イベント直前で小動きの想定 日経平均が下がりそうで下がらない理由とは?

著者:市原義明
投稿:2017/06/07 18:43

◆信用売り残は2009年6月以来の1兆円超えが続いている

8日(木)の日経平均は、イベント直前で小動きの想定です。

7日の日経平均は、前場は小幅安のもみ合いでしたが、後場にかけて買いが優勢になって3日ぶりの小幅反発になりました。

ただし、主力株は高安まちまちで中小型株優位の印象でしたから、イベント前のポジション調整が中心だったと思われます。

8日のイベントについては、イギリスの総選挙が日本時間8日の15時から9日の早朝にかけての日程ですし、米国の議会証言やECB理事会も8日の夜ですから、明日はイベント目前で様子見継続のもみ合い想定です。

ただし、じりじりと円高が進んでいるので、1ドル=109円を割り込むような展開になると、日経平均の下落材料になりそうです。

日経平均は本日の下落で5日線を割り込みましたが、25日線が19780円程度に位置しているため、下落した場合の下値目処になりやすいと考えられます。

また、PER14倍が19698円なので、こちらも下値目処になりやすそうですから、もう少し下がっても良さそうな水準です。

しかし、下がりそうで下がらないのは、売り方が増えていることが1つの要因のようです。

昨日に発表された東証の信用残では、売り残が金額ベースで2週連続の1兆円超えになっています。売り残が1兆円を超えるのは2009年6月以来です。

2009年6月は、リーマンショック後の2番底を3月につけてから急速に反発したタイミングですから、「もう下がる」と思って逆張りしたくなる環境だったと考えられます。

現在の環境も、明日のイベントリスクだけではなく、トランプリスクなどが漠然とくすぶっているなかの2万円台回復でしたから、上がるよりは下がる方に賭けて逆張りしたくなるのも理解できます。

総強気になれない環境が結果的に空売りを増やし、信用取引の需給によって下がりそうで下がらない相場が出来上がっているのかもしれません。

また、下がると空売りの買戻しが入りやすい状況に加えて、前場で日経平均がマイナスになると日銀のETF買い思惑も浮上するため、外部環境の割には下がりそうで下がらない展開が続いているのだと思われます。
市原義明
株式会社ストックゲート 執行役員兼営業部長
配信元: 達人の予想