今週は、22300~23000円のレンジの中での短期調整も

著者:出島 昇
投稿:2018/09/03 17:25

先週は、アメリカ株高、円安を受け、一時23000円回復も、終値では回復できず

 先週の予測では、23000円水準を前に戻り一服となる可能性が高いとしました。日経平均は、前週の8月23日(木)のアメリカの対中追加関税の発動をきっかけにアク抜けムードから上昇を開始し、30日(木)の23032円まで上昇後、終値では23000円を回復できず、週末の31日(金)は▼4円の22865円と9日ぶりの小反落となりました。

 想定していましたように23000円は上値の強力なフシになっており、今回も抜けそうにありません。

 日経平均の上昇も、円安基調を受けて、ハイテク株中心の上昇であり、薄商いの中を日経平均に連動する指数が買われての上昇。それも積極的な買いというより、外国人投資家による先物の買い戻しによる上昇であり、積極的に買い上がる状況ではありませんでした。全体の相場の動きを示すトピックスが上昇できないのが、そのことを物語っています。

 27日(月)は、前週末のアメリカ株高の流れを引き継ぎ、為替相場の落ち着きや時間外での米株式の先物高が支えとなり、△91円の22693円で寄り付いたあと、一時△236円の22838円まで上昇し、終値は△197円の22799円と5日続伸となりました。

 28日(火)は、前日のアメリカ市場が3指標そろって上昇となり、ナスダックが初の8000P台となったことを好感し、△168円の22967円で寄り付いたあと、一時△207円の23006円まで上昇するものの、その後は利益確定売りに押され△13円の22813円と小幅の6日続伸で引けました。

 29日(水)は、前日のアメリカ株高と先物買いで上げ幅を拡大し、一時△154円の22968円まで上昇するも、前日と同じように利益確定売りに押され、上げ幅を縮小して△34円の22848円と小幅の7日続伸でした。

 30日(木)は、前日のアメリカが3指標続伸し、ナスダック、S&P、ラッセル2000が史上最高値を更新し、為替も1ドル=111円台後半まで円安進行したことを受け、買い先行で始まり△171円の23020円と23000円台乗せで始まり、終値は△21円の22869円と小幅の8日続伸となりました。

 28日(火)の23006円に続いて、この日も23032円と23000円台に乗せるものの、すぐに23000円を割り込み。23000円の強力なフシを感じさせました。

 週末の31日(金)は、前日のアメリカ市場で米中貿易摩擦懸念が再び高まった(トランプ大統領が2000億ドル規模の3回目の対中追加関税を翌週にも発動するとの報道)ことで、3指標そろって5日ぶりに反落したことで、日経平均は一時▼191円の22678円まで下落しました。しかし、売り一巡後は、円高一服や中国の経済指標を好感し、下げ幅を縮小して▼4円の22865円と9日ぶりの小反落で引けました。

31日(金)のアメリカ市場は、3連休を控え米国とカナダのNAFTAの合意ができず、前日の中国に対するトランプ政権の追加の貿易課税もあり、一時▼107ドルの25879ドルまで下げました。しかし、カナダとの交渉は継続されるということで下げ幅を縮小し、▼22ドルの25964ドルで引けました。

今週は、先週23000円で跳ね返されたことでスピード調整の可能性も

 今週の日経平均は、米中貿易摩擦や新興国の通貨の動向、米金融政策の方向性を見極めながらの動きとなります。米中貿易摩擦は、トランプ大統領が今週にも中国からの輸入品2000億ドル相当に、第3弾の制裁関税を発動する意向だと報じられており、貿易摩擦の長期化が懸念されています。又、新興国通貨安も長期化し、トルコリラ、アルゼンチンペソは1ヶ月で30%下落しています。一方で米金融政策は、今月のFOMCで追加利上げの観測が高まっており、週末の8月雇用統計が良ければ確実性が高まり、アメリカ経済の堅調さを示すものとして株式市場が上昇し、ドルも買われる方向となります。強弱感が対立しているものの、今週の日経平均は、テクニカル的には、先週も23000円のフシで跳ね返されており、短期的な調整の可能性もあります。その場合は、下値も限定的ですから22300~23000円(もしくは22500~23000円)のボックス圏の中で、下値を試す動きということになりそうです。

本日は、先週末に米国とカナダとのNAFTAの再交渉が合意できなかったことで、NYダウが下落したことで、日経平均は▼45円の22819円で寄り付き、後場になると上海株式の下落もあって、先物主導で下げ幅を拡大し、一時▼180円の22684円まで下げ、終値は▼157円の22707円と続落しました。中国やカナダとの通商問題への警戒感に加え、今週は週末に8月雇用統計などのイベントを控え様子見が続くことになりそうです。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、テクニカル的には前週末に200日移動平均線、75日移動平均線、25日移動平均線を一気に上回って引けたことで陽転し、今週は薄商いの中を戻りを試す展開となるものの、米中貿易摩擦の懸念があり、本格的な戻りにはならにとしました。戻りを試したあとは、方向感のない動きになってくると想定しました。
 結局、アメリカ株式の堅調な動きと円安基調をもとに戻りを試す動きとなってザラ場では、8月28日(火)の23006円、8月30日(木)の23032円と2回、23000円台を回復するものの、23000円という強力なフシに阻まれて、終値では回復できず週末は▼4円の22865円と9日ぶりの反落となりました。
 今週は、米中貿易摩擦や新興国通貨の動向や、米金融政策は追加利上げの方向性を確認する動きを見極めながら日経平均は23000円を試そうとするのか、それとも先週は23000円に跳ね返されたことで、いったん短期の調整入りとなるのか注目するところです。基本的にアメリカ株式は、さらに上昇の可能性高く、そのため日経平均は下げれば買いチャンスとなます。22200台~23000円のレンジ内の動きが想定されます。

 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、前週のパウエルFRB議長の講演でアメリカ経済は堅調であり、今年の9月、12月に利上げの可能性が示されたことで、ドルが買われ、NYダウは26000ドルに接近したものの、ここからは米中貿易摩擦が激化すれば上値は重くなるとしました。
 結果的には、8月27日(月)に米国をメキシコが北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で大筋合意となったことを好感し、△259ドルの26048ドルと7ヶ月ぶりの26000ドル台回復となり、ナスダック、S&Pは史上最高値を更新しました。さらに上昇が続き8月29日(水)には、4-6月期GDPが予想を上回ったことで、NYダウは26167ドルまで上昇して△60ドルの26124ドルとなりました。しかし、8月30日にはトランプ大統領が、翌週にも2000億ドル規模の対中追加関税(3回目)を発動するとの報道を受け▼137ドルの25986ドルと5日ぶりの反落となり、週末の8月31日(金)は、カナダとのNAFTA交渉の合意ができず、▼22ドルの25964ドルと続落して引けました。
 今週の予測は、9月3日(月)が祝日で休場ですので、連休明けはまず、NAFTAの再交渉で、次はカナダとの交渉が注目となります。すでに米中貿易でトランプ政権が2000億ドル規模の関税引き上げを今週にも実施(3回目)する意向を示していることから注意が必要です。これまでの2回の追加関税の実施は、目先悪材料出尽くしとなって、株価の上昇となりましたが、今回は企業業績の悪影響も懸念されてくる可能性があり要注意です。今週は高値圏で上値の重い展開となりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、9月の追加利上げ観測が強いものの、米中貿易摩擦によるアメリカ経済への懸念も意識されてきており、ドルの上昇は限定的となるとし、110~112円の狭いレンジを想定。
 トランプ政権の3回目の対中関税発動の報道や新興国通貨安への警戒感からリスク回避の円買いが観測されたが、米長期金利は下げ渋り、日本株は堅調だったことでリスク回避の円買いは拡大しなかった。
 週末の8月31日(金)は、NY市場で米国とカナダのNAFTAの再交渉で合意が成立しなかったことでドルは一時110.69円まで売られましたが、その後111.12円まで戻して引けました。先週は110.69~111.83円の取引レンジとなりました。
 今週は、9月25~26日のFOMCでの追加利上げを睨んで、ドルは底堅い展開が想定されます。

 8月31日に合意できなかったNAFTAの再交渉も5日に再開されるので合意への期待は維持されており、7日に発表される8月雇用統計も想定通りであれば、9月と12月の追加利上げ期待が高まるので、ドルは底堅い動きとなりそうです。但し、米中貿易摩擦懸念がドルの上値を抑えることになります。
 

配信元: みんかぶ株式コラム