【これからの見通し】円高一服、事態の進展を見守るムード

著者:MINKABU PRESS
投稿:2018/10/16 15:55
 きょうの東京・アジア市場は株式市場がまちまち。世界同時株安の様相は落ち着いてきている。香港・上海株は米中貿易戦争への警戒感を払しょくできずに軟調。一方で、日本株は日経平均が277円高で大引けを迎えており堅調だった。米債利回りは上昇、ドル円は112円台を回復。クロス円もやや円安方向への動きとなっている。リスク選好の動きというよりは、リスク回避の動きが一服したといったところ。

 英EU離脱問題は17-18日のEU首脳会議を控えて大詰めの段階に入っている。しかし、アイルランド国境問題を打開する決め手はまだ見いだせていない。市場では合意なき離脱の瀬戸際ではあるものの、結論が出るまでは思考停止状態となっているようだ。足元ではポンド売りの動きは影を潜めている。ポンド相場にとっては、きょうは英雇用関連指標が注目されよう。6-8月の英ILO雇用統計では、失業率は前回と同様に4.0%となる見込み。賃金の伸びは前年比+2.6%、ボーナス除く前年比+2.9%といずれも前回並みの伸びが予想されている。

 ユーロ相場はドル高圧力で押され気味になっている。一方、ユーロ円では円売りが優勢。対ポンドではややユーロが売られている。現時点では特段の方向性は見出せない。イタリアでは予算案が閣議で承認され、次は議会での承認へと進む。そして、EUによる審査となる運び。週末のドイツ州議会選では与党が大きく議席を削ったが、ユーロ売りの反応は目立たなかった。きょうはユーロ圏貿易収支(8月)、ドイツZEW景況感指数(10月)が発表される。貿易黒字は季節調整済みデータで147億ユーロに拡大する見込み。ZEW景況感指数は-12.0と前回の-10.6から悪化する見込み。

 米国関連では、米鉱工業生産(9月)、米設備稼働率(9月)、対米証券投資(8月)などが発表される。鉱工業生産の伸びは4か月連続の増加が見込まれているが、伸び率は前月比+0.2%に鈍化することが予想されている。きょうは企業決算にも注目。ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、J&Jなどが取引開始前に、ネットフリックス、IBMが取引終了後に発表される。為替条項についての悲観的なムードは一服しているが、米財務省の為替報告書はいつ発表されるのか。その内容には引き続き注意しておきたい。 

minkabu PRESS編集部 松木秀明

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