見えてきた最高益更新
7年半ぶりに1万8000円台を回復するなど、地合いの良さが目立つ現在の日本市場。その背景には、輸出企業を中心とした業績上振れ期待があるが、そうしたなか、注目されたのがヤマハ発動機の14年12月期決算だ。ふたを開けてみると、全部門増収増益を達成するなど、市場予測を上回る好結果となった。
好決算を発表する柳弘之社長
営業利益は中計前倒し達成
前14年12月期業績は、売上高が前年同期比7.9%増の1兆5212億円、営業利益は同58.2%増の872億円、純利益が同55.4%増の684億円となった。業績上振れの見方は強かったが、結果として事前のコンセンサス予想も上回る好決算だった。
内訳を見ると、二輪車部門はアセアン市場こそ、新商品投入の端境期に当たったため微減だったが、高価格帯商品が拡充された先進国市場が好調で、部門売上高は前年比5%増の9800億円となった。
二輪車とともに今や同社の二本柱と言えるまでに成長したマリン事業では、主戦場である米国で大型船外機の販売が増加。売上高2764億円(前年同期比13%増)、営業利益458億円(同44%増)と勢いが衰えていない。
レクリエーショナルビークルなどその他事業も順調に推移。さらに同社が“第3の移動体”と呼ぶ新たな商品カテゴリー第一弾として発売された三輪バイク「TRICITY」も、先進国で販売計画比121%と好スタートを切った。
「15年は中計の1年前倒し達成を目指す」と柳弘之社長。中計でうたった世界規模の生産体制最適化と積極的な商品開発が結実しつつある現在の同社にとって、中計前倒しはおろか、最高益更新も極めて現実的な目標だ。
今年発表の次期中計に注目
株価は好決算に素直に反応。2月17日にはリーマン・ショック後の高値2655円を突破した。
とは言え、07年1月の高値には遠く及ばない水準。業績面では過去最高が視野に入るなかで、株価の上昇余地は大きい。
鍵を握るのは、今年末に発表される次期中計だ。なかでも主力事業の動向とともに、柳社長が事あるごとに話す「これまで取り組んでいなかった分野の開拓」に注目したい。
世界的な市場拡大が有望視され、同社が技術的な優位性を持つ小型無人飛行機(「ドローン」)などはその一例だ。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
12年12月期 | 1,207,675 | 18,598 | 7,489 |
13年12月期 | 1,410,472 | 55,137 | 44,057 |
14年12月期 | 1,521,207 | 87,249 | 68,452 |
15年12月期 | 1,700,000 | 120,000 | 76,000 |
※株価は19日終値
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