10月29~30日と12月10~11日)で連続利下げの選択肢が意識されるようなら、株式市場にとっては少なからぬポジティブ材料となる。ただし、エコノミストの声を聞いた限りでは「注目度の高い米ISM製造業景況指数について鈍化はしても大きな落ち込みは考えにくい、雇用統計も同様で年内あと2回(9月を含め3回)の利下げは高いハードルとなりそうだ」という。
これに先立つ12日のECB理事会ではマイナス金利の深掘りの可能性が高い。そして、世界的な緩和競争に取り残されそうな日銀も18~19日の決定会合で音無しの構えというわけにはいかない。ここでは銀行業界に負担を強いない形でのマイナス金利の深掘りなどが俎上に載っているが、「仮に実施したとしても為替市場に与えるインパクトは薄い。株式市場も素直に好感するかは未知数」(国内生保系エコノミスト)という声が強く、黒田総裁としても躊躇するところ。メインはやはりETF買い入れ枠の拡大だろう。足もとはETF買いの出口論は封印されているような状況にある。ここで買い入れ枠拡大の強いアナウンスメント効果が出せれば、それが良いか悪いかは別として、消費税引き上げで意気が上がらない東京市場にとっては福音となりそうだ。
直近の騰落レシオ(25日移動平均)は東証1部で81.9%だが、東証2部は76.5%、マザーズ市場は75.6%、ジャスダック市場はスタンダードで79.4%、グロースで60.0%と売られ過ぎを示唆する水準にある。少なくとも東京市場における体感温度はかなり低い。しかし、潜在的な売り圧力もそれほど強くはない。ここから下に振られるようならそこは短期で買い場と心得たい。
個別では不動産セクターの中小型株に引き続き注目か。マンション市場も低金利環境下で中古物件の成約が増勢にあることを今日付の日本経済新聞が報じている。7月末にマザーズに上場したツクルバ<2978.T>は中古マンション流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」を運営している。株価は8月28日に2400円台まで買われた後に調整しているが目先切り返しに転じてきた。
また、マンション開発や商業施設、ホテルなどにも展開する日本エスコン<8892.T>の目先調整場面は買い場となっている可能性がある。業績は19年12月期上期(1~6月)に営業84%増益と急拡大をみせた。PER6倍台で配当利回り4.7%の時価は見直し余地が大きそうだ。ユニゾホールディングス<3258.T>がエイチ・アイ・エス<9603.T>の敵対的TOBを契機に2000円近辺の株価を大化けさせたが、こういった資本絡みの動きが中小型の不動産関連株には思惑としてつきまとう。
このほか、内需の成長セクターではサイバーセキュリティー関連で休養十分なセラク<6199.T>あたりに再浮上の目がありそう。75日移動平均線近辺で売り物を枯らしており、リバウンドの機が熟しているようにも見受けられる。
日程面では、明日は8月のマネタリーベースが開示されるほか、10年物国債の入札がある。また、海外では豪州準備銀行理事会の結果が発表されるほか、8月の米ISM製造業景況指数などがある。(中村潤一)
出所:minkabuPRESS
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