クロス円の上昇以上にドルが弱含み&週末の雇用統計はインパクトがあり?  トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/07/03 11:10

クロス円の上昇は、円高圧力を更に高めることになる?


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■先週は、サンフランシスコ連銀総裁のタカ派発言や株価上昇、米10年債利回りの上昇をきっかけに113円手前まで上昇する場面がありました。
しかし、ロンドンでの講演で、イエレン議長のタカ派的な見解を示さなかったことから、ドルが売られたものの、112円はキープして終了しました。


■今週末の雇用統計は、今まで以上のインパクトある雇用統計に!

今週の目玉としては、やはり「米雇用統計」が注目になります。先日のFOMCで金融正常化に向けた一歩として、バランスシート縮小が挙げられました。
故に、それを裏付ける雇用状況があるならば、今月末のFOMCで早速、実行に移す可能性が高いとみています。既に予想値としては、5月の13.8万人増から18.3万人、平均時給も先月の0.2%増から0.3%増に上向いています。下期一発目の大注目になりそうです。



■クロス円の上昇は、円高圧力を更に高めることになる?

先週は、クロス円が熱い展開となりました。下記は、主要通貨に対するクロス円の動きです。

USD/JPY → 変動幅:1.25円 変動率+1.1%
EUR/JPY → 変動幅:3.89円 変動率+3.1%
GBP/JPY → 変動幅:4.90円 変動率+3.5%
AUD/JPY → 変動率:2.36円 変動率+2.8%
NZD/JPY → 変動率:1.45円 変動率+1.8%
CAD/JPY → 変動率:2.94円 変動率+3.5%

クロス円が上昇し始めた理由としては、各中央銀行が金融緩和に対するスタンスを見直す段階に入ってきていることが大きくあります。

しかし、日本に関しては物価上昇スピードが極端に鈍いことを理由に、日銀からは消費者物価指数の2%目標達成までは、まだまだ金融緩和を継続するという認識で、各国との金融政策に対するスタンスの違いが、相場にストレートに現れ始めています。

この流れを見れば、ドル円も引っ張られるのか・・と思いたいところですが、円以上に弱くなりつつあるのが、「米ドル」です。


■以下は、ドルインデックスの変動幅と変化率になります。

ドルインデックス → 変動幅:1.54ポイント下落 変動率:-1.6%

となっています。つまり円と同様に弱い通貨と言った状況です。

米ドルの弱さの理由は、

・IMFの米経済成長見通しの下方修正
・トランプ政権の改革が夏以降にずれ込む見通し
・FRB内で「低インフレ」を警戒する向きが出始めている


ドルの下落に関しては、トランプ大統領が以前から掲げている貿易赤字解消はドル安にあると唱えているだけに、思惑通りになっています。
しかし、日本円に関してはそれ以上に弱く、結果的に日米貿易赤字が中々解消できないのも事実です。このまま円安が進むようであれば、必ずと言っていいほど、対日貿易不均衡是正に向けた円高圧力けん制がでるので、警戒したいです。



■ドル円の日足は、未だ「三角持ち合い」の渦中にいる
ドル円の日足は、先週の上昇で移動平均100日線を突破できています。現段階では、買い優勢とみているものの、
今年3月からの「三角持ち合い」を抜けていないので、「目先」は戻り売りで考えています。

・113円台で積極的に売りを仕掛け、浅めにロスカット

・100日移動平均線(30日現在:111.77円)を割り込むようであれば、「三角持ち合い」の下限に向かう可能性があるので、逆指値で対応したいです。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想