■事業概要
1. 会社概要
タナベ経営<9644>は1957年に京都で創業した日本の民間経営コンサルティングのパイオニアであり、国内大手でもある。「コンサルティング&コングロマリット(C&C)戦略」(コンサルティングのプラットフォーム化)の推進により、顧客へ新たなコンサルティング価値を提供し、顧客と共に持続的成長を目指している。経営ミッションは、「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」を創造していくこととしている。
同社は「戦略パートナー」として、事業戦略の立案から組織デザイン、経営システムの構築、次世代経営体制づくりまで経営全般にわたるコンサルティングに加えて、経営者・後継者から新入社員までを育成する人材育成コンサルティング、SP(セールスプロモーション)コンサルティングを全国で展開している。顧客ごとの課題に合わせて、「ドメイン(事業戦略)×ファンクション(組織戦略)×リージョン(地域戦略)」の観点で最適な専門コンサルタントを複数名選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を提供していることが特徴となっている。
事業拠点については、北海道から沖縄までの全国主要10都市に展開している。同業の中で、ファーム形式で全国展開しているのは同社だけであり、地域密着型のコンサルティングサービスを提供できることも同社の特色であり強みとなっている。また、2017年4月に東京本部を「東京本社」に格上げした。各種コンサルティングサービスの企画・プロデュースや、コンサルティング現場等から収集した経営情報を分析・情報発信していく機能を果たす戦略総合研究所や、IR・PR、人材採用、M&A・提携機能等を「東京本社」にも設置して大阪との2本社制とすることで、全国へのサポート機能の充実を図り、更なる成長を目指している。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは、経営コンサルティング事業とSP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の2事業に分けられている。売上構成比(2018年3月期)は、経営コンサルティング事業が57.1%、SPコンサルティング事業が42.9%となっているが、営業利益では経営コンサルティング事業が86.8%と大半を占めている。SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業ではプロモーション商品等の仕入れ販売も含まれるため、利益率が相対的に低くなっているためだが、同事業においても付加価値の高いコンサルティング領域に注力してきたことで、ここ数年は営業利益率も上昇傾向にある。
同社の顧客創造モデルとして、既存顧客紹介、Web、金融機関紹介、新規営業等で新規顧客と接点を持ち、そこから戦略ドメイン&マネジメント研究会やセミナーを開催し、様々な経営課題を持つ企業を集客することで、チームコンサルティング(経営コンサルティング、人材育成コンサルティング、SPコンサルティング)の契約につなげ、ロイヤルカスタマー化していく流れとなっている。最終的に、顧客企業は同社の様々なサービスを利用し、ファーストコールカンパニーを目指していく仕組みである。ここ数年は、戦略ドメイン&マネジメント研究会のテーマ拡充を進めてきたこともあり、新規顧客のうち約7割がこれら研究会や各種セミナーに参加した企業で占められるようになっている。また、顧客の一部はメルマガ会員やFCCアカデミークラウド(デジタル教育)会員、FCC REVIEW(経営情報誌)等の会員サービスとなっている。
(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業の売上高はサービス内容によって、経営コンサルティング、人材育成コンサルティング(オーダーメイド型教育、提携先金融機関・会計事務所等の人材育成等)、セミナー(経営者・後継者対象から新入社員対象まで)、FCC研究会(戦略ドメイン&マネジメント研究会、ファーストコールカンパニートップ会)、アライアンス(提携)に分かれており、うち5割強は経営コンサルティングで占められている。
経営コンサルティングでは、主に中堅企業を対象に、中期経営計画の策定・推進や人材採用・育成・活躍、事業承継(次世代経営体制づくり)、FCCアカデミー(企業内大学)設立、ブランディング戦略など、様々なコンサルティングサービスを提供している。ここ最近は顧客企業から事業の多角化を目的としたM&Aのニーズも増大してきたことから、同社でもM&Aコンサルティングを本格的にサービスメニューに取り入れ、提携金融機関等のネットワークを活用しながら拡大していく予定となっている。
(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業は、顧客企業に対してプロモーション戦略の企画立案から実行推進までを支援するSPコンサルティング(同社専門コンサルタントがデザインするプレミアムノベルティ等であるSPデザインを含む)のほか、SPツール(定番アイテムに名入れ加工等を施すノベルティ)の企画・販売、ダイアリー(ビジネス手帳・カレンダー)の企画・販売などで構成される。顧客層はブランド力を高めたい地方の中堅企業から大企業に至るまで幅広く、3,000社以上の企業にサービス・商品の提供を行っている。
最近では、「こども・子育てファミリーマーケット」をターゲットとしたコンサルティングに注力している。未来の顧客として期待できる同マーケットの可能性とCSRの観点から、顧客企業のニーズも大きい。また、主にブランディング面の課題が多い地域BtoB企業向けのWebプロモーションコンサルティングにも注力し始めている。最近では、経営コンサルティング事業との連携も進んでおり、顧客企業の事業戦略や組織戦略については経営コンサルタントが支援し、商品の販路拡大やブランディング、CIの策定等をSPコンサルタントが請け負うといった事例も増えてきている。経営コンサルティングを主力としながら、デザイン機能・物販機能を備えるSPコンサルティングにも対応できる点は、他のコンサルティング企業にはない同社の強みとなっている。
なお、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業に関しては、約3割の構成比を占めるダイアリーの販売が第3四半期に集中するため、四半期ベースの収益トレンドとしては例年、第3四半期がピークとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社概要
タナベ経営<9644>は1957年に京都で創業した日本の民間経営コンサルティングのパイオニアであり、国内大手でもある。「コンサルティング&コングロマリット(C&C)戦略」(コンサルティングのプラットフォーム化)の推進により、顧客へ新たなコンサルティング価値を提供し、顧客と共に持続的成長を目指している。経営ミッションは、「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」を創造していくこととしている。
同社は「戦略パートナー」として、事業戦略の立案から組織デザイン、経営システムの構築、次世代経営体制づくりまで経営全般にわたるコンサルティングに加えて、経営者・後継者から新入社員までを育成する人材育成コンサルティング、SP(セールスプロモーション)コンサルティングを全国で展開している。顧客ごとの課題に合わせて、「ドメイン(事業戦略)×ファンクション(組織戦略)×リージョン(地域戦略)」の観点で最適な専門コンサルタントを複数名選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を提供していることが特徴となっている。
事業拠点については、北海道から沖縄までの全国主要10都市に展開している。同業の中で、ファーム形式で全国展開しているのは同社だけであり、地域密着型のコンサルティングサービスを提供できることも同社の特色であり強みとなっている。また、2017年4月に東京本部を「東京本社」に格上げした。各種コンサルティングサービスの企画・プロデュースや、コンサルティング現場等から収集した経営情報を分析・情報発信していく機能を果たす戦略総合研究所や、IR・PR、人材採用、M&A・提携機能等を「東京本社」にも設置して大阪との2本社制とすることで、全国へのサポート機能の充実を図り、更なる成長を目指している。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは、経営コンサルティング事業とSP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の2事業に分けられている。売上構成比(2018年3月期)は、経営コンサルティング事業が57.1%、SPコンサルティング事業が42.9%となっているが、営業利益では経営コンサルティング事業が86.8%と大半を占めている。SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業ではプロモーション商品等の仕入れ販売も含まれるため、利益率が相対的に低くなっているためだが、同事業においても付加価値の高いコンサルティング領域に注力してきたことで、ここ数年は営業利益率も上昇傾向にある。
同社の顧客創造モデルとして、既存顧客紹介、Web、金融機関紹介、新規営業等で新規顧客と接点を持ち、そこから戦略ドメイン&マネジメント研究会やセミナーを開催し、様々な経営課題を持つ企業を集客することで、チームコンサルティング(経営コンサルティング、人材育成コンサルティング、SPコンサルティング)の契約につなげ、ロイヤルカスタマー化していく流れとなっている。最終的に、顧客企業は同社の様々なサービスを利用し、ファーストコールカンパニーを目指していく仕組みである。ここ数年は、戦略ドメイン&マネジメント研究会のテーマ拡充を進めてきたこともあり、新規顧客のうち約7割がこれら研究会や各種セミナーに参加した企業で占められるようになっている。また、顧客の一部はメルマガ会員やFCCアカデミークラウド(デジタル教育)会員、FCC REVIEW(経営情報誌)等の会員サービスとなっている。
(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業の売上高はサービス内容によって、経営コンサルティング、人材育成コンサルティング(オーダーメイド型教育、提携先金融機関・会計事務所等の人材育成等)、セミナー(経営者・後継者対象から新入社員対象まで)、FCC研究会(戦略ドメイン&マネジメント研究会、ファーストコールカンパニートップ会)、アライアンス(提携)に分かれており、うち5割強は経営コンサルティングで占められている。
経営コンサルティングでは、主に中堅企業を対象に、中期経営計画の策定・推進や人材採用・育成・活躍、事業承継(次世代経営体制づくり)、FCCアカデミー(企業内大学)設立、ブランディング戦略など、様々なコンサルティングサービスを提供している。ここ最近は顧客企業から事業の多角化を目的としたM&Aのニーズも増大してきたことから、同社でもM&Aコンサルティングを本格的にサービスメニューに取り入れ、提携金融機関等のネットワークを活用しながら拡大していく予定となっている。
(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業は、顧客企業に対してプロモーション戦略の企画立案から実行推進までを支援するSPコンサルティング(同社専門コンサルタントがデザインするプレミアムノベルティ等であるSPデザインを含む)のほか、SPツール(定番アイテムに名入れ加工等を施すノベルティ)の企画・販売、ダイアリー(ビジネス手帳・カレンダー)の企画・販売などで構成される。顧客層はブランド力を高めたい地方の中堅企業から大企業に至るまで幅広く、3,000社以上の企業にサービス・商品の提供を行っている。
最近では、「こども・子育てファミリーマーケット」をターゲットとしたコンサルティングに注力している。未来の顧客として期待できる同マーケットの可能性とCSRの観点から、顧客企業のニーズも大きい。また、主にブランディング面の課題が多い地域BtoB企業向けのWebプロモーションコンサルティングにも注力し始めている。最近では、経営コンサルティング事業との連携も進んでおり、顧客企業の事業戦略や組織戦略については経営コンサルタントが支援し、商品の販路拡大やブランディング、CIの策定等をSPコンサルタントが請け負うといった事例も増えてきている。経営コンサルティングを主力としながら、デザイン機能・物販機能を備えるSPコンサルティングにも対応できる点は、他のコンサルティング企業にはない同社の強みとなっている。
なお、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業に関しては、約3割の構成比を占めるダイアリーの販売が第3四半期に集中するため、四半期ベースの収益トレンドとしては例年、第3四半期がピークとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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