田中化研は暴落日の赤札銘柄、次世代正極材の供給に期待膨らむ
田中化[JQ](4080)が動意付いたのは前週末21日。化学工業日報が「住友化学は、リチウムイオン2次電池の正極材市場に本格参入する。資本・業務提携を結んでいる田中化学研究所(福井県)と、従来品に比べて電池容量を最大で7割高められる次世代正極材を共同開発した。容量が増えれば電気自動車(EV)の航続距離を伸ばせる。2017年にも一部採用が始まる。住友化学の電池事業で収益貢献しているのは今のところセパレーターのみ。周辺部材にも領域を広げて事業強化を図り、立ち上がり始めたEV市場を取り込む。」と報じたことを材料視したもの。
この21日は、日経平均株価が597円安となる中、601円ストップ高と急伸しました。今週に入り24日もストップ高で年初来の高値を更新し、文字通り「暴落日の赤札銘柄」の様相を呈しています。
資本業務提携関係にある住友化学は、本年6月10日にリチウムイオン二次電池用セパレータの生産能力を2倍強に引き上げると発表済みで、既存の大江工場(愛媛県新居浜市)の生産能力を来春までに約1.3倍に増強するとともに、韓国の当社子会社内に工場を新設する。韓国の新工場は2017年から量産を開始する予定。
このリチウムイオン二次電池用セパレータが、パナソニック製円筒形リチウムイオン二次電池を通じて、主に米テスラ・モーターズの車両に搭載されていることが最大の注目点となっています。
テスラは、およそ5億ドル(約625億円)の公募増資を計画。パナソニックと共同で、米国ネバダ州にリチウムイオン電池の巨大工場「Gigafactory(ギガファクトリー)」の建設を進め、来年に量産を開始する計画ですが、他の自動車メーカーへの供給も視野に入りますから、田中化研の業績は急拡大と期待は膨らみます。
田中化研と住友化学の両社は、2013年3月末に資本業務提携を結んでいましたが、本年1月に住友化学は950万株(1株あたり404円)追加出資し、現在、田中化研株式を220万株(14.8%)保有しています。来年には30%まで高める見通しで、需給思惑が増幅していることも株価を刺激しています。
株価は、2009年9月高値3420円から12年11月安値270円まで92%調整。2年9か月もみ合っていましたが、26週移動平均線をサポートラインに13年10月高値817円を突破し上放れを鮮明にしていますので、上昇を基調をさらに強めるか注目されそうです。
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