【これからの見通し】合意なき離脱に突き進む英国、ポンド売りの継続性見極めに

著者:MINKABU PRESS
投稿:2018/12/11 15:45

【これからの見通し】合意なき離脱に突き進む英国、ポンド売りの継続性見極めに

 昨日はポンドが大幅下落した。事前報道できょうの英議会採決が延期される可能性が指摘されていたが、メイ英首相が声明で正式に延期することを表明した。明確な議会採決の日程は示されず、合意なき離脱に準備する姿勢が示されている。EUサイドは、再交渉はしないと明言している。メイ政権の崩壊は時間の問題か。今後は、合意なき離脱をポンド相場がどの程度織り込んでくるのかが注目されそうだ。まずは、今日の海外市場でもポンド相場動向を見極めたいところ。

 渦中の英国では、きょうは8-10月期のILO雇用統計が発表される。失業率は4.1%と前回と同水準となる見込み。週平均賃金は前年比+3.0%と前回と同水準が見込まれている。ただ、メイ政権やEU離脱案をめぐる議会動向などの話題がポンド相場の中心となりそうだ。

 米国では11月の生産者物価指数が発表される。事前予想は前月比横ばい、前年比+2.5%といずれも前回10月の+0.6%や+2.9%から伸びが鈍化する予想となっている。米経済にとっては来年の利上げ動向に陰りがみられてきており、弱めの物価指標に米債利回りが反応し、ドル相場に影響を与える可能性がある。一方、利上げペースの鈍化は米株式市場には歓迎される面もあり、市場の反応は交錯しそうだ。その他では、米3年債入札が予定されている。

 為替市場では、ポンド相場の値動きに注目が集まりそうだが、株式市場ではハイテク主導の米ナスダック指数の動向が気がかり。米株先物は時間外取引で軟調に推移している。昨日のNYクローズではナスダック指数は0.74%高と粘り腰をみせて、7000ドル台を維持して取引を終えていた。各国の主要株価指数が年初来でマイナス領域で取引されるなかで、ナスダック指数は年初来+1.7%とかろうじてプラスを維持している。この指数が崩れるようだと、株式市場のセンチメントは弱気に傾くことが警戒される。為替市場にとっては、リスク回避の円高圧力につながる可能性がある。米国売りになれば、米債が売られて、金利上昇からドル買いに。この場合、クロス円相場が圧迫されそうだ。 

minkabu PRESS編集部 松木秀明

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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