3月のくりっく365、ドル円は戻りの鈍い展開か

配信元:フィスコ
投稿:2019/03/19 12:50
東京金融取引所(金融取)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」では、2月の取引数量は前月比32.1%減の192万1264枚となった。一方で、1日の平均取引数量は9万6065枚と前月比で減少し、月末時点の証拠金預託額4638億円と前月比で約7億円増加した。取引通貨量では、米ドル、トルコリラ、豪ドル、南アフリカランド、英ポンドの順となっている。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」では、2月の取引数量は前月比15.0%減少の31万3968枚。1日の平均取引数量も1万5699枚と前月比で小幅に減少し、月末時点の証拠金預託額は673億円と前月比で約15億円増加した。

2月の米ドル・円は、取引数量トップの460,339枚(前月比28.7%減)であった。月前半は政府機関閉鎖への懸念や米中高官協議の再開を受けて様子見ムードが強く、積極的な売買を手掛けにくい状況が続いた。月末になると2月27-28日に行われた米朝首脳会談で合意文書に署名することができなかったことや、インドとパキスタンの空爆の応酬によって地政学リスクが高まったことを受けてドル売りがやや強まる場面もあった。しかし、米10-12月期GDP速報値が予想を上振れ、米国景気の堅調さを好感してドルが買われ1ドル=111円台前半への円安となり2月を終えた。英ポンド・円は、合意なきEU離脱のリスクが懸念されてか、取引数量は前月比41.6%減・前年同月比64.0%減と大幅に減少している。

3月のドル・円は、戻りの鈍い展開となりそうだ。米中貿易協議に関しては、閣僚級の米中貿易協議再開後、順調に協議が進展し、3月末にも首脳会談がフロリダのトランプ大統領の別荘で開催され署名が可能と期待されていた。しかし、成功が期待されていた2回目の米朝首脳会談で、米国側が協定に合意しなかったため、中国の習国家主席が直前になって米国側が合意を確信しない限り首脳会談を拒否したと伝えられており、合意への道は険しそうだ。また、中国の2月貿易統計で輸出入が大きく落ち込んでおり、その他にも予想を下回るような結果が発表された場合、世界経済の成長鈍化懸念が強まることも懸念される。29日の離脱を控え大詰めとなっている英国と欧州連合(EU)の離脱交渉も不透明感が広がっており、今後の展開を注視していくことになるだろう。欧州経済の見通しは厳しい見方が示されており、展開次第では世界的に軟調な地合いを招く事にもなりそうだ。


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配信元: フィスコ