■会社概要
2. 事業概要
Hamee<3134>の事業セグメントは、モバイル周辺アクセサリー等の企画販売を行うコマース事業と、EC事業者向けのEC自動化プラットフォーム「ネクストエンジン」を販売するプラットフォーム事業、及び2018年4月期より両事業に属さない新サービス(ネクストエンジンのメイン機能に紐付かないEC事業者向けのサービス等)をその他として区分している。
事業セグメント別構成比(2018年4月期)で見ると、コマース事業が売上高の86.6%、セグメント利益の84.4%を占める主力事業となっているが、中期的には利益率の高いプラットフォーム事業を拡大していくことで、全体の収益性を向上させながら事業規模を拡大していく戦略となっている。
(1) コマース事業
コマース事業では、モバイル(スマートフォン及び携帯電話)アクセサリーを主とした雑貨等の商品企画、仕入れを行い、インターネット通販並びに大手雑貨量販店や家電量販店等への卸販売、海外向け自社ECサイトや海外のマーケットプレイスへの出店を通じた小売販売及び卸販売を行っている。
国内インターネット通販では自社運営サイトのほか、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazon、ポンパレモール、Wowma!などの大手マーケットプレイスにも出店し、販売を行っている。楽天市場では「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー2017」でスマートフォン・タブレット・周辺機器ジャンル大賞を3年連続(7回目)で受賞している。また、実店舗への卸販売先としては(株)ロフトや(株)東急ハンズ、(株)ヨドバシカメラ、ビックカメラ<3048>などの大手量販店に直接卸しているほか、商社経由での販売も行っている。海外では米国、韓国、台湾、中国、インドにて主に自社サイトを通じた販売を行っているほか、米国、韓国では実店舗への卸販売も行っている。
同事業における小売と卸売の比率は、2018年4月期で45:55となっている。粗利益率は小売りの方が高くなるものの、物流費等の販管費率も高くなるため、営業利益率段階ではほぼ同水準となっている。また、海外売上比率は2018年4月期で1割強とまだ低いが、「iFace」や人気キャラクターの商品化権を利用した企画商品等の販売により今後も売上げを拡大していく方針となっている。
2018年4月期の商材別売上構成比は、自社企画商品が9割弱(スマートフォン用ケースが6~7割、その他アクセサリー類が2割)、仕入商品が1割強となっている。以前は仕入商品が6~7割を占めていたが、成長を図っていくためには自社企画商品を伸ばすことが重要と考え、2013年以降自社企画商品の開発に注力してきた。このうち主力商材である「iFace」については標準品で約2,600円だが、耐衝撃性や質感、デザイン性などで顧客から高い支持を集めており、商品ラインナップも多彩で3,000円以上の商品もそろえている。そのほかディズニーやムーミン等の人気キャラクターの商品化権を取得して企画販売するなど商品ラインナップの拡充を進めている。開発アイテム数は年間で少なくとも20~30シリーズとなる。なお、生産については韓国の生産工場に委託している。
なお、「iFace」については2016年3月に韓国企業から商標権を買い取った経緯もあり、韓国子会社を通じて仕入販売を行っている。また、海外子会社等との取引はすべて円建てで行っているため、為替変動による収益への直接的な影響はほとんどない。
(2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業は、EC事業者向けバックヤード業務(受発注、売上、在庫管理、顧客管理等)の自動化プラットフォームである「ネクストエンジン」の事業となる。
サービス内容は、メイン機能とアプリケーション機能(拡張機能)があり、顧客のニーズに合わせてアプリケーション機能を選択することができる。また、顧客が独自で開発したアプリを「ネクストエンジン」上で販売できることも特徴の1つとなっている。「ネクストエンジン」のプラットフォーム上に、自社や他社開発を含めて様々なアプリを加えることで、プラットフォームの機能を拡充しているほか、2013年末からはAPI連携も開始し、他社システムとの連携もできるようになったことで、拡張性の高いプラットフォームとなっている。また、メイン機能については別のサービス名にてOEM供給も行っている※。
※GMOソリューションパートナー(株)の「ストックマネージャー」、GMOコマース(株)の「すごい!ネットショップ管理」
メイン機能の基本料金は月額1万円からとなっており、これにEC事業者の受注件数に応じた従量課金制を取っている。月の受注件数が400件までは従量課金は無料だが、400件を超えると1件当たり5~25円の課金を行うことになる。例えば、受注件数が月400件の場合は従量課金は無料だが、1千件の場合は1.5万円、3千件の場合は5.5万円となる。2018年4月期における顧客当たり月平均売上単価は基本料+従量課金で約3.2万円の水準となっている。ここ数年は、既存顧客の成長(受注件数増による従量課金のアップ)により、平均売上単価も年率2%程度の上昇が続いている。
また、メイン機能以外のアプリについては自社開発品と他社開発品に分けられ、1機能で月3,000~5,000円の利用料金となる。このうち他社アプリ品に関しては月額利用料の3割を手数料収入として売上高に計上している。アプリ機能で契約数の多いものとしては、出荷業務自動化機能やデータ分析機能、在庫管理機能等が挙げられる。ただ、同事業の売上高に占めるアプリ関連の売上比率は5%強程度と小さく、ほとんどはメイン機能からの収入となっている。
営業活動については、EC事業者向けのイベント・セミナー等への出展・参加を通じて見込み顧客を獲得し、営業提案を行っていくスタイルを基本とし、30日間の無料体験サービスを通じて成約につなげていく流れとなる。このため、初期導入から30日間の無料体験でいかに顧客にその利用価値を理解してもらえるかが、成約率向上のカギを握ることになる。無料体験を利用する見込み顧客数は月間で200~250件程度あり、このうち従来は50~60件程度が成約していたが、成約率を上げるため初期設定代行サービスなどの取り組みを進めたことで直近では70件を超える水準まで成約率が上昇している。
同社の強みは、自身もEC事業者として「ネクストエンジン」を利用しており、ユーザー目線でシステムの改善点を早期に発見し改良につなげていることにある。こうした強みを生かしてメイン機能の契約社数は2018年4月末時点で3,095社、アプリ機能では1,486社(うち、半分弱は自社アプリ)とそれぞれ右肩上がりに拡大が続いている。
3. 競合について
コマース事業では参入企業が未上場企業も含めて多数ある中で競争環境は厳しい。競合大手としてはエレコム<6750>が挙げられ、実店舗を含めた売上規模は同社よりも大きく※、同社も一部商材をエレコムから仕入れて自社店舗で販売している。ただ、インターネット通販だけの売上規模としては同社の方が大きいと見られる。
※エレコムのスマートフォン・タブレット関連商品の売上実績は2018年3月期で18,551百万円(前期比10.5%減)。同社のスマートフォン関連商品の売上実績は2018年4月期で8,120百万円(同8.5%増)となっている。
一方、プラットフォーム事業で競合するのは、アイル<3854>の「CROSS MALL(クロスモール)」となる。メイン機能はほぼ同様で、アイルの契約社数は非開示となっているものの、売上実績から見ると同社のほうが大きいと見られる※。
※アイルのCROSS事業(CROSS MALLのほか、CROSS POINTのサービスを含む)の売上実績は2017年7月期で611百万円(前期比28.4%増)、同社のプラットフォーム事業の売上実績は2018年4月期で1,238百万円(同21.6%増)となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MH>
2. 事業概要
Hamee<3134>の事業セグメントは、モバイル周辺アクセサリー等の企画販売を行うコマース事業と、EC事業者向けのEC自動化プラットフォーム「ネクストエンジン」を販売するプラットフォーム事業、及び2018年4月期より両事業に属さない新サービス(ネクストエンジンのメイン機能に紐付かないEC事業者向けのサービス等)をその他として区分している。
事業セグメント別構成比(2018年4月期)で見ると、コマース事業が売上高の86.6%、セグメント利益の84.4%を占める主力事業となっているが、中期的には利益率の高いプラットフォーム事業を拡大していくことで、全体の収益性を向上させながら事業規模を拡大していく戦略となっている。
(1) コマース事業
コマース事業では、モバイル(スマートフォン及び携帯電話)アクセサリーを主とした雑貨等の商品企画、仕入れを行い、インターネット通販並びに大手雑貨量販店や家電量販店等への卸販売、海外向け自社ECサイトや海外のマーケットプレイスへの出店を通じた小売販売及び卸販売を行っている。
国内インターネット通販では自社運営サイトのほか、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazon、ポンパレモール、Wowma!などの大手マーケットプレイスにも出店し、販売を行っている。楽天市場では「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー2017」でスマートフォン・タブレット・周辺機器ジャンル大賞を3年連続(7回目)で受賞している。また、実店舗への卸販売先としては(株)ロフトや(株)東急ハンズ、(株)ヨドバシカメラ、ビックカメラ<3048>などの大手量販店に直接卸しているほか、商社経由での販売も行っている。海外では米国、韓国、台湾、中国、インドにて主に自社サイトを通じた販売を行っているほか、米国、韓国では実店舗への卸販売も行っている。
同事業における小売と卸売の比率は、2018年4月期で45:55となっている。粗利益率は小売りの方が高くなるものの、物流費等の販管費率も高くなるため、営業利益率段階ではほぼ同水準となっている。また、海外売上比率は2018年4月期で1割強とまだ低いが、「iFace」や人気キャラクターの商品化権を利用した企画商品等の販売により今後も売上げを拡大していく方針となっている。
2018年4月期の商材別売上構成比は、自社企画商品が9割弱(スマートフォン用ケースが6~7割、その他アクセサリー類が2割)、仕入商品が1割強となっている。以前は仕入商品が6~7割を占めていたが、成長を図っていくためには自社企画商品を伸ばすことが重要と考え、2013年以降自社企画商品の開発に注力してきた。このうち主力商材である「iFace」については標準品で約2,600円だが、耐衝撃性や質感、デザイン性などで顧客から高い支持を集めており、商品ラインナップも多彩で3,000円以上の商品もそろえている。そのほかディズニーやムーミン等の人気キャラクターの商品化権を取得して企画販売するなど商品ラインナップの拡充を進めている。開発アイテム数は年間で少なくとも20~30シリーズとなる。なお、生産については韓国の生産工場に委託している。
なお、「iFace」については2016年3月に韓国企業から商標権を買い取った経緯もあり、韓国子会社を通じて仕入販売を行っている。また、海外子会社等との取引はすべて円建てで行っているため、為替変動による収益への直接的な影響はほとんどない。
(2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業は、EC事業者向けバックヤード業務(受発注、売上、在庫管理、顧客管理等)の自動化プラットフォームである「ネクストエンジン」の事業となる。
サービス内容は、メイン機能とアプリケーション機能(拡張機能)があり、顧客のニーズに合わせてアプリケーション機能を選択することができる。また、顧客が独自で開発したアプリを「ネクストエンジン」上で販売できることも特徴の1つとなっている。「ネクストエンジン」のプラットフォーム上に、自社や他社開発を含めて様々なアプリを加えることで、プラットフォームの機能を拡充しているほか、2013年末からはAPI連携も開始し、他社システムとの連携もできるようになったことで、拡張性の高いプラットフォームとなっている。また、メイン機能については別のサービス名にてOEM供給も行っている※。
※GMOソリューションパートナー(株)の「ストックマネージャー」、GMOコマース(株)の「すごい!ネットショップ管理」
メイン機能の基本料金は月額1万円からとなっており、これにEC事業者の受注件数に応じた従量課金制を取っている。月の受注件数が400件までは従量課金は無料だが、400件を超えると1件当たり5~25円の課金を行うことになる。例えば、受注件数が月400件の場合は従量課金は無料だが、1千件の場合は1.5万円、3千件の場合は5.5万円となる。2018年4月期における顧客当たり月平均売上単価は基本料+従量課金で約3.2万円の水準となっている。ここ数年は、既存顧客の成長(受注件数増による従量課金のアップ)により、平均売上単価も年率2%程度の上昇が続いている。
また、メイン機能以外のアプリについては自社開発品と他社開発品に分けられ、1機能で月3,000~5,000円の利用料金となる。このうち他社アプリ品に関しては月額利用料の3割を手数料収入として売上高に計上している。アプリ機能で契約数の多いものとしては、出荷業務自動化機能やデータ分析機能、在庫管理機能等が挙げられる。ただ、同事業の売上高に占めるアプリ関連の売上比率は5%強程度と小さく、ほとんどはメイン機能からの収入となっている。
営業活動については、EC事業者向けのイベント・セミナー等への出展・参加を通じて見込み顧客を獲得し、営業提案を行っていくスタイルを基本とし、30日間の無料体験サービスを通じて成約につなげていく流れとなる。このため、初期導入から30日間の無料体験でいかに顧客にその利用価値を理解してもらえるかが、成約率向上のカギを握ることになる。無料体験を利用する見込み顧客数は月間で200~250件程度あり、このうち従来は50~60件程度が成約していたが、成約率を上げるため初期設定代行サービスなどの取り組みを進めたことで直近では70件を超える水準まで成約率が上昇している。
同社の強みは、自身もEC事業者として「ネクストエンジン」を利用しており、ユーザー目線でシステムの改善点を早期に発見し改良につなげていることにある。こうした強みを生かしてメイン機能の契約社数は2018年4月末時点で3,095社、アプリ機能では1,486社(うち、半分弱は自社アプリ)とそれぞれ右肩上がりに拡大が続いている。
3. 競合について
コマース事業では参入企業が未上場企業も含めて多数ある中で競争環境は厳しい。競合大手としてはエレコム<6750>が挙げられ、実店舗を含めた売上規模は同社よりも大きく※、同社も一部商材をエレコムから仕入れて自社店舗で販売している。ただ、インターネット通販だけの売上規模としては同社の方が大きいと見られる。
※エレコムのスマートフォン・タブレット関連商品の売上実績は2018年3月期で18,551百万円(前期比10.5%減)。同社のスマートフォン関連商品の売上実績は2018年4月期で8,120百万円(同8.5%増)となっている。
一方、プラットフォーム事業で競合するのは、アイル<3854>の「CROSS MALL(クロスモール)」となる。メイン機能はほぼ同様で、アイルの契約社数は非開示となっているものの、売上実績から見ると同社のほうが大きいと見られる※。
※アイルのCROSS事業(CROSS MALLのほか、CROSS POINTのサービスを含む)の売上実績は2017年7月期で611百万円(前期比28.4%増)、同社のプラットフォーム事業の売上実績は2018年4月期で1,238百万円(同21.6%増)となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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