■業績動向
1. 2017年12月期連結業績概要
エラン<6099>の2月13日発表の2017年12月期連結業績(連結決算に移行、エルタスクの2017年4月−12月分を新規連結)は、売上高が15,466百万円、営業利益が912百万円、経常利益が923百万円、親会社株主帰属当期純利益が657百万円だった。2016年12月期の非連結業績との比較で、売上高が35.6%増収、営業利益が24.0%増益、経常利益が23.3%増益、親会社株主帰属当期純利益が31.4%増益だった。
また計画値(2017年5月12日公表、売上高15,000百万円、営業利益900百万円、経常利益900百万円、親会社株主帰属当期純利益630百万円)との比較では、売上高は466百万円、営業利益は12百万円、経常利益は23百万円、親会社株主帰属当期純利益は27百万円、それぞれ上回った。エルタスクの新規連結も寄与して契約施設数及び月間利用者数が順調に増加し、計画超の大幅増収増益だった。
契約施設数は2017年12月期末時点で992施設となり、2016年12月期末との比較で228施設増加(同社単体が853施設で89施設増加、及び子会社化したエルタスク139施設が純増)した。なお四半期末の契約施設数については、2017年12月期第1四半期末からエルタスク分を合算している。
解約は31件で、契約満了時の解約が増加した。また入院セットサービスの認知度向上に伴って他業者と競合するケースが増加しているため、解約率が年率3.0%に上昇(2015年12月期は年率2.2%、2016年12月期は年率2.0%)した。ただし依然として低水準である。
月間利用者数は2017年12月(単月)時点で168,410人となり、2016年12月時点との比較で48,384人増加(同社単体が149,470人で29,444人増加、及び子会社化したエルタスク18,940人が純増)した。新規契約獲得と低水準の解約率で、契約施設数及びサービス利用者数とも順調に積み上がっている。
なお売上総利益率は25.8%、販管費比率は19.9%、営業利益率は5.9%、経常利益率は6.0%、親会社株主帰属当期純利益率は4.3%となった。2016年12月期の非連結業績との比較で、売上総利益率は0.7ポイント低下、販管費比率は0.2ポイント低下、営業利益率は0.6ポイント低下、経常利益率は0.6ポイント低下、親会社株主帰属当期純利益率は0.1ポイント低下した。
各利益率の低下は、営業員を新規契約獲得など本来の営業業務に専念させて生産性を向上させるため、商品配送業務の外部委託化を進めて外注費が増加したことが主因である。また大型急性期病院の導入増加に伴う請求関連業務コストの増加、積極的な人材採用に伴う採用費や人件費の増加、2018年12月期運用開始予定の新人事制度関連費用、システム強化関連費用なども影響した。なお2017年12月期末連結ベースの従業員数(臨時雇用者含む)は353人で、2016年12月期末の単体ベース255人に比べて98人増加となった。
2. 全国営業拠点網を構築
エリア展開としては、2017年2月に東北地方4拠点(盛岡本社、弘前支店、仙台支店、秋田支店)でLTセット(CSセットと同種のサービス)を提供するエルタスクを完全子会社化し、東北エリアの営業網整備が実現した。また既存施設へのサービス向上と新規案件獲得強化に向けて2017年7月新潟支店、2017年11月岡山支店を開設し、南九州・沖縄及び北海道の一部(道東)を除く全国営業拠点網を構築した。
そしてすべての拠点において契約施設数が順調に増加した。2017年12月期末の拠点別契約施設数は以下のとおりである。
3. 営業基盤・経営基盤強化に向けた取り組みを推進
営業基盤・経営基盤強化に向けた取り組みとしては、全国をカバーする営業拠点網の構築に加えて、既存施設の運営を改善するための専任部署(運営管理部)を中心とした改善活動の実施、営業社員のリソースを創出するための商品配送業務の外部委託化を推進した。さらに2018年12月期運用開始予定の新人事制度や新システムの導入準備を進めた。
既存導入施設の運営改善事例としては、某急性期病院(300床以上)において、業者や施設との調整不足により不利な条件での導入だったこともあり、施設職員の協力を得られず利用者数が低迷し、リネン等の運用実態が計画と大きく乖離して採算が悪化していたが、社員が駐在してセット構成の見直し、資材の見直し、利用者への直接説明などの施策を実施したことに加えて、施設職員への説明会で理解不足の解消や人間関係の再構築を進めたことも寄与して、良好な運営状態へ転換した。
4. CSR活動も強化
CSR活動も強化している。2017年12月期はCSR活動の一環として、国立成育医療研究センターの医療型短期入所施設「もみじの家」に対し、一般財団法人重い病気を持つ子どもと家族を支える財団(キッズファム財団)を通して、タオルレンタルの無償提供によるサポートを開始した。
財務の健全性高い
5. 純資産は順調に増加、無借金経営で財務の健全性高い
財務面で見ると、2017年12月期末(連結ベース)の自己資本比率は53.6%で、2016年12月期末(単体ベース)の55.5%に比べて1.9ポイント低下した。これはエルタスクの新規連結や業容拡大に伴って総資産が増加したためであり、当期純利益の積み上げによって純資産は順調に増加している。またROE(自己資本当期純利益率)は20.5%で1.9ポイント上昇した。無借金経営で財務の健全性は高い。
なお2014年7月28日付で株式100分割、2015年7月1日付で株式2分割、2017年10月1日付で株式2分割を実施している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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1. 2017年12月期連結業績概要
エラン<6099>の2月13日発表の2017年12月期連結業績(連結決算に移行、エルタスクの2017年4月−12月分を新規連結)は、売上高が15,466百万円、営業利益が912百万円、経常利益が923百万円、親会社株主帰属当期純利益が657百万円だった。2016年12月期の非連結業績との比較で、売上高が35.6%増収、営業利益が24.0%増益、経常利益が23.3%増益、親会社株主帰属当期純利益が31.4%増益だった。
また計画値(2017年5月12日公表、売上高15,000百万円、営業利益900百万円、経常利益900百万円、親会社株主帰属当期純利益630百万円)との比較では、売上高は466百万円、営業利益は12百万円、経常利益は23百万円、親会社株主帰属当期純利益は27百万円、それぞれ上回った。エルタスクの新規連結も寄与して契約施設数及び月間利用者数が順調に増加し、計画超の大幅増収増益だった。
契約施設数は2017年12月期末時点で992施設となり、2016年12月期末との比較で228施設増加(同社単体が853施設で89施設増加、及び子会社化したエルタスク139施設が純増)した。なお四半期末の契約施設数については、2017年12月期第1四半期末からエルタスク分を合算している。
解約は31件で、契約満了時の解約が増加した。また入院セットサービスの認知度向上に伴って他業者と競合するケースが増加しているため、解約率が年率3.0%に上昇(2015年12月期は年率2.2%、2016年12月期は年率2.0%)した。ただし依然として低水準である。
月間利用者数は2017年12月(単月)時点で168,410人となり、2016年12月時点との比較で48,384人増加(同社単体が149,470人で29,444人増加、及び子会社化したエルタスク18,940人が純増)した。新規契約獲得と低水準の解約率で、契約施設数及びサービス利用者数とも順調に積み上がっている。
なお売上総利益率は25.8%、販管費比率は19.9%、営業利益率は5.9%、経常利益率は6.0%、親会社株主帰属当期純利益率は4.3%となった。2016年12月期の非連結業績との比較で、売上総利益率は0.7ポイント低下、販管費比率は0.2ポイント低下、営業利益率は0.6ポイント低下、経常利益率は0.6ポイント低下、親会社株主帰属当期純利益率は0.1ポイント低下した。
各利益率の低下は、営業員を新規契約獲得など本来の営業業務に専念させて生産性を向上させるため、商品配送業務の外部委託化を進めて外注費が増加したことが主因である。また大型急性期病院の導入増加に伴う請求関連業務コストの増加、積極的な人材採用に伴う採用費や人件費の増加、2018年12月期運用開始予定の新人事制度関連費用、システム強化関連費用なども影響した。なお2017年12月期末連結ベースの従業員数(臨時雇用者含む)は353人で、2016年12月期末の単体ベース255人に比べて98人増加となった。
2. 全国営業拠点網を構築
エリア展開としては、2017年2月に東北地方4拠点(盛岡本社、弘前支店、仙台支店、秋田支店)でLTセット(CSセットと同種のサービス)を提供するエルタスクを完全子会社化し、東北エリアの営業網整備が実現した。また既存施設へのサービス向上と新規案件獲得強化に向けて2017年7月新潟支店、2017年11月岡山支店を開設し、南九州・沖縄及び北海道の一部(道東)を除く全国営業拠点網を構築した。
そしてすべての拠点において契約施設数が順調に増加した。2017年12月期末の拠点別契約施設数は以下のとおりである。
3. 営業基盤・経営基盤強化に向けた取り組みを推進
営業基盤・経営基盤強化に向けた取り組みとしては、全国をカバーする営業拠点網の構築に加えて、既存施設の運営を改善するための専任部署(運営管理部)を中心とした改善活動の実施、営業社員のリソースを創出するための商品配送業務の外部委託化を推進した。さらに2018年12月期運用開始予定の新人事制度や新システムの導入準備を進めた。
既存導入施設の運営改善事例としては、某急性期病院(300床以上)において、業者や施設との調整不足により不利な条件での導入だったこともあり、施設職員の協力を得られず利用者数が低迷し、リネン等の運用実態が計画と大きく乖離して採算が悪化していたが、社員が駐在してセット構成の見直し、資材の見直し、利用者への直接説明などの施策を実施したことに加えて、施設職員への説明会で理解不足の解消や人間関係の再構築を進めたことも寄与して、良好な運営状態へ転換した。
4. CSR活動も強化
CSR活動も強化している。2017年12月期はCSR活動の一環として、国立成育医療研究センターの医療型短期入所施設「もみじの家」に対し、一般財団法人重い病気を持つ子どもと家族を支える財団(キッズファム財団)を通して、タオルレンタルの無償提供によるサポートを開始した。
財務の健全性高い
5. 純資産は順調に増加、無借金経営で財務の健全性高い
財務面で見ると、2017年12月期末(連結ベース)の自己資本比率は53.6%で、2016年12月期末(単体ベース)の55.5%に比べて1.9ポイント低下した。これはエルタスクの新規連結や業容拡大に伴って総資産が増加したためであり、当期純利益の積み上げによって純資産は順調に増加している。またROE(自己資本当期純利益率)は20.5%で1.9ポイント上昇した。無借金経営で財務の健全性は高い。
なお2014年7月28日付で株式100分割、2015年7月1日付で株式2分割、2017年10月1日付で株式2分割を実施している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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