トランプ氏の保護主義発言で円高へ

著者:川島寛貴
投稿:2017/01/06 18:03

アメリカで売るものはアメリカでつくらないと怒られます

トランプ氏の保護主義が鮮明になってきています。
フォードに対してはメキシコの工場建設を批判し、トヨタのメキシコ工場新設についても同様に批判し、米国に輸入するのであれば、関税を上げると発言。

当初多くの人が想像していたようなトランプ氏が戻ってきたように思えます。
そもそも関税を上げることができるのか疑問ですが、トランプ氏の発言を受け強いISMなどの米国指標は利食い材料に。ドル円はトランプ相場開始以降最大の下落幅となりました。

115円台前半では本邦勢が勢いよく買ってきたようですし、115円という心理的節目と値ごろ感からも買いたくなる水準。そして、FOMC前の米国長期金利と比較したドル円の水準としても、ちょうど良いところまで下落したように思えます。

雇用統計での上昇は期待薄

さて、本日の雇用統計の事前予想は、非農業部門雇用者数が17.5万人、失業率は4.7%、平均時給は0.3%(前月比)となっております。

雇用統計前の発射台は116円台前半を想定。記事執筆時点で116円台を回復し、大きな利食いも入らず安定した動きを見せています。
ほぼ完全雇用に近づいているので、労働参加率や平均時給が焦点となりそうです。

結果を受けて上昇した場合は、昨日の116円後半が目安となり、利食いに押される展開を想定。特に、週末のトランプ氏の発言を警戒すると、積極的に高値を買っていこうと思う投資家は少ないように思えます。

反対に下げた場合は、115円半ばで一旦買いが入るイメージ。トランプ氏のフォード批判発言があってから、ショートをキープしているトレーダーが多そうな雰囲気ですので、雇用統計で下落したのを機に買戻しとなりそうです。

ただ、そこそこ良い結果となったとしても、今日の終値は116円を下回りそう。
為替マーケットはトランプ氏の発言に左右されており、11日(日本時間12日深夜頃でしょうか)に予定されている記者会見まで、上値の重い展開が想定されそうです。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想