■業績動向
2019年1月10日に発表したファーストコーポレーション<1430>の2019年5月期第2四半期累計決算は、売上高が前年同期比12.4%減の8,944百万円、営業利益が同8.9%減の944百万円、経常利益は同8.8%減の939百万円、四半期純利益が同8.6%減の644百万円と減収減益となった。
依然として不動産事業の環境が厳しいほか、工事が計画に比べて遅れている物件が生じたのが減収減益となった大きな理由。当初の予想が保守的だったため、大きく崩れることはなかったものの、期中に下方修正を余儀なくされた。
ただ、同業で大きく崩れるなかで、小幅のダウンにとどまったのは、共同事業の収入が支えているためで、これは前述した造注方式のビジネスモデルが厳しい環境下で効果を発揮したためと言えそうだ。一方、2018年6月から取り組み始めたリノベーション事業が好調に推移している。リノベーション事業は、まだ事業規模が小さいため、巻き返しのためには、造注方式を活用した受注拡大がカギとなるだろう。
事業を遂行するうえで肝となる用地の確保は、依然として苦戦を強いられている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた不動産特需も、開幕まで1年半余りとなったこの時期は、一巡しそうなタイミングと言えそうだが、土地の売り手が強気の状態であることに変わりがないと言う。
これまではホテルとの用地確保における競争において、ホテル業界が提示する利回り等の条件で、どうしてもマンションは優位に立てず、良質な用地がホテル建設にさらわれる状況が続き、それがようやくピークを過ぎたと思われながらも、病院建設などのニーズも残り、思うように土地が確保できていない。
ちなみに、2019年5月期上期においては、2018年10月に東京都北区で2,251.14平方メートルの土地売買契約を結び、ファミリー向け分譲マンションを企画予定している。当面は仕掛中の案件について成約を目指し、当初は対受注高で39.3%を見込んでいながら、2018年末時点で23.3%まで落ち込んだ造注方式の比率の回復を目指していく方針だ。
利益面では、用地確保の苦戦がそのまま工事の受注編成に響いているほか、何よりも不動産売上の不振が足かせとなっている。ただ、これまで苦戦の大きな要因となっていたホテル業界との競争鎮静化により、今後は用地確保の回復が目指せる状況になりそうだ。
他方、財務面は順調だ。一般的に建設業、不動産業は借入金が多く、他の産業に比べて脆弱なイメージがあるが、同社は公募増資を実施した上に、安定した利益計上によって内部留保の蓄積も進み、自己資本比率は2017年5月期の35.4%から2018年5月期は37.3%と連続の上昇となった。2019年5月期上期はさらに改善し、自己資本比率は42.9%まで上昇している。
2019年5月期の見通しについては、前期比3.3%増の21,499百万円と増収を確保するものの、営業利益は同11.2%減の1,955百万円、経常利益が同10.9%減の1,989百万円、当期純利益は同12.5%減の1,372百万円と増収減益を見込んでいる。
売上高は当初25,018百万円、経常利益は2,396百万円を計画していたが、上期決算を発表する直前の2018年12月27日に下方修正を発表した。今後、用地確保の回復が期待できるようになるなど、明るい材料がありながらも、上期の段階での工事の遅れなどを下期でカバーすることは難しいと言う。これまで、高成長を遂げてきた同社だったが、2019年5月期の業績は踊り場になりそうだ。
他方、建設コストに関しては、高水準が続くものの、価格転嫁が受け入れられる状況になっており、これも収益改善の要因となりそうだ。会社側では、既に資材高のピークは過ぎたとみており、この面は今後は収益にプラスに働いてくるとみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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2019年1月10日に発表したファーストコーポレーション<1430>の2019年5月期第2四半期累計決算は、売上高が前年同期比12.4%減の8,944百万円、営業利益が同8.9%減の944百万円、経常利益は同8.8%減の939百万円、四半期純利益が同8.6%減の644百万円と減収減益となった。
依然として不動産事業の環境が厳しいほか、工事が計画に比べて遅れている物件が生じたのが減収減益となった大きな理由。当初の予想が保守的だったため、大きく崩れることはなかったものの、期中に下方修正を余儀なくされた。
ただ、同業で大きく崩れるなかで、小幅のダウンにとどまったのは、共同事業の収入が支えているためで、これは前述した造注方式のビジネスモデルが厳しい環境下で効果を発揮したためと言えそうだ。一方、2018年6月から取り組み始めたリノベーション事業が好調に推移している。リノベーション事業は、まだ事業規模が小さいため、巻き返しのためには、造注方式を活用した受注拡大がカギとなるだろう。
事業を遂行するうえで肝となる用地の確保は、依然として苦戦を強いられている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた不動産特需も、開幕まで1年半余りとなったこの時期は、一巡しそうなタイミングと言えそうだが、土地の売り手が強気の状態であることに変わりがないと言う。
これまではホテルとの用地確保における競争において、ホテル業界が提示する利回り等の条件で、どうしてもマンションは優位に立てず、良質な用地がホテル建設にさらわれる状況が続き、それがようやくピークを過ぎたと思われながらも、病院建設などのニーズも残り、思うように土地が確保できていない。
ちなみに、2019年5月期上期においては、2018年10月に東京都北区で2,251.14平方メートルの土地売買契約を結び、ファミリー向け分譲マンションを企画予定している。当面は仕掛中の案件について成約を目指し、当初は対受注高で39.3%を見込んでいながら、2018年末時点で23.3%まで落ち込んだ造注方式の比率の回復を目指していく方針だ。
利益面では、用地確保の苦戦がそのまま工事の受注編成に響いているほか、何よりも不動産売上の不振が足かせとなっている。ただ、これまで苦戦の大きな要因となっていたホテル業界との競争鎮静化により、今後は用地確保の回復が目指せる状況になりそうだ。
他方、財務面は順調だ。一般的に建設業、不動産業は借入金が多く、他の産業に比べて脆弱なイメージがあるが、同社は公募増資を実施した上に、安定した利益計上によって内部留保の蓄積も進み、自己資本比率は2017年5月期の35.4%から2018年5月期は37.3%と連続の上昇となった。2019年5月期上期はさらに改善し、自己資本比率は42.9%まで上昇している。
2019年5月期の見通しについては、前期比3.3%増の21,499百万円と増収を確保するものの、営業利益は同11.2%減の1,955百万円、経常利益が同10.9%減の1,989百万円、当期純利益は同12.5%減の1,372百万円と増収減益を見込んでいる。
売上高は当初25,018百万円、経常利益は2,396百万円を計画していたが、上期決算を発表する直前の2018年12月27日に下方修正を発表した。今後、用地確保の回復が期待できるようになるなど、明るい材料がありながらも、上期の段階での工事の遅れなどを下期でカバーすることは難しいと言う。これまで、高成長を遂げてきた同社だったが、2019年5月期の業績は踊り場になりそうだ。
他方、建設コストに関しては、高水準が続くものの、価格転嫁が受け入れられる状況になっており、これも収益改善の要因となりそうだ。会社側では、既に資材高のピークは過ぎたとみており、この面は今後は収益にプラスに働いてくるとみられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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