■会社概要
2. 事業概要
(1) 事業内容
イー・ギャランティ<8771>は企業間取引の際に発生する売上債権等の信用リスクを保証するサービスを手掛けている。以下に事業の流れを説明する。
まず、同社は企業間取引で発生した売掛債権等に関する未回収リスクを「保証」という形で事業会社または金融機関などから受託契約し、債務不履行が発生した場合に契約時に定められた保証額を限度に契約企業に支払う格好となる。契約企業にとっては、売掛債権等の未回収リスクを一定の保証料を支払うことで最小限に抑えることが可能となる。契約期間は大半が1年契約となっており、保証料は原則として保証開始日の前営業日に一括徴収し、これを月分割して売上計上している。このため、月ごとの売上変動は比較的小さく、ストック型のビジネスモデルとなる。
売上高は「保証残高×保証料率」で決まるため、信用保証残高をいかに積み上げるかが、売上成長の鍵を握ることになる。保証料率に関しては日々発表される経済指標や企業倒産件数の動向、過去の経験則に基づいた未回収リスクの発生確率などを様々なデータを参考にして、毎月見直しを行っている。企業の倒産件数が減少傾向にあるときは信用リスクも低減するため、保証料率は低下する。また、実際の保証料率に関しては個々の契約内容や保証対象企業ごとにリスク審査を行った上で決定している。業界内で規則がないため自由に設定できるが、リスクヘッジに見合った保証料率で設定している。
また、引き受けた信用リスクに関しては、リスク度合いに応じて細分化し、金融機関やファンド等の金融リスク商品としてポートフォリオを再組成して移転(流動化)している。信用リスクの移転に伴って発生する支払保証料や支払手数料等が売上原価の大半を占めることになる。
このため、同社が顧客と契約する保証料率と同社がリスクの移転先に支払う再保証料率のギャップが売上原価率の変動要因となる。同社ではリスク移転手法の多様化、高度化を進めることで再保証料率の低減を進めているほか、子会社でファンドを組成することでリスク受託力の強化を図ると同時に、支払保証料等の社外流出を抑えることで低コスト化を実現している。ファンドは1本当たり200~1,000億円規模でリスクを引受けており、金融機関等から資金を調達している。ここ数年、超低金利が続き、運用パフォーマンスの維持・向上が難しくなっているなかで、同ファンドに対する需要は強く、有利な条件で資金を調達できているようだ。こうした取り組みに加えて、デフォルト率が想定を下回っていることもあって、売上原価率はここ数年低下傾向が続いている(2018年3月期はミドルリスクの債権保証サービス等を開始したことで一時的に原価率が上昇)。
(2) 営業体制
同社は全国展開するに当たって、東京本社のほか大阪、福岡、愛知、北海道に支店を開設している。自社の営業拠点としては当面、現状の体制を維持していく計画だ。顧客開拓に関しては地方銀行を中心とした金融機関や商社、リース会社などと業務提携を結び、効率的に進めている。とりわけ、地方銀行については2019年3月末時点で51行と業務提携を結ぶなど、ほぼ全国にネットワークを確立している。顧客の紹介案件数の内訳を見ると、地銀からの紹介案件が全体の約8割を占めており、重要な顧客開拓ルートとなっている。また、2016年3月期からは中小企業の顧客を多く抱える信用金庫との提携も進めており、2019年3月末時点で7つの信用金庫と提携している。
顧客数は中小から大企業まで合計2,000社を超え、卸売業、小売業、製造業など幅広い業種にわたり、特定業種の景気変動に業績が影響を受けることはない。同社はこれら顧客からサービスの審査対象となる企業の情報を収集し、データベース化している。審査企業は毎月2万社を超えており、経営情報だけでなく経営者の属性データや周辺情報なども含めてデータベース化し、リスク度合いを分析して最適な保証料率を設定している。データベースには経営者の性別や年齢層別、外部口コミサイトの評価状況などの情報も入っており、最終的には審査担当者の経験等も加味したうえで最適な信用保証率を設定している。ここまで徹底した分析を行う企業は他にはなく、同社の強みともなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業概要
(1) 事業内容
イー・ギャランティ<8771>は企業間取引の際に発生する売上債権等の信用リスクを保証するサービスを手掛けている。以下に事業の流れを説明する。
まず、同社は企業間取引で発生した売掛債権等に関する未回収リスクを「保証」という形で事業会社または金融機関などから受託契約し、債務不履行が発生した場合に契約時に定められた保証額を限度に契約企業に支払う格好となる。契約企業にとっては、売掛債権等の未回収リスクを一定の保証料を支払うことで最小限に抑えることが可能となる。契約期間は大半が1年契約となっており、保証料は原則として保証開始日の前営業日に一括徴収し、これを月分割して売上計上している。このため、月ごとの売上変動は比較的小さく、ストック型のビジネスモデルとなる。
売上高は「保証残高×保証料率」で決まるため、信用保証残高をいかに積み上げるかが、売上成長の鍵を握ることになる。保証料率に関しては日々発表される経済指標や企業倒産件数の動向、過去の経験則に基づいた未回収リスクの発生確率などを様々なデータを参考にして、毎月見直しを行っている。企業の倒産件数が減少傾向にあるときは信用リスクも低減するため、保証料率は低下する。また、実際の保証料率に関しては個々の契約内容や保証対象企業ごとにリスク審査を行った上で決定している。業界内で規則がないため自由に設定できるが、リスクヘッジに見合った保証料率で設定している。
また、引き受けた信用リスクに関しては、リスク度合いに応じて細分化し、金融機関やファンド等の金融リスク商品としてポートフォリオを再組成して移転(流動化)している。信用リスクの移転に伴って発生する支払保証料や支払手数料等が売上原価の大半を占めることになる。
このため、同社が顧客と契約する保証料率と同社がリスクの移転先に支払う再保証料率のギャップが売上原価率の変動要因となる。同社ではリスク移転手法の多様化、高度化を進めることで再保証料率の低減を進めているほか、子会社でファンドを組成することでリスク受託力の強化を図ると同時に、支払保証料等の社外流出を抑えることで低コスト化を実現している。ファンドは1本当たり200~1,000億円規模でリスクを引受けており、金融機関等から資金を調達している。ここ数年、超低金利が続き、運用パフォーマンスの維持・向上が難しくなっているなかで、同ファンドに対する需要は強く、有利な条件で資金を調達できているようだ。こうした取り組みに加えて、デフォルト率が想定を下回っていることもあって、売上原価率はここ数年低下傾向が続いている(2018年3月期はミドルリスクの債権保証サービス等を開始したことで一時的に原価率が上昇)。
(2) 営業体制
同社は全国展開するに当たって、東京本社のほか大阪、福岡、愛知、北海道に支店を開設している。自社の営業拠点としては当面、現状の体制を維持していく計画だ。顧客開拓に関しては地方銀行を中心とした金融機関や商社、リース会社などと業務提携を結び、効率的に進めている。とりわけ、地方銀行については2019年3月末時点で51行と業務提携を結ぶなど、ほぼ全国にネットワークを確立している。顧客の紹介案件数の内訳を見ると、地銀からの紹介案件が全体の約8割を占めており、重要な顧客開拓ルートとなっている。また、2016年3月期からは中小企業の顧客を多く抱える信用金庫との提携も進めており、2019年3月末時点で7つの信用金庫と提携している。
顧客数は中小から大企業まで合計2,000社を超え、卸売業、小売業、製造業など幅広い業種にわたり、特定業種の景気変動に業績が影響を受けることはない。同社はこれら顧客からサービスの審査対象となる企業の情報を収集し、データベース化している。審査企業は毎月2万社を超えており、経営情報だけでなく経営者の属性データや周辺情報なども含めてデータベース化し、リスク度合いを分析して最適な保証料率を設定している。データベースには経営者の性別や年齢層別、外部口コミサイトの評価状況などの情報も入っており、最終的には審査担当者の経験等も加味したうえで最適な信用保証率を設定している。ここまで徹底した分析を行う企業は他にはなく、同社の強みともなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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