■業績動向
1. 2019年3月期の業績動向
リソルホールディングス<5261>の2019年3月期の業績は、売上高20,950百万円(前期比11.4%減)、営業利益767百万円(同63.5%減)、経常利益1,554百万円(同24.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,425百万円(同0.7%増)となった。経済環境が依然として先行き不透明な状況にあるなか、新しい柱となる事業への挑戦や新しい施設の開業、新しいマーケットの開拓などに取組むとともに、「リソルスタイル」を徹底させることによって顧客の満足度向上を図った。
だが、営業利益が大幅に減少した。これは、2018年3月期に販売用不動産の売却の増加や持分法適用会社として見込んだゴルフ場が持分の増加で連結子会社化されたことなどにより、例年以上に営業利益が積上がった反動、及び2019年3月期において投資再生ゴルフ場の売却が株式による売却となったことで収益計上区分が売上高から営業外収益に移ったことが要因である。したがって、2019年3月期の経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は期初計画から大きくずれておらず、実態としての業績はおおむね会社の想定どおりに順調に推移したと言うことができる。
ホテル運営事業では、売上高が9,233百万円(前期比14.3%増)、営業利益が1,221百万円(前期比9.4%減)となった。初進出の京都エリアで「ホテルリソル京都 河原町三条」「ホテルリソル京都 四条室町」「ホテルリソルトリニティ京都 御池麩屋町」の3館をオープン、それぞれ日本独自の「間」の演出や京文化を感じさせるリビングロビーの提案など「和モダン」でスタイリッシュな空間が評価を得た。また、茨城県、岡山県の2ヶ所で展開する“スパ&ゴルフリゾート”では施設の品質向上や料理・サービスなどの改善により、宿泊者数・売上高ともに大幅に増加、“R&Sホテル”と“ペット&スパホテル”では、顧客満足度の向上と運営現場のローコスト化を推進し収益を改善した。業績面では、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震による北海道地区のホテルでのキャンセルや、台風の連続通過による「プリシアリゾートヨロン」の大幅な売上ダウンなど頻発した自然災害の影響、一部ホテルのセールス&リースバックによる賃料増、2019年4月開業予定のホテルの準備費により減益となった。しかし、博多や札幌など大型基幹ホテルでのビジネス・観光・インバウンド需要の積極的な取込み、独自のくつろぎスタイルの推進とハード・ソフトの品質改善、きめ細かい単価施策により、既存施設では増益になったと推察でき、実態として業績は順調に推移したと見ている。
ゴルフ運営事業部門では、売上高5,335百万円(前期比33.6%減)、営業利益236百万円(同83.9%減)となった。会員サービスの向上策として、同社グループ共通で使える「リソルカードG」会員の獲得を強化、受付から精算までをワンストップで行える「リソルカード ナビステーション(ナビステ)」を開発・導入、また「ナビステ」のQRコードによる優待施策を実施した。また、ローコスト運営も推進した。なお、南栃木ゴルフ倶楽部で展開した新たなゴルフスタイルを提案する「Enjoy!Golf」を改良し利用者からの評価は一層高まったようだ。ゴルフ場業態変革の一環であるバンケット事業では、法要や宴会需要が増えたことで客層が拡大した。しかし、西日本豪雨災害の影響や前期に生じた「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」のまとまった新発会員権収入が含まれないことにより、減益となった。ただし、前述のロイヤリティ施策や独自のサービススタイルで顧客満足度向上を図る中、ゴルフ来場者は増加しており、ゴルフ場運営そのものは堅調だったと言える。
CCRC事業部門では、売上高が2,806百万円(前期比2.0%減)、営業利益が51百万円(同50.1%減)となった。「リソル生命の森」で推進する「大学連携型CCRC」構想の実現に向けて、ウェルネスエイジクラブでの健康寿命延伸プログラムの質・量の充実を図った。宿泊事業では、需要のあるチームビルディング研修で参加人数が前期比3倍となるなど好評で、宿泊事業は好調に推移した。顧客満足の向上と収益拡大を図るため、上質化路線への転換に向けた大規模リニューアル工事「RE-BORN計画」を策定した。業績的には、宿泊事業と料飲事業は順調だったものの、降雪の影響などによるゴルフ場の苦戦が影響した。
福利厚生事業では、売上高1,728百万円(前期比3.8%増)、営業利益57百万円(前期は384百万円の損失)となった。なかなか採算に乗らなかったが、事業構造改革によって宿泊メニューの拡充と合理化・効率化を推進したことが奏功し、収益構造は見違えるように改善した。具体的には、働き方改革により福利厚生の充実度が注目される時代になったことを受け、「ライフサポート倶楽部」導入企業の従業員満足度をさらに高める策を打った。「毎日見てもらい、毎日利用される福利厚生」をテーマに提携サービスのメニューを拡充するとともに、複数の宿泊予約サイトを一括管理できるクラウド型サイトコントローラーの業界トップ3社と業務提携をした。また、従前より取組んでいる「健康経営®」や「働き方改革」支援では、会員ニーズを反映してメニューの充実を図った。
再生エネルギー事業では、売上高が1,596百万円(前期比100.9%増)、営業利益が490百万円(前期比27.4%増)となった。太陽光関連の不動産(備前)と設備(瀬戸内)の売却により開発利益を確保、2ケタ増益となった。なお、福島県で進めている大型開発の約37メガワットの太陽光発電事業は、2020年3月期中の売電開始に向けて順調に工事が進捗しており、また「リソル生命の森」において日本初となる「地産地消エネルギーシステム」の導入準備や約1.5メガワット太陽光発電事業を進めているもよう。
不動産関連事業部門では、売上高は249百万円(前期比88.7%減)、営業損失は48百万円(前期は396百万円の利益)となった。主に保養所をペット同伴ホテルなどへ転換する再生・活性化事業に取組んだ。投資再生事業では、ゴルフ場内の太陽光転用土地売却(岡山県)やゴルフ場隣接地の太陽光設備売却(広島県)を行った。なお、売却益は再生エネルギー事業に含む。また、運営施設のバリューアップ型投資再生ビジネスにおいてゴルフ場株式売却(静岡県)に伴い、営業外収益として計上したため同事業の営業利益は減益となった。それでも、同社グループ全体への利益貢献は非常に大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2019年3月期の業績動向
リソルホールディングス<5261>の2019年3月期の業績は、売上高20,950百万円(前期比11.4%減)、営業利益767百万円(同63.5%減)、経常利益1,554百万円(同24.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,425百万円(同0.7%増)となった。経済環境が依然として先行き不透明な状況にあるなか、新しい柱となる事業への挑戦や新しい施設の開業、新しいマーケットの開拓などに取組むとともに、「リソルスタイル」を徹底させることによって顧客の満足度向上を図った。
だが、営業利益が大幅に減少した。これは、2018年3月期に販売用不動産の売却の増加や持分法適用会社として見込んだゴルフ場が持分の増加で連結子会社化されたことなどにより、例年以上に営業利益が積上がった反動、及び2019年3月期において投資再生ゴルフ場の売却が株式による売却となったことで収益計上区分が売上高から営業外収益に移ったことが要因である。したがって、2019年3月期の経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は期初計画から大きくずれておらず、実態としての業績はおおむね会社の想定どおりに順調に推移したと言うことができる。
ホテル運営事業では、売上高が9,233百万円(前期比14.3%増)、営業利益が1,221百万円(前期比9.4%減)となった。初進出の京都エリアで「ホテルリソル京都 河原町三条」「ホテルリソル京都 四条室町」「ホテルリソルトリニティ京都 御池麩屋町」の3館をオープン、それぞれ日本独自の「間」の演出や京文化を感じさせるリビングロビーの提案など「和モダン」でスタイリッシュな空間が評価を得た。また、茨城県、岡山県の2ヶ所で展開する“スパ&ゴルフリゾート”では施設の品質向上や料理・サービスなどの改善により、宿泊者数・売上高ともに大幅に増加、“R&Sホテル”と“ペット&スパホテル”では、顧客満足度の向上と運営現場のローコスト化を推進し収益を改善した。業績面では、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震による北海道地区のホテルでのキャンセルや、台風の連続通過による「プリシアリゾートヨロン」の大幅な売上ダウンなど頻発した自然災害の影響、一部ホテルのセールス&リースバックによる賃料増、2019年4月開業予定のホテルの準備費により減益となった。しかし、博多や札幌など大型基幹ホテルでのビジネス・観光・インバウンド需要の積極的な取込み、独自のくつろぎスタイルの推進とハード・ソフトの品質改善、きめ細かい単価施策により、既存施設では増益になったと推察でき、実態として業績は順調に推移したと見ている。
ゴルフ運営事業部門では、売上高5,335百万円(前期比33.6%減)、営業利益236百万円(同83.9%減)となった。会員サービスの向上策として、同社グループ共通で使える「リソルカードG」会員の獲得を強化、受付から精算までをワンストップで行える「リソルカード ナビステーション(ナビステ)」を開発・導入、また「ナビステ」のQRコードによる優待施策を実施した。また、ローコスト運営も推進した。なお、南栃木ゴルフ倶楽部で展開した新たなゴルフスタイルを提案する「Enjoy!Golf」を改良し利用者からの評価は一層高まったようだ。ゴルフ場業態変革の一環であるバンケット事業では、法要や宴会需要が増えたことで客層が拡大した。しかし、西日本豪雨災害の影響や前期に生じた「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」のまとまった新発会員権収入が含まれないことにより、減益となった。ただし、前述のロイヤリティ施策や独自のサービススタイルで顧客満足度向上を図る中、ゴルフ来場者は増加しており、ゴルフ場運営そのものは堅調だったと言える。
CCRC事業部門では、売上高が2,806百万円(前期比2.0%減)、営業利益が51百万円(同50.1%減)となった。「リソル生命の森」で推進する「大学連携型CCRC」構想の実現に向けて、ウェルネスエイジクラブでの健康寿命延伸プログラムの質・量の充実を図った。宿泊事業では、需要のあるチームビルディング研修で参加人数が前期比3倍となるなど好評で、宿泊事業は好調に推移した。顧客満足の向上と収益拡大を図るため、上質化路線への転換に向けた大規模リニューアル工事「RE-BORN計画」を策定した。業績的には、宿泊事業と料飲事業は順調だったものの、降雪の影響などによるゴルフ場の苦戦が影響した。
福利厚生事業では、売上高1,728百万円(前期比3.8%増)、営業利益57百万円(前期は384百万円の損失)となった。なかなか採算に乗らなかったが、事業構造改革によって宿泊メニューの拡充と合理化・効率化を推進したことが奏功し、収益構造は見違えるように改善した。具体的には、働き方改革により福利厚生の充実度が注目される時代になったことを受け、「ライフサポート倶楽部」導入企業の従業員満足度をさらに高める策を打った。「毎日見てもらい、毎日利用される福利厚生」をテーマに提携サービスのメニューを拡充するとともに、複数の宿泊予約サイトを一括管理できるクラウド型サイトコントローラーの業界トップ3社と業務提携をした。また、従前より取組んでいる「健康経営®」や「働き方改革」支援では、会員ニーズを反映してメニューの充実を図った。
再生エネルギー事業では、売上高が1,596百万円(前期比100.9%増)、営業利益が490百万円(前期比27.4%増)となった。太陽光関連の不動産(備前)と設備(瀬戸内)の売却により開発利益を確保、2ケタ増益となった。なお、福島県で進めている大型開発の約37メガワットの太陽光発電事業は、2020年3月期中の売電開始に向けて順調に工事が進捗しており、また「リソル生命の森」において日本初となる「地産地消エネルギーシステム」の導入準備や約1.5メガワット太陽光発電事業を進めているもよう。
不動産関連事業部門では、売上高は249百万円(前期比88.7%減)、営業損失は48百万円(前期は396百万円の利益)となった。主に保養所をペット同伴ホテルなどへ転換する再生・活性化事業に取組んだ。投資再生事業では、ゴルフ場内の太陽光転用土地売却(岡山県)やゴルフ場隣接地の太陽光設備売却(広島県)を行った。なお、売却益は再生エネルギー事業に含む。また、運営施設のバリューアップ型投資再生ビジネスにおいてゴルフ場株式売却(静岡県)に伴い、営業外収益として計上したため同事業の営業利益は減益となった。それでも、同社グループ全体への利益貢献は非常に大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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