通期営業利益を上方修正
初秋の荒れ相場を抜け、再び日経平均2万円越えを伺うまでに勢いを取り戻した日本市場。ここ数年、定着しつつある年末の上げ相場に向け、個別銘柄への物色が盛んだが、そんななか、注目したい1社がヤマハ発動機(7272)だ。先日発表された2015年12月期第3四半期では、サプライズこそ無かったものの、事業の堅調さを示した。
各事業で高収益モデルを確立
【業 績】一時的税負担増で純利益は減少
15年12月期第3四半期累計決算は、連結売上高は前期比8.0%増の1兆2142億円、営業利益は同40.8%増の1000億円と堅調だったが、純利益は前期比6.6%減の489億円となった。
これは、日米相互協議の進展を受けて日米間で所得配分調整をすることになり、米国子会社に法人税の追加納付の必要が生じたことなどから。
通期見通しでは、売上高こそ新興国の販売が伸び悩み、期初見通しを下方修正。前期比8.5%増の1兆6500億円となるが、先進国市場で各事業部門が好調に推移し、営業利益は同43.3%増の1250億円と上方修正した。
また、純利益の減少は、国際税務上の会計処理変更による一時的なもので、本業には影響がない。
【注目材料】先進国投入の新商品が好調
同社の現在の好調は、円安を追い風にした先進国市場の拡大が一つの要因だが、それ以上に世界規模で進めてきた生産体制の集約化、プラットフォームモデルによる高収益体制の確立が大きい。
ここに来て、インドネシアなど新興国市場では経済減速の影響で二輪車需要に陰りが見えているが、プラットフォームモデルの販売割合拡大や、「YZF-R25」などグローバルモデルの生産・輸出拠点としての機能を拡充したことで、新興国の通貨安をヘッジする体制が構築されたのだ。
加えて、先進国に投入した「MT-09」「YZF-R1」など、高機能スポーツモデルの新商品がヒット。好調のマリン事業では、ユーザーの大型船外機へのシフトにより高価格商品が増加し、北米市場のRV事業でも、待望のスポーツモデルが続々発売されるなど、好材料には事欠かない。
【株価展望】次期中計に向け株価も上昇基調
2013年に現中期経営計画が始動して以来、業績は順調に推移し、それに歩調を合わせるように株価も上昇曲線を描いてきた。
当然、注目を集めるのは、今年12月に発表される次期中計だ。高収益体制が盤石となった現在の同社だが、次期中計が事業をさらにステップアップさせると評価されれば、それに呼応して株価も3830円の最高値を目指す可能性大である。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
12年12月期 | 1,207,675 | 18,598 | 7,489 |
13年12月期 | 1,410,472 | 55,137 | 44,057 |
14年12月期 | 1,521,207 | 87,249 | 68,452 |
15年12月期 | 1,650,000 | 125,000 | 59,000 |
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