2011年の震災の年から年に1度ボランティア活動として、各方面のご協力を得て義援金セミナーを開催しています。
未来を展望しつつ足元の情勢と投資を語り合う場を提供したい、そんな思いで今年も第6回目となる義援金セミナーを開催することになりました。皆様から頂いた寄付金と協賛会社からの協賛金は、「東日本大震災こども未来基金」に全額寄付します。皆様のご参加、ご協賛をお願い申し上げます。
日時 2016年5月14日 (土)
会場 東京証券会館 8Fホール 13:15~16:35(12:45受付開始)
セミナー参加料として、1口 3,000円を当日受付の義援金BOXに入れて頂きます。
詳細・お申込窓口はこちら ↓ ↓
http://www.musha.co.jp/news/detail/56dcd51a-3500-441b-88e4-6ee485f2cfe7
(1) 世界に先駆ける黒田イニシャティブ、マイナス金利導入、中国危機も封印へ
世界株安は大転換へ、黒田日銀総裁のイニシャティブ光る
1~2月の急激な世界株安を経て、世界の中央銀行は協調的危機対応、という新たな段階に入って来ている。春先以降は原油価格下落のプラス効果により先進国経済成長が加速することも期待され、中国危機が封じ込められれば、世界株式が反発するという可能性が浮上してきた。
この世界的危機管理作戦において、黒田日銀総裁のイニシャティブが際立つ。マイナス金利導入という「奇策」を打ち出して日銀の無能化説を打ち消し、かつ世界的金融緩和を先導した。
今回の日銀の金融緩和政策は、2015年後半から始まった投機筋の市場売り崩しに対しての、先進国の中央銀行としての初めての本格的対応である。中国経済失速により現在の世界経済の最重要リスクは依然としてデフレであり、先進国中央銀行の最大の任務はデフレ回避であることが鮮明になった。その際、デフレの病が最も深刻で、対デフレ戦争の経験が最も豊富な日本が先導を務めることは自然である。とはいえ、黒田氏の大胆さも敬服に値する。「諸悪の根源はデフレであること、デフレの制圧はどのような犠牲を払っても実現するべきであること」に照準を絞り、目的合理的にことを進める。それは平時ではなく対デフレ戦争という戦時の司令官に求められる資質であろう。日銀に続きドラギECB総裁も3月政策総動員とみられる追加緩和を実施、FRBも景気に対する自信を表明しつつも、世界的金融不安のリスクに配慮し利上げペースを緩和する姿勢を見せている。
中国危機封印の可能性高まった
その中国危機は当面封じ込まれる可能性が濃厚になっている。転機は2月26、27日に上海で開催されたG20財務相、中央銀行総裁会議であった。G20では「最近の市場は世界経済の実態を反映していない、市場安定のために政策手段を総動員する」との声明により、各国の当局が市場を売り崩す投機家に対して、一致して対峙する姿勢を鮮明にした。財政政策の活用など新機軸も盛り込まれた。また通貨の安定とともに資本移動の監視・規制強化を容認する姿勢を鮮明にし、焦点の中国の政策自由度を大きく高めた。「過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうる」との声明の含意は、通貨の競争的切り下げの回避、人民元の価値維持という大目的のためには、中国の資本規制は容認される、ということである。これで中国は国際金融のトリレンマから逃れることができ、投機筋の人民元売りは経路を絶たれることになる。ジョージ・ソロス氏が「中国のハードランディングは不可避」と発言し、人民元や香港ドルなどのアジア通貨売りを宣言したことにより、中国危機の焦点が人民元と外貨事情にあることが鮮明になったが、今後事態は安定化していく可能性が高まる。
米国のルー財務長官は上海G20の後北京に立ち寄り中国李克強首相と長い会談を行い、元の切り下げは国際的通貨切り下げ競争を招く危険があり回避するべきだと訴え、中国側から同意を得たことが大きな成果だと述べている。中国サイドにとっても元の下落は通貨不安、金融危機へと経済危機深化の悪循環に結び付く最も警戒するべき事柄であることは自明。ここで米中が元防衛の共同戦線を構築したとみられることの意義は大きい。それ以降人民元相場は大きく安定化し、2月の中国の外貨準備の減少は285億ドルと、それまでの毎月1000億ドル前後であった外貨準備の減少幅が大幅に縮まったが、これらも大きな安心感を引き起こすだろう。
少なくとも9月杭州G20サミットまでは、危機封印へ
上海G20に続き、9月3、4日には中国杭州でG20サミットが開催される。習近平主席がホストとなり世界主要20ヵ国の首脳を招く中国国威を示す晴れ舞台を、通貨下落金融危機進行の下で迎えるか、規制と強権で危機を封じ込めて迎えるか、面子を最重視する中国当局の対応は明らか、あらゆる手段を駆使して通貨価値の維持を演出するだろう。今後資本流出に歯止めがかかるか、外貨準備高の減少は止まるか、人民元の下落は起きないか、など月々の発表データに警戒は怠れないものの、ここ半年中国危機は封印される可能性が大きく高まったといえる。
(2) 的外れな批判者、QE批判者すべてマイナス金利反対
中国不安が沈静化すれば、マイナス金利導入の成果が、株高という形で一気に顕在化するだろう。マイナス金利導入に対する評価は低い。肯定的なのは読売新聞「日銀追加緩和、脱デフレの決意示す負の金利」、フィナンシャル・タイムズ紙「Kuroda reasserts deflation-fighting stance 」とその戦闘姿勢を評価している2紙だけであった。他方マイナス金利導入に対する批判は多い。各社の社説は「マイナス金利、苦しまぎれの冒険に」(毎日新聞)、「マイナス金利導入、日銀頼みの限界忘れるな」(産経新聞)、「マイナス金利、効果ある政策なのか」(朝日新聞)、「日銀頼みにせず市場安定へ協議を」(日経新聞)と批判的である。
批判が説得力を持つのは、株高円安の実現に失敗したこと。マイナスの金利政策を導入した直後には株価は急上昇し、為替は大幅に円安になったが、その株高・円安はほんの一瞬であって、その翌週は大幅な株安・円高となり、2月12日にはマイナス金利導入以前どころか2014年10月のQQE第二弾を打ち出した水準まで株価は下がり(日経平均14800円台)、円は110円/ドル台まで急騰した。しかし2月前半までの株安・円高はもっぱらグローバル要因によって起こったことである。日銀が金融政策を緩和しようとしまいと、世界全体が大幅な株安に見舞われ、世界全体がリスクオフ・ムードにとらわれ、そのようなリスクオフ・ムードの時に決まって買われる通貨が円であるということによって円高が起こったのである。その株安・円高を日銀の金融政策の関連で考えるのは的外れであると言える。
また長期国債利回りが歴史上初めてマイナスになったことも批判を勢いづけた。マイナス金利導入直後に国債が買われ、同時に株が売られるということが起こった。これは日銀狙いとは全く逆の動きであり、マイナス金利無効説の根拠にもなっている。しかしこれも一時的な話である。金利がマイナスを超えて下がり得るということは、換言すれば国債の値段が際限なく値上がりし得るということであり、マイナスの金利が導入された直後に、短期筋が値上がり益を求めて国債を買い、その結果長期国債のマイナス金利が実現したのである。しかし、国債を満期まで保有すれば必ずリターンはプラスになるわけで、このマイナスの金利が際限なく国債に資金を誘導し、株、不動産や海外資産に対する投資意欲を損なうという見方は明らかに一時的な現象を普遍化した間違った見方だと言っていい。
(3) QEと負の金利との併用はパワフル、特に大幅株高要因
コロンブスの卵かもしれないが、マイナス金利は意外に大きな効果があるかもしれない。第一は究極の安全資産としての日銀当座資産からの資金の押し出し効果である。これまでの量的金融緩和批判は、借り手が(経済の先行きに自信が持てず)借りる気がないのに、マネーの供給量を増やしても無理、という論理に基づいている。確かに量的金融緩和が当初の狙い通りに進展しているとは言えない面がある。当初の期待は、投資家や金融機関が保有する国債を日銀が買い、投資家や金融機関は国債保有を減らした分、他のもっとリターンの高い資産保有や貸付を増やし、リスク資産に資金が回り投資増・資産価格上昇・インフレ期待上昇と言う好循環が生まれるというもの(ポートフォリオリバランス)であった。しかし、消費税増税による成長のとん挫、中国危機の発現、世界的株安と円高観測の台頭などの環境変化があったとはいえ、投資家ポートフォリオのリスク資産への押し出しは行き詰まりをみせている。国債売却代金がそのまま日銀への当座預金として滞留しているのである。当座預金に対するマイナス金利の導入は、この滞留資金をリスク資産や貸し出しへと押し出す効果があると期待される。
第二に金融緩和拡大の手段が格段に広がったことが指摘できる。量的金融緩和は、流通国債の3割以上を日銀が保有することになり、買い増しの余地がなくなりつつあるとの観測があった。ETFやREITなど国債以外に日銀が買っていた資産は池の中の鯨に例えられるごとく、流通市場の規模に比し日銀保有が大きくなっている。それに対して金利は当初はマイナス0.1%からスタートするが、いくらでもマイナス幅を拡大することは可能である。中央銀行が無限の弾丸を保有していることによる威圧感は大きく高まる。
第三にマイナス金利は自動的に金利構造を変化させ投資家の採算変化に影響を及ぼすので、量的金融緩和の実効性は大きく高まるかもしれない。第四に黒田日銀総裁の失敗や副作用を恐れない大胆な姿勢は、市場心理を大きくリスクテイクに誘導するだろう。無限の弾丸を持つ日銀の覚悟が鮮明である以上、リスクアバーターはポジションを落とさざるを得なくなる。
マイナス金利により当座預金からの資金の流出が起これば、マネタリーベースの縮小をもたらし、インフレ期待が弱まる懸念もある。その場合国債買い入れ額の増加が必要になる。あくまでもマイナス金利は量的金融緩和との併用により効果を高めていくのではないか。
このように見てくると、初めての試みであるマイナス金利には副作用の懸念もあるが、ハイリスクハイリターンの株式や不動産などの価格上昇、円安には非常にパワフルな政策といえる。そもそも量的金融緩和の主たるトランスミッション経路が、金融機関投資家のポートフォリオリバランスによる株・不動産高、円安であったことを考えると、マイナス金利はより直接的効果が期待できるのではないか。
(4) 超過利潤時代の中央銀行の挑戦
中央銀行が直面している新しい現実
それにしてもなぜ世界の中央銀行は急き立てられるように前代未聞の金融緩和を際限なく推し進めようとするのだろうか。それは中央銀行が直面している現実が、かつてとは全く変わってしまっているからであり、結果責任の当局は政策を変えざるを得ないからである。それはこれまでの常識や教科書の教条的信奉者からすれば、米・日・欧の中央銀行は禁じ手を連発しているように映るだろうが、仕方がないことである。
新しい現実は、企業のもうけ(利潤率)は高まる一方、金利(利子率)は低下し、両者のかい離が際限なく広がっている、という点に集約的に表れている。両者間の裁定的動きが全くなくなってしまって久しい。金融政策の使命は、適切な資本配分により最大の経済的厚生(インフレ抑制下の雇用増大)を実現すること。しかし、利潤率が一方方向に上昇し利子率が一方方向に低下するという環境の下では、従来型の金融政策では資本配分の非リスク資産への偏りを是正できず、経済厚生を実現できない。そればかりか、資本と労働の余剰を高め、デフレの危機を強めてしまう。こうした環境の下で従来の常識からすれば、奇策、禁じ手が必要不可欠になってしまったのである。ゼロ金利、量的金融緩和、マイナス近の導入はそうした現実に対する挑戦と言える。
未経験の不等式「r1>g>r2」、原因は企業の超過利潤にある
今の中央銀行が直面する金融困難を説明する不等式は「r1>g> r2」(r1が企業の儲け・利潤率、r2は企業の資本コスト・金利・利子率、gが成長)である。2つの不等式が同時に起こっているのが現在の情勢の大きな特徴である。利潤率が高い、つまり企業が儲かっており、現在の配当率は2%、企業の益回りは7~8%、そしてROEは8%と高い。では、企業が商売をやる時に必要な資金の調達コストはと言うと、国債の金利は日本もヨーロッパもゼロ・パーセント台。アメリカだって1%台、つまり、この両者との乖離が著しく大きくなっている。普通は利潤率と利子率は、ほとんど連動すると考えられ、実際そうであった。景気が良くて企業が儲かる時には当然金利が上がる。そもそも利潤も利子も資本のリターン、利潤率と利子率は、本来同じものなのだから、「r1= r2」これが普通の教科書的な経済の姿である。しかし、今起こっているのはr1とr2が極端に乖離し、そのサンドイッチになって成長率が停滞している。この現実をどのように解釈するかということが、今の経済情勢を理解する最も重要な鍵なのである。有名な『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティの不等式「r>g」つまり利潤率が経済成長率よりも高い(それゆえに格差が拡大している)という議論だけでは不十分、「g>r」つまり利子率が経済成長率より低いというあと一つの現実がある。
この「r1>g>r2」という普通ではない現実は企業が産業革命による生産性向上により、著しい超過利潤を獲得していることに根本の原因があると考えられる。つまり、企業は大儲けしている。しかし儲かったお金を再投資できなくて遊ばせ、金利が下がっている。先進国で顕著になっている金利低下は資本の「slack(余剰)」が存在していることを示唆している。また雇用の停滞、(失業率高止まり、低労働参加率、弱賃金上昇力)は、労働余剰「slack」の存在を示している。なぜ「slack(余剰)」が問題になるほど増加してきたのか。その原因は企業における労働と資本の生産性の顕著な上昇にあると考えられる。IT、スマートフォン、クラウドコンピューティングなどの新産業革命は、グローバリゼーションを巻き込み、空前の生産性向上をもたらし、労働投入、資本投入の必要量を著しく低下させている。それは直ちに企業収益の顕著な増加をもたらすと同時に「slack(余剰)」を生んでいるのである。エリック・ブリニョルフソンMIT教授、アンドリュー・マカフィーMIT教授は近著「The second machine age」で第二の産業革命が到来していると主張している。200年前の第一次産業革命は動力の発明により人間の筋肉労働が機械に代替され、飛躍的な生産性の上昇、経済発展と生活水準の向上をもたらした。今進行している第二の産業革命は情報通信機器、システムの発明により、知力、頭脳労働が機械によって代替されようとしている。図表2は米国のセクター別雇用推移であるが、新産業革命による生産性上昇によって、製造業と情報産業において大きな雇用減少が起こっていることが分かる。またIT技術の進歩によって機械価格は急激に低下し、グローバリゼーションの恩恵により新興国での工場建設コストも大きく低下している。ビジネスに必要な資本投入額は大きく圧縮できるようになっている。米国も日本においても企業は減価償却額をすべて再投資する必要がなくなって久しい。図表3は米国企業部門の資金余剰(設備投資を上回るキャッシュフロー=余剰資金)の推移であるが、2000年代に入り、ことに2008年のリーマンショック以降著しい資金余剰状態が定着していることが分かる。アップル、グーグルなどのリーディング企業は巨額の資本余剰を抱えることが常態化している。
高利潤と資金余剰の併存⇒マネーの流通速度急低下
この高利潤と資金余剰の併存は、図表4、5の日本、米国長期金利とROEのかい離に顕著に表れている。米国長期金利の低下を利潤率(企業の稼ぐ力の低下)と解釈する見方があるが、現実は高利潤故に資金余剰が高まり、長期金利を低下せしめていると言える。この利潤率と利子率のかい離、つまり稼ぐ力が強いのに資金が余り金利を低下させる現象は、2000年代に入り顕著になっていることが、図表6米国企業の利潤率と利子率推移、図表7の米国名目GDPと長短金利から明らかである。2005年グリーンスパン元FRB議長は、好景気かつ金融引き締めの下でも長期金利が低迷していた事態を「謎(conundrum)」と評したが、それがリーマンショック以降も続いているのである。バーナンキ前FRB議長は2005年にその原因を世界的貯蓄過剰(global saving glut)と述べたが、今になって考えるとそれは一般的な貯蓄余剰ではなく、企業部門の余剰であったことがほぼ明らかなのではないか。
長期金利低下の原因を「企業の稼ぐ力の低下、資本主義の頽廃」と見るか「資本生産性向上、企業利潤の上昇」と見るかは、量的金融緩和とマイナスの金利に対して正反対の評価をもたらす。前者の立場に立つ論者にとっては、量的金融緩和は、頽廃している経済実態に対して紙幣を供給しバブルを助長する謬策となる。しかし後者の立場に立てば、量的金融緩和は「市場に存在する資本の余剰(slack)を稼働させるという」健全・適切な政策ということになる。そこに余剰の未稼働資本が存在しているなら、更なる資金コストの引き下げによりそれを稼働させれば経済的厚生は高まる。バーナンキ前議長によって定着した金融政策=量的金融緩和が創造的であるのは、経済の「slack(余剰)」の解消に照準を定めたことにあるが、マイナス金利はそれを一歩進める政策と言える。本質的に労働の余剰と資本の余剰はメダルの裏表であり、連動している。実は、労働に余剰がある状態とは資本に余剰がある状態とも言えるのである。
財政政策の出番も、新ケインズ時代到来も視野に
このように需要創造により「slack(余剰)」を解消する政策が必要であるのに、逆に資本余剰=長期金利低迷の局面で、FF金利を引き上げビジネスの資本コストを引き上げると、資本余剰は一段と高まりリセッション、金利低下と株価急落がもたらされる。2000年、2005~2006年のグリーンスパン時代の逆イールド化(長短金利逆転化)をもたらした利上げが、ITバブル崩壊、住宅バブル崩壊という金融危機をもたらしたのは当然の帰結であったと言えるが、それが正しかったかどうかは疑問が残る。当時必要だったのは金融引き締めによるバブルつぶしではなく、余剰資本をバブル形成ではなく、より持続性のある需要分野へと誘導する政策であった。望まれたのは緩和的金融政策を維持しつつ、制度変更や財政、税制などを総動員する総合的マクロ政策だったのではないか。この余剰資金が有効に稼働する政策がとられるのか、それを阻害する政策がとられるのか、前者なら株高、後者なら株価下落、株式市場は政策に大きく依存する時代に入っていると言える。量的金融緩和もマイナス金利も余剰資本を有効需要につなげるという、目的合理的な政策といえる。
なおローレンス・サマーズ氏やポール・クルーグマン氏など米国のオピニオンリーダーにより、金融緩和を維持しつつも、更なる財政政策や税制改正、所得分配是正などが需要創造、成長力の引き上げが必要だとする議論が提示されている。余剰貯蓄を実物経済に再循環させる手段として、金融政策の負荷が過重となっている。ケインズ政策つまり余剰資本、低金利を政府部門が吸収することで需要を創造する政策の寄与も必要になっているかもしれない。
図表10は米国実質株価と経済レジームの推移であるが、ここ100年ほど米国の実質株価には長期的上昇と下降の波があり、それぞれが経済レジームの成功と挫折によって説明できることがわかる。1929年までの上昇⇒古典的自由主義の繁栄、1930年から1940年代前半⇒古典的自由主義の挫折、1950年から1960年代まで⇒ケインズ主義の繁栄、1970年から1980年⇒ケインズ主義の挫折、1980年から2000年⇒新自由主義の繁栄、2000年から2009年⇒新自由主義の挫折、と推移してきた。今後新しいケインズ主義が経済を牽引する時代に入るもしれない。
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