■TDCソフト<4687>の業績動向
1. 2019年3月期の業績
同社グループは、2016年4月から2019年3月における中期経営計画に基づき、「お客様から最も信頼されるパートナー企業の実現」を目指し、顧客の繁栄の寄与に努めている。顧客に寄り添い広範囲な工程や業務分野のサービスを提供するパートナー型ビジネスと業務・技術に特化し、幅広く複数の顧客にサービスを提供するソリューション型ビジネスを強化し、そこから生じた利益を将来の事業基盤に必要不可欠となる人材・知財へ集中的に投下し、継続的成長を実現するための財産づくりを行う戦略を基本戦略に掲げている。
この基本戦略に基づき、市場や顧客の潜在ニーズを捉え最新の要素技術などを先回りして獲得するための投資を行い、顧客の競争優位を支える付加価値の高いサービスと、時間や手間などを含めたユーザーコストの低減を両立した次世代型のシステムインテグレーションサービスを提供するための取り組みを本格的に開始した。
前期(2018年3月期)に開始したAI・データサイエンス分野や、アジャイル・マイクロサービス分野における産学共同研究等の要素技術の研究フェーズから事業促進フェーズへとステップアップを図るため、顧客とのPOC(Proof of Concept:概念実証)を含めた提案活動等を強化し、新規案件を受注するなど当該分野のビジネス拡大を行った。
特に、2019年3月期はアジャイル開発技術者の育成に注力し、アジャイル関係の資格を約20名が取得するなど、当該技術者を50名規模にまで拡大した。
この結果2019年3月期の業績は、売上高26,590百万円(前期比11.0%増、計画比6.4%増)、営業利益2,157百万円(前期比16.5%増、計画比7.9%増)、経常利益2,248百万円(前期比17.9%増、計画比10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,469百万円(前期比17.7%増、計画比10.5%増)となった。堅調な事業環境のなか計画を上回る増収増益を達成したうえに、次世代型SI事業を積極的に推進し、着実な拡大を遂げた。
同社の好調の要因としては、以下のように考えられる。
1) 日本経済の回復基調が続き、加えてDXが進む流れのなかで、顧客のIT投資が活発であった。
2) 顧客との関わりを続けるなかで要員が着実にレベルアップし、顧客業務理解の拡がりと深まりが進み、より顧客と密な関係になることができた。
3) アカウント力の強化に取り組んできたことで、顧客からの追加案件をキャッチできる機会が拡がった。
4) 不採算プロジェクトが減少したことで要員計画が立てやすくなり、計画的・効率的にプロジェクトを遂行できた。
これらの結果、好調な業績を達成しながら次世代型SIに向けての投資を行うことができたと考えられる。
2019年3月期のトピックは以下の3つとなる。
(1) アジャイル開発技術者の育成
次世代型SI事業の拡大に向けた取り組みの一環として、アジャイル開発技術者の育成に注力した。アジャイル開発関係の資格(SCRUMマスター)を約20名が取得するなど、アジャイル開発が可能な技術者を約50名にまで拡大した。
(2) 健康経営優良法人2019(ホワイト500)に認定
健康経営優良法人認定制度の大企業部門において、優良な健康経営を実践している法人として「健康経営優良法人2019(ホワイト500)」の1社として認定を受けた。
(3) グループ再編を実施
経営資源を集約し効率的な組織運営や事業基盤の強化を図ることで、事業拡大のスピードアップを目指すことを目的に子会社2社の経営統合を実施した。
2.事業分野別業績
2019年3月期は各事業分野とも好調で、前期比増収となった。なかでも法人アプリケーション開発分野は前期比2割以上の増収と大幅な成長を遂げている。
(1) アプリケーション開発分野(金融)
アプリケーション開発分野(金融)では、金融業向けに業務アプリケーション開発の提供を行っている。2019年3月期は保険業向け大型システム開発案件が順調に推移し、売上高は14,356百万円(前期比8.1%増)となった。
(2) アプリケーション開発(法人)
アプリケーション開発分野(法人)では、流通業、製造業、サービス業や公共向けに業務アプリケーション開発の提供を行っている。2019年3月期は公共・製造業向けの開発案件等が堅調に推移し、売上高は6,086百万円(前期比22.8%増)となった。
(3) ソリューション分野(インフラ・ネットワーク)
ソリューション分野(インフラ・ネットワーク)は、ITインフラの環境設計、構築、運用支援、ネットワーク製品開発、ネットワークインテグレーション等の提供を行っている。2019年3月期は、官庁向けのITインフラ構築案件が堅調に推移するなか、クラウドインフラ更改案件等の伸長により、売上高は3,786百万円(前期比5.7%増)となった。
(4) ソリューション分野(パッケージ等)
ソリューション分野(パッケージ等)は自社開発のクラウドアプリケーションやPaas型クラウドサービス「Trustpro」の提供、BI/DWH、ERP/CRMに関連するソリューションの提供を行っている。2019年3月期はCRMや自社クラウドアプリケーション関連の案件が堅調に推移し、売上高は2,361百万円(前期比11.3%増)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)
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1. 2019年3月期の業績
同社グループは、2016年4月から2019年3月における中期経営計画に基づき、「お客様から最も信頼されるパートナー企業の実現」を目指し、顧客の繁栄の寄与に努めている。顧客に寄り添い広範囲な工程や業務分野のサービスを提供するパートナー型ビジネスと業務・技術に特化し、幅広く複数の顧客にサービスを提供するソリューション型ビジネスを強化し、そこから生じた利益を将来の事業基盤に必要不可欠となる人材・知財へ集中的に投下し、継続的成長を実現するための財産づくりを行う戦略を基本戦略に掲げている。
この基本戦略に基づき、市場や顧客の潜在ニーズを捉え最新の要素技術などを先回りして獲得するための投資を行い、顧客の競争優位を支える付加価値の高いサービスと、時間や手間などを含めたユーザーコストの低減を両立した次世代型のシステムインテグレーションサービスを提供するための取り組みを本格的に開始した。
前期(2018年3月期)に開始したAI・データサイエンス分野や、アジャイル・マイクロサービス分野における産学共同研究等の要素技術の研究フェーズから事業促進フェーズへとステップアップを図るため、顧客とのPOC(Proof of Concept:概念実証)を含めた提案活動等を強化し、新規案件を受注するなど当該分野のビジネス拡大を行った。
特に、2019年3月期はアジャイル開発技術者の育成に注力し、アジャイル関係の資格を約20名が取得するなど、当該技術者を50名規模にまで拡大した。
この結果2019年3月期の業績は、売上高26,590百万円(前期比11.0%増、計画比6.4%増)、営業利益2,157百万円(前期比16.5%増、計画比7.9%増)、経常利益2,248百万円(前期比17.9%増、計画比10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,469百万円(前期比17.7%増、計画比10.5%増)となった。堅調な事業環境のなか計画を上回る増収増益を達成したうえに、次世代型SI事業を積極的に推進し、着実な拡大を遂げた。
同社の好調の要因としては、以下のように考えられる。
1) 日本経済の回復基調が続き、加えてDXが進む流れのなかで、顧客のIT投資が活発であった。
2) 顧客との関わりを続けるなかで要員が着実にレベルアップし、顧客業務理解の拡がりと深まりが進み、より顧客と密な関係になることができた。
3) アカウント力の強化に取り組んできたことで、顧客からの追加案件をキャッチできる機会が拡がった。
4) 不採算プロジェクトが減少したことで要員計画が立てやすくなり、計画的・効率的にプロジェクトを遂行できた。
これらの結果、好調な業績を達成しながら次世代型SIに向けての投資を行うことができたと考えられる。
2019年3月期のトピックは以下の3つとなる。
(1) アジャイル開発技術者の育成
次世代型SI事業の拡大に向けた取り組みの一環として、アジャイル開発技術者の育成に注力した。アジャイル開発関係の資格(SCRUMマスター)を約20名が取得するなど、アジャイル開発が可能な技術者を約50名にまで拡大した。
(2) 健康経営優良法人2019(ホワイト500)に認定
健康経営優良法人認定制度の大企業部門において、優良な健康経営を実践している法人として「健康経営優良法人2019(ホワイト500)」の1社として認定を受けた。
(3) グループ再編を実施
経営資源を集約し効率的な組織運営や事業基盤の強化を図ることで、事業拡大のスピードアップを目指すことを目的に子会社2社の経営統合を実施した。
2.事業分野別業績
2019年3月期は各事業分野とも好調で、前期比増収となった。なかでも法人アプリケーション開発分野は前期比2割以上の増収と大幅な成長を遂げている。
(1) アプリケーション開発分野(金融)
アプリケーション開発分野(金融)では、金融業向けに業務アプリケーション開発の提供を行っている。2019年3月期は保険業向け大型システム開発案件が順調に推移し、売上高は14,356百万円(前期比8.1%増)となった。
(2) アプリケーション開発(法人)
アプリケーション開発分野(法人)では、流通業、製造業、サービス業や公共向けに業務アプリケーション開発の提供を行っている。2019年3月期は公共・製造業向けの開発案件等が堅調に推移し、売上高は6,086百万円(前期比22.8%増)となった。
(3) ソリューション分野(インフラ・ネットワーク)
ソリューション分野(インフラ・ネットワーク)は、ITインフラの環境設計、構築、運用支援、ネットワーク製品開発、ネットワークインテグレーション等の提供を行っている。2019年3月期は、官庁向けのITインフラ構築案件が堅調に推移するなか、クラウドインフラ更改案件等の伸長により、売上高は3,786百万円(前期比5.7%増)となった。
(4) ソリューション分野(パッケージ等)
ソリューション分野(パッケージ等)は自社開発のクラウドアプリケーションやPaas型クラウドサービス「Trustpro」の提供、BI/DWH、ERP/CRMに関連するソリューションの提供を行っている。2019年3月期はCRMや自社クラウドアプリケーション関連の案件が堅調に推移し、売上高は2,361百万円(前期比11.3%増)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)
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