■業績動向
1. 2018年12月期の業績概要
サイバーリンクス<3683>の2018年12月期決算は、売上高が前期比0.7%増の9,685百万円、営業利益が同12.6%減の504百万円、経常利益が同15.7%減の513百万円、当期純利益が同27.4%増の320百万円となった。当期純利益は、前期に発生した特別損失が消失していることから、前期比では大幅増益となった。
営業利益が減益となった主な要因は、ITクラウド事業において次期@rmsの開発に遅れが生じ、一部の案件で消費税増税(2019年10月予定)の前に稼働を開始することが難しくなったため顧客が発注を見送る(受注ができない)可能性が高くなり、この案件向けに積み上げてきた仕掛品を費用化したこと等(約100百万円)による。これ以外はほぼ計画どおりであった。
経常利益(前期比95百万円減)の増減要因を分析すると、主な増益要因としては官公庁クラウド分野の利益率改善83百万円、販管費等の減少71百万円、その他費用の減少8百万円などで、一方で主な減益要因としては流通クラウド分野の原価増98百万円、ソフトウェア償却費負担増98百万円などであった。
2. セグメント別状況
各セグメントの状況は以下のようであった。
(1) ITクラウド事業
官公庁クラウド分野で大型案件減少により減収となったが、流通クラウド分野では@rmsをはじめとするサービス提供が拡大し、セグメント全体の売上高は前期比1.1%増の5,764百万円となった。しかしセグメント利益は、開発投資の増強、仕掛品の費用化等により同12.1%減の307百万円となった。
a) 流通クラウド分野
前期に発生した海外進出企業への支援等の大型案件に伴う機器販売やカスタマイズが減少したものの、主力サービスである@rmsやクラウド型EDIサービスが順調に拡大し、売上高は前期比で増収となった。しかし利益面では、@rms次期バージョンの開発にかかる償却負担増、サービス拡充に向けたAI利用等の研究開発投資増などに加えて、一部案件が受注できない可能性が高くなり、この案件向けに進めてきた開発(仕掛品)を費用化したこと等により、前期比では減益となった。
b) 官公庁クラウド分野
「自治体情報システム強靭性向上モデル」関連案件などの大型案件が減少したことなどから、減収となった。ただし利益面では、防災関連工事案件の利益率が向上し、前期比で増益となった。
(2) モバイルネットワーク事業
販売業務の適正化が求められる環境下で、顧客対応等サービス品質向上による競合店との差別化が奏功し、スマートフォンの販売台数は増加したものの、フィーチャーフォンの販売台数は減少が続き、総販売台数は減少した。ただし、1台当たりの販売単価の上昇により、セグメント売上高は前期比0.1%増の3,920百万円とほぼ前期並みを確保した。
しかし利益面では、前期に実施した店舗リニューアルに伴う減価償却費の増加やキャリアからのインセンティブ収入が減少したことなどから、セグメント利益は同13.3%減の404百万円となった。
自己資本比率は62.0%と安定
3. 財務状況
2018年12月期末の総資産は前期末比408百万円増の6,195百万円となった。流動資産は同257百万円増の2,759百万円となったが、主に現預金の増加18百万円、受取手形・売掛金の増加74百万円、たな卸資産の増加122百万円による。固定資産は同150百万円増の3,436百万円となったが、主にソフトウェアを中心とした無形固定資産の増加137百万円による。
流動負債は同228百万円増の1,930百万円となったが、主に未払金の増加140百万円、前受金の増加149百万円による。固定負債は同74百万円減の373百万円となったが、主に長期借入金の減少50百万円による。この結果、負債合計は同154百万円増の2,304百万円となった。
純資産は当期純利益の計上などによる利益剰余金の増加等により同254百万円増の3,891百万円となった。この結果、2018年12月期末の自己資本比率は62.0%となり、前期末比で0.2ポイント低下した。
4. キャッシュ・フローの状況
2018年12月期の営業活動によるキャッシュ・フローは783百万円の収入であったが、主な収入は税引前当期純利益513百万円、減価償却費475百万円等で、主な支出は売上債権の増加74百万円、たな卸資産の増加122百万円等であった。投資活動によるキャッシュ・フローは635百万円の支出であったが、主な支出は有形固定資産の取得153百万円、無形固定資産の取得477百万円等であった。財務活動によるキャッシュ・フローは128百万円の支出であったが、主な支出は長期借入金の返済50百万円、配当金の支払額77百万円等であった。
この結果、期中に現金及び現金同等物は18百万円増加し、現金及び現金同等物の期末残高は410百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2018年12月期の業績概要
サイバーリンクス<3683>の2018年12月期決算は、売上高が前期比0.7%増の9,685百万円、営業利益が同12.6%減の504百万円、経常利益が同15.7%減の513百万円、当期純利益が同27.4%増の320百万円となった。当期純利益は、前期に発生した特別損失が消失していることから、前期比では大幅増益となった。
営業利益が減益となった主な要因は、ITクラウド事業において次期@rmsの開発に遅れが生じ、一部の案件で消費税増税(2019年10月予定)の前に稼働を開始することが難しくなったため顧客が発注を見送る(受注ができない)可能性が高くなり、この案件向けに積み上げてきた仕掛品を費用化したこと等(約100百万円)による。これ以外はほぼ計画どおりであった。
経常利益(前期比95百万円減)の増減要因を分析すると、主な増益要因としては官公庁クラウド分野の利益率改善83百万円、販管費等の減少71百万円、その他費用の減少8百万円などで、一方で主な減益要因としては流通クラウド分野の原価増98百万円、ソフトウェア償却費負担増98百万円などであった。
2. セグメント別状況
各セグメントの状況は以下のようであった。
(1) ITクラウド事業
官公庁クラウド分野で大型案件減少により減収となったが、流通クラウド分野では@rmsをはじめとするサービス提供が拡大し、セグメント全体の売上高は前期比1.1%増の5,764百万円となった。しかしセグメント利益は、開発投資の増強、仕掛品の費用化等により同12.1%減の307百万円となった。
a) 流通クラウド分野
前期に発生した海外進出企業への支援等の大型案件に伴う機器販売やカスタマイズが減少したものの、主力サービスである@rmsやクラウド型EDIサービスが順調に拡大し、売上高は前期比で増収となった。しかし利益面では、@rms次期バージョンの開発にかかる償却負担増、サービス拡充に向けたAI利用等の研究開発投資増などに加えて、一部案件が受注できない可能性が高くなり、この案件向けに進めてきた開発(仕掛品)を費用化したこと等により、前期比では減益となった。
b) 官公庁クラウド分野
「自治体情報システム強靭性向上モデル」関連案件などの大型案件が減少したことなどから、減収となった。ただし利益面では、防災関連工事案件の利益率が向上し、前期比で増益となった。
(2) モバイルネットワーク事業
販売業務の適正化が求められる環境下で、顧客対応等サービス品質向上による競合店との差別化が奏功し、スマートフォンの販売台数は増加したものの、フィーチャーフォンの販売台数は減少が続き、総販売台数は減少した。ただし、1台当たりの販売単価の上昇により、セグメント売上高は前期比0.1%増の3,920百万円とほぼ前期並みを確保した。
しかし利益面では、前期に実施した店舗リニューアルに伴う減価償却費の増加やキャリアからのインセンティブ収入が減少したことなどから、セグメント利益は同13.3%減の404百万円となった。
自己資本比率は62.0%と安定
3. 財務状況
2018年12月期末の総資産は前期末比408百万円増の6,195百万円となった。流動資産は同257百万円増の2,759百万円となったが、主に現預金の増加18百万円、受取手形・売掛金の増加74百万円、たな卸資産の増加122百万円による。固定資産は同150百万円増の3,436百万円となったが、主にソフトウェアを中心とした無形固定資産の増加137百万円による。
流動負債は同228百万円増の1,930百万円となったが、主に未払金の増加140百万円、前受金の増加149百万円による。固定負債は同74百万円減の373百万円となったが、主に長期借入金の減少50百万円による。この結果、負債合計は同154百万円増の2,304百万円となった。
純資産は当期純利益の計上などによる利益剰余金の増加等により同254百万円増の3,891百万円となった。この結果、2018年12月期末の自己資本比率は62.0%となり、前期末比で0.2ポイント低下した。
4. キャッシュ・フローの状況
2018年12月期の営業活動によるキャッシュ・フローは783百万円の収入であったが、主な収入は税引前当期純利益513百万円、減価償却費475百万円等で、主な支出は売上債権の増加74百万円、たな卸資産の増加122百万円等であった。投資活動によるキャッシュ・フローは635百万円の支出であったが、主な支出は有形固定資産の取得153百万円、無形固定資産の取得477百万円等であった。財務活動によるキャッシュ・フローは128百万円の支出であったが、主な支出は長期借入金の返済50百万円、配当金の支払額77百万円等であった。
この結果、期中に現金及び現金同等物は18百万円増加し、現金及び現金同等物の期末残高は410百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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