■キャリアリンク<6070>の事業概要
同社グループは1996年に創業した人材派遣会社で、短期間での大量動員・業務立ち上げの運用ノウハウを強みにBPO関連事業部門を中心に事業を拡大してきた。売上高構成比を見ると、BPO関連事業部門にCRM関連事業部門、一般事務事業部門を合わせた事務系人材サービス事業で売上高の84.6%を占め、製造系人材サービス事業で15.4%を占めている(2018年2月期実績)。製造系人材サービス事業については機動的な経営により成長を加速化するため、2017年3月に会社分割し、子会社のキャリアリンクファクトリーを新設している。
1. 事務系人材サービス事業
(1) BPO関連事業部門
BPO関連事業部門は、売上高の68.0%を占める同社の主力事業となっている。BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業や官公庁などの業務プロセスの一部について、業務の効率化、コスト削減、あるいはサービス品質の向上などを目的として、特定の業務プロセスを外部の専門業者に委託することを指し、受託する事業者をBPO事業者という。同社はBPO事業者が請け負ったBPO業務への人材派遣、並びに官公庁や企業等の業務プロセスの一部についての企画提案型の人材派遣及び業務請負を行っている。
企業や官公庁等がBPOを導入するメリットは、固定費の流動化(業務繁忙期に合わせた人員は不要)、業務効率化、管理コストの削減、サービス品質の向上等が挙げられ、また、窓口業務やコールセンター業務などでは、利用客に対するサービス品質の向上といった効果も期待できる。2006年に施行された「公共サービス改革法」を契機に、官公庁や外郭団体では「市場化テスト」という名のもとに競争入札制度を導入し、民間企業の活用を積極的に進めている。
同社の強みは、1,000人を超える大量動員を要する大型プロジェクトでも、1ヶ月程度の短期間で立ち上げることができる運用ノウハウを持っていることにある。派遣スタッフの採用に関しては、独自の人材マッチングシステム(Webシステムを活用した適正テストの実施やシフト希望確認など)によって、短期間で最適な人材を集めることを可能とし、また、社員を現場に常駐させることによって、派遣スタッフの労務管理を含めた現場での運用能力強化だけでなく、オペレーションの改善施策提案等による業務効率の向上に取り組むことで、労働時間の短縮やサービス品質を高め、顧客満足度の向上につなげていることが強みとなっている。
BPO業務の運用に関して、同社では経験豊富なSV(スーパーバイザー)をリーダーとする「チーム派遣」を行っている。事務処理・データ入力・書類発送等を中心とした業務に対して、SVをリーダーとする10人程度のチーム編成を組み日々の業務を処理している。SVを配置することによって、派遣先での業務研修の実施や派遣スタッフの勤務シフトの平準化を実施し、業務の早期立ち上げ及び円滑な運用と生産性の向上を可能としている。特に大量の人員が必要とされる大型プロジェクトでは、最適な運用システムと言える。
(2) CRM関連事業部門
CRM(Customer Relationship Management)とは、企業が顧客満足度の向上を目的に、顧客との良好な関係を構築していくための経営手法を指す。同社においては、テレマーケティング事業者が請け負ったテレマーケティング業務への人材派遣・紹介、企業等のコンタクトセンター等への人材派遣・紹介、テレマーケティング業務の請負などを行っている。
テレマーケティング事業者への人材派遣では、BPO関連事業部門と同様にチーム派遣を行っている。また、テレマーケティング業務の請負では、顧客から委託されたテレマーケティング業務をコンタクトセンター等で請け負っている。
(3) 一般事務事業部門
一般事務職をターゲットとした人材派遣、紹介予定派遣、人材紹介並びに一般事務の請負を行っている。CRM関連事業部門や一般事務事業部門における人材派遣業務に関しては、パーソルホールディングス<2181>やパソナグループ<2168>など大手人材派遣会社の寡占化が進んでおり競争も激しいが、同社では、BPO案件の受注獲得につなげていくためのフック役として、これら事業を位置付けている。このため、CRM関連事業部門や一般事務事業部門でそれぞれ受注を獲得した案件で、その後に追加で異なる業務の受注を獲得した場合は、BPO関連事業部門の売上げとして計上されることになる。
2. 製造系人材サービス事業
子会社のキャリアリンクファクトリーで展開する事業である。企業の製造拠点等において、食品加工並びに製造の組み立て作業等の業務についての人材派遣、請負業務を行っている。顧客の業種別売上高構成比ではコンビニベンダーを中心とした食品加工業者が57%と最も高く、輸送機械や家電、医療機器等が続く。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
同社グループは1996年に創業した人材派遣会社で、短期間での大量動員・業務立ち上げの運用ノウハウを強みにBPO関連事業部門を中心に事業を拡大してきた。売上高構成比を見ると、BPO関連事業部門にCRM関連事業部門、一般事務事業部門を合わせた事務系人材サービス事業で売上高の84.6%を占め、製造系人材サービス事業で15.4%を占めている(2018年2月期実績)。製造系人材サービス事業については機動的な経営により成長を加速化するため、2017年3月に会社分割し、子会社のキャリアリンクファクトリーを新設している。
1. 事務系人材サービス事業
(1) BPO関連事業部門
BPO関連事業部門は、売上高の68.0%を占める同社の主力事業となっている。BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業や官公庁などの業務プロセスの一部について、業務の効率化、コスト削減、あるいはサービス品質の向上などを目的として、特定の業務プロセスを外部の専門業者に委託することを指し、受託する事業者をBPO事業者という。同社はBPO事業者が請け負ったBPO業務への人材派遣、並びに官公庁や企業等の業務プロセスの一部についての企画提案型の人材派遣及び業務請負を行っている。
企業や官公庁等がBPOを導入するメリットは、固定費の流動化(業務繁忙期に合わせた人員は不要)、業務効率化、管理コストの削減、サービス品質の向上等が挙げられ、また、窓口業務やコールセンター業務などでは、利用客に対するサービス品質の向上といった効果も期待できる。2006年に施行された「公共サービス改革法」を契機に、官公庁や外郭団体では「市場化テスト」という名のもとに競争入札制度を導入し、民間企業の活用を積極的に進めている。
同社の強みは、1,000人を超える大量動員を要する大型プロジェクトでも、1ヶ月程度の短期間で立ち上げることができる運用ノウハウを持っていることにある。派遣スタッフの採用に関しては、独自の人材マッチングシステム(Webシステムを活用した適正テストの実施やシフト希望確認など)によって、短期間で最適な人材を集めることを可能とし、また、社員を現場に常駐させることによって、派遣スタッフの労務管理を含めた現場での運用能力強化だけでなく、オペレーションの改善施策提案等による業務効率の向上に取り組むことで、労働時間の短縮やサービス品質を高め、顧客満足度の向上につなげていることが強みとなっている。
BPO業務の運用に関して、同社では経験豊富なSV(スーパーバイザー)をリーダーとする「チーム派遣」を行っている。事務処理・データ入力・書類発送等を中心とした業務に対して、SVをリーダーとする10人程度のチーム編成を組み日々の業務を処理している。SVを配置することによって、派遣先での業務研修の実施や派遣スタッフの勤務シフトの平準化を実施し、業務の早期立ち上げ及び円滑な運用と生産性の向上を可能としている。特に大量の人員が必要とされる大型プロジェクトでは、最適な運用システムと言える。
(2) CRM関連事業部門
CRM(Customer Relationship Management)とは、企業が顧客満足度の向上を目的に、顧客との良好な関係を構築していくための経営手法を指す。同社においては、テレマーケティング事業者が請け負ったテレマーケティング業務への人材派遣・紹介、企業等のコンタクトセンター等への人材派遣・紹介、テレマーケティング業務の請負などを行っている。
テレマーケティング事業者への人材派遣では、BPO関連事業部門と同様にチーム派遣を行っている。また、テレマーケティング業務の請負では、顧客から委託されたテレマーケティング業務をコンタクトセンター等で請け負っている。
(3) 一般事務事業部門
一般事務職をターゲットとした人材派遣、紹介予定派遣、人材紹介並びに一般事務の請負を行っている。CRM関連事業部門や一般事務事業部門における人材派遣業務に関しては、パーソルホールディングス<2181>やパソナグループ<2168>など大手人材派遣会社の寡占化が進んでおり競争も激しいが、同社では、BPO案件の受注獲得につなげていくためのフック役として、これら事業を位置付けている。このため、CRM関連事業部門や一般事務事業部門でそれぞれ受注を獲得した案件で、その後に追加で異なる業務の受注を獲得した場合は、BPO関連事業部門の売上げとして計上されることになる。
2. 製造系人材サービス事業
子会社のキャリアリンクファクトリーで展開する事業である。企業の製造拠点等において、食品加工並びに製造の組み立て作業等の業務についての人材派遣、請負業務を行っている。顧客の業種別売上高構成比ではコンビニベンダーを中心とした食品加工業者が57%と最も高く、輸送機械や家電、医療機器等が続く。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
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