フォーカスシステムズ、通期は増収増益で着地 売上高・各利益ともに過去最高を更新する好決算に
ハイライト
森啓一氏:フォーカスシステムズの社長の森です。本日は、弊社の決算説明会にご来場いただき、誠にありがとうございます。第43期の業績の概要とともに、財務面の状況、今期の業績予想、最近のトピックスについてご説明します。よろしくお願いします。ではさっそく、第43期の決算からご説明します。
まず、ハイライトです。第43期決算ですが、売上高・各利益とも過去最高を更新しました。それに伴い、昨年度は一昨年度に引き続き増配で、16円から20円としています。配当性向も31.2パーセントから34.4パーセントとさせていただきました。
事業についても、新規ビジネスの推進ということで、スライドに載せさせていただいたように、ドローンに関するビジネスや新会社の設立、RPA、NoSQLデータベース、また三次電池に関する発表をさせていただきました。
さらに、既存ビジネスの拡大と利益率の改善が、主なハイライトの内容です。
概況
概況についてです。見ていただくとわかりますように、2019年3月期の実績は、売上高214億5,300万円、営業利益13億6,800万円、経常利益13億7,500万円、純利益8億7,400万円となりました。前期比で比べましても、ご覧のように、利益に関しては30パーセント超の増加となっています。
また、当初の計画比に対しても、このようなかたちで増加となり、会社としても非常によい決算となった43期でした。
売上高 推移
とくに売上高に関しては8期連続の増収となっています。2015年3月期から2019年3月期の過去4期にわたっては、4年で60億円ほどの増収というかたちで、売上も順調に成長しています。
利益 推移
利益ですが、右肩上がりで成長しています。営業利益に関しては、昨年度はその前の2017年3月期から184パーセントの成長です。経常利益も188パーセント成長、純利益も159パーセントというかたちで、順調に伸びています。
ホームページを見ていただくとわかるためスライドには記載していないのですが、ROEも7.5パーセントから8.7パーセント、そして9.6パーセントと順調に上がっています。ROAのほうも、5.0パーセントから6.5パーセント、そして8.4パーセントと順調に伸びている状況です。
セグメント情報サマリー
セグメントの状況ですが、弊社ではセグメントを「公共関連事業」「民間関連事業」「セキュリティ機器関連事業」の3セグメントに分けています。
売上高はここに記載のとおりですが、割合は公共関連が全体の32.1パーセント、民間が62.0パーセント、セキュリティが5.9パーセントとなっています。
それに伴うセグメント利益ですが、スライドのとおりです。それぞれが占める割合としては、公共関連は38.1パーセント、民間は51.4パーセント、そしてセキュリティは10.5パーセントとなっています。
また、調整額に記載のある約16億2,900万円は販管費です。これは、全体の売上高の約7.6パーセントを占めるかたちで、毎年通常どおりです。この販管費の率もだんだん下がっている状況です。
セグメント別 概況①
それぞれのセグメントごとの詳しい情報についてです。
公共関連事業に関しては、前年度比12.1パーセント増、セグメント利益も(前年度比)13.8パーセント増で、順調に推移しています。
案件の選択と集中、積極的な人材確保、プロジェクト管理の徹底といった取り組みにより、売上・利益とも順調に伸びました。
セグメント別 概況②
民間関連事業も同じように、売上高が(前年度比)10.8パーセント増、セグメント利益も(前年度比)26.4パーセント増ということで、順調に推移しています。こちらも、新規案件の獲得、請負案件、直請け案件の増加により増収増益となっています。
セグメント別 概況③
セキュリティ機器関連事業も、売上高が(前年度比)6.9パーセント増、利益に関しても(前年度比)18.1パーセント増となり、順調に推移している状況です。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表ですが、昨年度と比較しての主な増減についてです。総資産の金額は若干減少しているのですが、主な理由は、投資有価証券の評価替えの影響です。
弊社が持っていますFRONTEOさんの株価が、一昨年度の終値が885円で、昨年度が547円ということで、約1年で338円ほど減少しており、それに伴う評価替えで投資有価証券の減少が9億1,000万円となり、評価差額金の減少で総資産は減っています。主な要因はそれになります。
もう少し加えると、資金がある程度潤沢ということで、借入れが減っています。
損益計算書(P/L)
P/Lについても、先ほど説明させていただいたように、昨年度と比べて順調に推移しています。
昨年度は特別損失で7,300万円ほど計上させてもらっていますが、これは、弊社が持っていた社員寮を用途替えというかたちで評価替えした影響です。
純利益の増減分析
こちらは、一昨年度の利益と昨年度の利益を比べたグラフになります。
キャッシュ・フロー(C/F)
キャッシュ・フローも非常にいい動きをしています。営業活動によるキャッシュ・フローは13億2,200万円の増加です。一番大きな要因は税引前の純利益の増加で、本業で儲けた金額を投資と財務活動の借入返済に充てており、会社として自社で稼いだお金を投資と借入の返済に回すということで、キャッシュ・フローの流れとして非常にきれいな状態です。
また期末残高は、前年度末と比べて約1億円ぐらい増加しています。
キャッシュ・フローの改善:純有利子負債の削減
純有利子負債ですが、キャッシュ・フローの改善ということで、会社として実質の借金をゼロにしたいと常に言っていたのですが、2018年3月期でほぼ転換しまして、今では16億円の資金超過です。現預金残高が実際の有利子負債よりも上回ってきまして、2005年3月期から2019年3月期ですから、約15年で資金的に58億円改善しています。
株価・配当の推移
配当は、昨年度に20円配当としました。2018年3月期が16円、その前が12円50銭ですので、利益の増加に伴って還元できていると思っています。
株主構成及び各所有株式数
株主構成と株主数ですが、2019年3月末の株主数は6,867人で、2018年3月末から218名ほど減っています。本来、私の中の計画ではもう少し増えてほしかったところですが、今後増やすためにどうするか、会社として考えていかなければいけないところだと思います。
会社の数字は非常に順調なのですが、株価が下がっています。他の会社さまでもそうした現象があるみたいですが、弊社としてもそこが痛し痒しのところです。今後、株価をきちんと上げていくためにどういう施策をとっていくのか、私自身、経営者として考えていかなければいけない部分です。
主要顧客グループ別売上高構成比
主要顧客グループ別の売上構成比です。こちらは毎年ほとんど変わりません。TISインテック関連企業さまは少し伸びて、3番目になりました。NTTデータ関連企業さま、IBM関連企業さまが1位、2位というのは変わらず、そこにTISインテックさまとソフトバンクさまというかたちで、これが弊社の主要顧客別の売上となっています。
労務費・外注費の割合
労務費と外注費の割合はどうなっているのかという問い合わせがよくあるということで、弊社の場合はスライドを見ていただくとわかるとおり、売上の伸びとともに、労務費と外注費は当然伸びるのですが、伸びているのはどちらかと言うと外注費です。
会社としては、好不況にかかわらず、一定数の正社員の採用を心がけています。その理由は、きちんとした人数で、きちんとした教育をして現場に配属するということで、会社としてよい人材になってもらうための教育が非常に重要であると考えているからです。
ただ、仕事があるから極端に社員数を増やすよりも、社員数はある程度一定にして、毎年同じ数だけ採用した上で、足りない分を外注さんに依存していくのが弊社のビジネスモデルです。
依存と言っても、昨年度に関しては間接部門側と現場側がかなり協力し合って、新しい協力会社さんの発掘もかなり進みました。人材が足りない中でもかなり確保できたがゆえに、非常にいい決算になったと思っています。
社員数&離職率の推移
毎年同じように、安定して採用していますが、弊社の離職率は非常に低い水準で推移しています。業界の離職率に比べると約半分ぐらいの割合で推移している状況です。社員は毎年一定数採用していますが、辞める数が少ないため、確実に増加している状況です。これが、弊社の社員数と外注費の流れです。
トップメッセージ
ここまでが第43期の決算の概況で、続いて今期の話に移りたいと思います。トップメッセージと業績予想ということで、投資家さまに、会社としてのイメージを持っていただくにはどうすればいいかということで、けっこう頭を悩ませていまして、今年度はトップメッセージとしてこのスライドのかたちにしてみました。
「ドラマを仕掛ける会社であり続けたい」ということで、要は投資家のみなさまから「ワクワクする会社」と思ってもらえる会社にしたいということです。ここに書いてあるように、今の会社の姿は、これまでに会社が描いてきたドラマの積み重ねです。いろいろなドラマを仕掛けてきましたが、さらにワクワクしていただけるようなドラマを仕掛けていきたい。そういった会社であり続けたいということを、常に念頭に置いて経営しようということで、社員一同、団結して経営していこうと考えています。
そのための基礎となるのが、イラスト部分に書いてあるような「企業価値の向上」「人材の育成」です。とくに最新技術など、新しいことを常に発想する力、構想力を磨くような人材育成(が重要です)。
また、「業務効率化」を幹にして、そこから既存業務の拡大や新規事業の開拓を行います。それを進めていく上で、また今年度も過去最高の売上・利益を達成できたらいいなと考えています。
業績予想
2020年の計画ですが、売上高218億円、営業利益14億2,000万円、経常利益14億2,000万円、当期利益9億3,000万円と、前年度の決算を上回る計画です。
会社としては、今の時点で予想できる最善でこの数字を出させていただきましたが、周りからは、「十分達成できちゃうんじゃないの?」「ちょっと保守的すぎるんじゃないの?」という声もあります。決してそういうことはなく、会社として当然、「これを上回るように」と考えています。
また配当は昨年度と同じようなかたちで、とくに発表はしていないのですが、配当性向はおおむね30パーセントくらいを目安にと考えていますので、今年度も20円配当というかたちで発表させていただきました。
トピックス①
今、会社が取り組んでいる、昨年度に発表させてもらった新しい話題を簡単にお話ししたいと思います。
まずは、「VR・AI技術の新たな活用分野を作る」ということで、共同出資で「VRaiB(ブレイブ)」という会社を設立しました。VR、AI、ブロックチェーンといったITの先端技術開発が得意な社員がおり、その者たちがVRaiBという会社で、いろいろな作業をしています。
まだ、具体的には売上などに結び付いていないのですが、今年度から、少しでもかたちになっていけばいいなと考えて取り組んでいます。
トピックス②
ドローンですが、一般社団法人ドローン操縦士協会とアライアンスを組みました。今も新聞などで、いろいろなドローンの技術が取り上げられていますが、その中で弊社としてはセキュリティという分野が非常に強いため、「セキュリティとドローンを組み合わせて、何か新しいことはできないだろうか」ということで、アライアンスを組ませていただきました。
トピックス③
それに伴い、地方自治体とも協力していこうということで、茨城県笠間市と無人航空機活用等による連携協力協定を結ばせていただきました。
トピックス④
みなさまもご存知かと思いますが、FRONTEO社製品(の開発協力)ということで「人工知能による特許調査・分析システム」で、実際にFRONTEO社が持つ製品群の開発を一部担当させていただいており、一緒に取り組んでいます。
トピックス⑤
UiPath社(との取り組み)ですが、みなさまもよくお聞きになると思いますが、RPAの面でのパートナー契約を締結したという内容です。
トピックス⑥
MarkLogic社とは「NoSQLソリューション提供開始」ということで、こちらも新しいもので注目されています。今年度から具体的にかたちにしていきたいということで取り組んでいます。
トピックス⑦
筑波大学(との取り組み)です。「三次電池」という言葉自体、筑波大学の先生が作り出したものですが、「新しい三次電池」を研究する研究室と一緒に推進していきます。まだ基礎研究でしばらく時間はかかるのですが、共同研究というかたちでお金を若干出して、研究を進めています。
そのほか、筑波技術大学さんとの取り組みについてです。耳の聞こえない「ろうあ者」は、相手の唇の動きを読んで会話を理解するのですが、1対1なら理解できても、1対複数……例えば5人くらいが一斉にしゃべると、おそらくわからなくなります。とくに、もし外国人の言葉だったら余計わからなくなります。
そこで、しゃべった言葉を文字にするという研究を、筑波技術大学さんの研究室と一緒に行っています。今、いろいろと開発が進んでいますが、そういった製品が具体的にできたらうれしいと思っており、試行錯誤しながら進めています。
その他、東大や茨城大といった大学と、産学連携でいろいろと(進めています)。教授と連絡を取り合いながら、「今後、弊社と大学とで、何か新しい技術で生み出せることはないだろうか」という議論を進めている状況です。
まだ具体的に売上や利益に関与するわけではないですが、そういったことを仕掛けながら、常に新しい世界を考えて取り組んでいきたいと思っています。
以上になります。今年度もみなさまの期待に応えられる会社になるべく、鋭意努力していますので、よろしくお願いします。
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