現状は引き続き「戻り売り」優勢な相場展開。週足ベースも5週連続下降を示す
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■先週は、地政学リスクやトランプ大統領によるドル高けん制発言が相場を重くさせ、売り優勢の展開となりました。
■テクニカルでもトランプラリーで形成した上昇トレンドに対する50%調整(109.89円)もあっさり下抜け、残すは61.8%調整(107円後半)も視野に入り始めています。
また、中長期のトレンドをみるための重要な200日移動平均線(週末現在:108.68円)と先週末終値(108.62円)が下抜けたことでも、来週以降売られやすい地合いを想定しています。
■今週の展望
今週も引き続き、以下の材料を意識した展開になりそうです。
1:北朝鮮リスク…半島情勢の緊迫化による「有事の円買い」。
2:トランプ大統領のドル高けん制発言…先週末の為替報告でも日本円に対しての割高感を示しています。それがゆえに介入もしづらく、投機的にも日本円が買われやすい。
3:フランス大統領の行方…急進左派のメランション候補も支持率を伸ばしているので、今後の行方が不透明になりつつある。更にその先はEU離脱不安が台頭する可能性も否めない状況。
4:日米株安…これまで続いたトランプラリーもいよいよ本格的な調整局面に入りそうです。特に北朝鮮リスクからリスク回避の株売りで、金融市場が全般的に暗雲立ち込める状況に。
■特に、4番の日米株安には注目しています。
NYダウのチャートを見れば、先週お伝えしたようにこれまで移動平均50日線を意識した動きになっていました。しかし、今週水曜日にあっさり下抜けたことで、翌日も売り優勢の展開になり下ヒゲのない陰線で地合いがあっかしています。
更に、移動平均75日線(13日現在:20,402ドル)に接近しており、また、一目均衡表の雲下限も同様の価格ということもあり、下抜けるかどうかに大注目です。
■これまでトランプ政権が掲げてきた税制改革やインフラ計画も遂行することが懐疑的になりつつあり、更にヘルスケア法案の採決も先送りになっていることも政権運営に陰りが出つつあります。
特に今月28日までに予算案や連邦債務上限の引き上げが急務となっていることもあり、政権運営としてはやや劣勢です。
そんな時こそ最後の頼みの綱・・それが北朝鮮に対して軍事行動に踏み切るといったカードを出すことがワイルドカードのようにみえます。
このまま何もしなければ、不安心理が払拭でないまま、米議会も政権運営も悪くなる一方のように感じます。
その軍事行動として予想できるのは、米韓合同軍事演習の終了日意向、つまり日本のGWの可能性もあります。
日本の金融市場が休会のときこそ、「日本円のズル滑り劇」が始まると予想しています。