日創プロ二ティ 石田徹社長インタビュー

投稿:2017/07/07 17:30

―地方銘柄をリードする九州企業の底力!―

 国内株式市場が上昇波動に乗る中、地方証券取引所の上場銘柄には、全国的な知名度こそ高くないもののキラリと光る注目したい優良な企業が存在する。昨年に引き続き、福岡証券取引所に単独上場している福岡単独上場会社の会(通称:単場会)http://fse.irnavi.minkabu.jp/の企業トップが、自らの言葉でユニークなビジネスモデルや成長戦略、経営上のリスクなどを語ってくれた。熊本震災からの復興の本格化が見込まれる中、福証単場会の銘柄はアツイ。
 

金属加工製品の可能性を追求する九州企業のこだわり!

3440:日創プロ二ティ
代表取締役社長 石田 徹氏

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 金属加工製品の可能性を追求する日創プロ二ティ(3440)では、再生可能エネルギーに対する社会ニーズの高まりを背景に、太陽光発電市場向けに大型案件の受注が継続し、今後数年間は一定の売上が見込まれている。昨年に引き続き、同社の石田徹社長に経営戦略やビジネス展開におけるリスク、経営課題などについて具体的な話を聞いた。

1) 貴社の事業の状況について伺います。
 3つのセグメント(金属加工・ゴム加工・建設)で事業展開をされていますが、それぞれの事業における状況はいかがですか? 具体的にご説明ください。また、今後の見通しについてはどのようにお考えですか?

 まず、金属加工事業ですが、一時期の太陽光発電市場の過熱感は落ち着き、現在は中規模以下の案件は減っております。ただ、大型案件につきましては、施主サイドにおいて設置までの条件がクリア出来てきたことで、本格的な工事が可能となった大型案件の受注が続いており、数年間は一定の売上は見込める状況です。太陽光発電関連以外の製品につきましては、例年同様に推移しておりますので、さらに向上を目指して取り組んでおります。また、今年の4月には広島県の綾目精機株式会社を日創グループに迎えました。綾目精機は金属精密切削加工として、高い技術力でお客さまのご支持を頂いております。成長の余地はまだまだあると見込んでおり、現在生産効率の向上や管理体制の強化に取り組んでおります。次に、ゴム加工事業ですが、積み重ねてきたノウハウと堅実な経営姿勢で高い利益率を維持しております。ただし、現状に満足せず、新製品などの開発や設備投資も行う予定です。また、営業活動にも力を入れ、新規のお客様獲得を積極的に進めております。最後に、建設事業ですが、やはり材工一括のニーズは高かったと感じておりますが、現在でも設立当初から引き合いを多く頂いている状況です。さらには、材料販売を伴わない工事案件も増えており、順調に推移しております。

 今後の見通しにつきましては、金属加工事業では、太陽光案件は落ち着いたものの、建設業界の好調を背景に耐火パネルを始めとした建材の引き合いが増えておりますので、一定程度の売上は見込めます。また、次期については2017年4月に子会社化した綾目精機も通期で業績に寄与しますので、順調に推移すると考えております。ゴム加工事業では、安定した事業基盤を構築しておりますので、今期同様の状況になると考えております。その上で、設備投資や新製品の開発、外注品の内製化など、様々な施策を通して、事業基盤の強化を図ってまいります。建設事業では、未知数な部分はありますが、社内の体制が整えば、大きく成長する余地があります。そのため、更なる成長を目指して事業基盤や管理体制の強化を行ってまいります。

2) 「加工価値の創造」にこだわる貴社のビジネス展開についてお話しください。昨年のお話では、貴社は「オールインワン加工体制」の下、複雑・多様化する市場ニーズに対応可能なビジネス展開をされている事を伺いました。この事業におけるこだわりと新たなビジネスの可能性についてお話しください。

 当社は、「加工の総合商社」をビジョンとして掲げており、多種多様な材料を市場のニーズに沿った「加工」をすることにこだわったものづくりを行っております。仕入れた商品を何も手を加えずに販売するのではなく、加工を通して他の価値を加えて新たなものを生み出す、それは製造業としてのこだわりでもあります。

 複雑で多様化する市場のニーズに対応するためには、様々な加工技術が必要です。今までの当社は設備投資をすることで、市場のニーズに応えてまいりました。しかし、近年はM&Aやアライアンスの推進という手法も取り入れ、金属加工以外の加工や周辺事業への進出を推進しております。このような施策によって、当社だけでは実現が困難な市場のニーズにも対応できる体制が構築され、更には他社が持つノウハウを吸収することにも繋がり、新たな製品やサービスを生み出す土壌が広がっております。

3) 中長期における経営戦略について伺います。
 貴社では、「新たな企業ステージへのファーストステップ」と位置付けた中期経営計画を推進中で、最終年度となる2018年8月期に売上高100億円、営業利益15億円を目標設定されています。
 現時点における計画の進捗状況はいかがでしょうか?

 中期経営計画に関しては、太陽光発電市場の成熟が想定より早かったことにより、2016年10月14日に売上高70億円、営業利益7億円に見直しております。現時点における計画の進捗につきましては、M&Aや新会社の設立などにより、事業領域の拡大も順調に進んでおり、足元の業績は計画通りに推移しております。2018年8月期は中期経営計画の最終年度となりますが、目標の達成に向け、全社をあげて積極的な事業推進を図ってまいります。

4) 経営のリスクについてお話をお願いします。
 貴社のビジネス展開におけるリスクは何でしょうか? また、想定されるリスクがどのように業績へ影響するとお考えでしょうか?

 リスクについては、まずは太陽光発電市場の動向です。先ほども述べましたが、太陽光発電市場の成熟は当社の想定より早いものでした。また、価格競争もあり、販売単価の低下も一部には出てきております。現在、市場には大型案件が多く残っているため、引き合い自体はまだ相当数あり、今後も一定の売上が見込めると考えておりますが、受注が想定を下回った場合は、業績に影響を与えると考えております。次は原材料の価格変動となりますが、現在当社の原材料の価格は上昇傾向にあります。原材料の上昇に伴い、販売価格への転嫁も行ってまいりますが、価格競争が起きている太陽光発電関連製品などは、全てを転嫁することは難しいため、利益率に影響を与えると考えております。

 当社のリスクとして、上記の2点は以前より認識しておりましたが、リスク低減に対する取り組みも進めており、それがM&Aなどを活用した事業領域の拡大や太陽光発電関連製品以外の営業活動の見直しとなります。その取り組みの成果として、太陽光発電関連製品の売上比率は以前に比べ減ってきたこと、子会社が3社となったことなどが挙げられます。

5) 最後に、投資家に向けてお話をお願いします。
 貴社では「ステークホルダーの方々と向き合う経営」を標榜し、資本市場での知名度向上や事業への理解促進に努めておられます。こうした企業スタンスだけでなく、コミット可能なKPI(指標)や経営課題への対処などについてもお話しいただければ幸いです。

 コミット可能なKPIとなると難しい話となりますが、目指すべき指標として重視しているのは売上高と営業利益です。特に営業利益率は、10%を目指しています。当社は事業基盤が安定した成熟企業ではなく、成長企業であると考えておりますので、目指すべき指標についても、売上高と収益性を最優先に掲げております。

 次に経営課題への対処ですが、当社の対処すべき課題としては、「新たなビジネスモデルの確立」、「旺盛なチャレンジ精神の発揮」、「ステークホルダーに向き合う経営」の3つとなります。まず、「新たなビジネスモデルの確立」については、現在の重要戦略であるM&Aを通じて、金属加工だけではなく、金属以外の加工、ものづくり、周辺事業へと積極的に事業領域を拡大し、事業の多角化を推進しております。次に、「旺盛なチャレンジ精神の発揮」については、持続的な成長を図っていくためにも、各部門が旺盛なチャレンジ精神をもって課題に取り組んでおり、新製品の開発や体制強化などを行い、新たな企業ステージを目指しております。最後に、「ステークホルダーに向き合う経営」については、ご承知のとおり、資本市場での知名度向上やグループ経営に対する理解促進に取り組んでいるところです。

 以上、今後も投資家の方々に魅力を感じていただけるような企業を目指してまいりますので、これからの当社にご期待いただければ幸いです。

●資料請求・問い合わせ先
日創プロニティ株式会社 経営企画室
〒815-0035 福岡県福岡市南区向野一丁目15番29号
TEL: 092-552-3749 FAX: 092-512-7240
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配信元: みんかぶ株式コラム