下値の目処は先週安値レベル。ここを終値ベースで割り込むと調整が加速する可能性も  トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/10/30 11:50

今週は、クロス円が予想以上に重い展開になることも想定しておく


■先週は、連騰続ける株式市場を背景としたリスク選好の展開でドル円相場も114円台に突入しました。また、注目されていた米7-9月期GDPの結果、予想値(+2.5%)を上回る3.0%、そして期待されている税制改革の進展を横目にドル円の押し目が拾われていました。


先週の米7-9月期のGDPや日米の株式市場をみれば、リスク選好の環境から年末に向けて押し目買いが正攻法と思っています。
しかし、死角が無いとき時こそ、警戒レベルを上げなければ、足元をすくわれるのも相場です。

■ここにきて、カタルーニャ独立宣言を背景に政治リスクが台頭しました。
このことは、昨年の英国のEU離脱の流れを継承し、世界的にも保護主義色が強まりつつあります。少し前に言われた「グローバリゼーション」が何か懐かしく感じるほどです。

世界同時好況時代などといった世界観はいつの間にか消え去りつつあり、これまでの機関や機構も見直す時代に突入し、世界的に所得格差が再び広がりつつあるのではないかとみています。

つまり、こういった独立宣言的なものは、伝染病のように世界的に蔓延する恐れすらあり、結果的には、「政治危機」に発展し、市場の流れとしては「リスク回避」に繋がる可能性もあるので、その意味ではクロス円はこれから警戒したいです。


■IMM日本円の円売りポジションをみると17.6万枚で依然として10年ぶりの高水準になっています。また、売り越し幅にしても、12万枚弱で非常に高水準になっていることも警戒しています。


北朝鮮リスクも忘れてはいけない・・・

特に、11月初めのトランプ大統領の訪日の際に、北朝鮮の核問題やミサイル、そして拉致問題まで議題にすることで、圧力強化を求める方針とみているので、北朝鮮も軍事行動に出る可能性も否めないとみています。つまり、トランプ大統領の来日に合わせて、弾道ミサイルを放つ可能性もあるので、警戒レベルを今まで以上に上げる必要がありそうです。


■テクニカル面では・・・

週末時点の日足は、上髭陰線が出ています。
これにより、一旦は売り優勢になる可能性があります。

下値の目処としては、先週の安値近辺、「113.20円」。
これを割れるようであれば、112円前半もあるので、利食いやロスカットの値幅を狭めて商いをこなしたいと考えています。
特に週末には雇用統計も控えているので、週末までにポジションはスクウェアにしたいです。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想