目先的な過熱感から売り先行、売買代金は減少傾向

著者:冨田康夫
投稿:2016/11/22 19:25

明後日の東京株式市場見通し

 24日の東京株式市場は、きょうまでの日経平均株価5日続伸、東証株価指数(TOPIX)9日続伸など、目先的な過熱感は一段と強まっており、利益確定の売りが優勢となりそうだ。

 市場関係者からは「きょう朝方は、福島県沖を震源とする地震発生で東北地方を中心とした沿岸で津波が観測されたことから、外国人投資家からとみられるリスクを避けようとする売りが出た。しかし、その後被害が限定的との見方が広がり後場はプラス圏での推移となり、地合いの底堅さを示した。ただ、売買代金は減少傾向にあり、上昇エネルギーは限定的となった」との見方が出ていた。

 22日の東京株式市場は、朝方売り先行で始まったものの、その後は徐々に買い優勢となり、後場の日経平均株価は前日比プラス圏を保った。終値は前日比56円92銭高の1万8162円94銭と5日続伸した。

22日の動意株

 シンデン・ハイテックス<3131>=ストップ高。
同社は午前11時ごろ、生体認証ソフトウエアおよびハードウエアソリューションのプロバイダーである米バイオ・キー インターナショナル(ニュージャージー州)と販売代理店契約を締結したと発表しており、これを好感した買いが入っている。今回の契約締結により、バイオ・キー社が他社に先駆けてマイクロソフトWindows Helloパートナー認定を受けた小型指紋リーダシリーズの販売を行うことになる。これにより、シンデンハイテクのパソコン周辺機器のラインアップ強化につながると期待されており、業績への貢献が期待されている。

 ネットイヤーグループ<3622>=一時ストップ高。
同社はきょう、グループのネットイヤークラフトが、ソフトバンクグループ<9984>と日本IBMが共同展開しているIBM Watsonに関連する「IBM Watsonエコシステムプログラム」に参加することを明らかにした。IBM Watsonエコシステムプログラムとは、IBM Watsonを活用することで、エンドユーザーに新たな価値と利便性を提供し、パートナー企業のビジネス拡大・創出を目的としてつくられたもの。

 チエル<3933>=後場に入り大幅高。
この日正午ごろ、人工知能(AI)と適応学習(アダプティブ・ラーニング)を活用したクラウド型学習教材を開発するすららネット(東京都千代田区)が、学校向けデジタル教材の共同開発で合意したと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。今回の合意は、学校向けデジタル教材の分野で、学習分析(ラーニング・アナリティックス)に強みを持つチエルと、アダプティブ・ラーニングに強みを持つすららが、互いの技術・強みを生かしたシナジーを最大化させ学校向けe-Learning教材を共同展開するのが狙い。

 東京テアトル<9633>=ストップ高で、年初来高値更新。
市場では「主力株が一服局面にあるなかで、出遅れている低位材料株物色の流れが強まってきた。そのなか同社が配給する劇場アニメ『この世界の片隅に』の好調が伝わっており、これが物色人気の引き金となった。東宝の『君の名は。』の連想もあるようだ」(国内ネット証券)としている。

 ルック<8029>=5日続伸で、年初来高値更新。
同社は21日取引終了後に、投資魅力を高めることを目的に、株主優待制度を導入すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。対象は12月末時点で、1単元(1000株)以上を保有する株主。内容は同社のオンラインショップ「ルック アット イーショップ」で利用できる優待割引券となり、1000株以上2000株未満の保有で2000円の優待割引券、2000株以上の保有で4000円の優待割引券を贈る。

 ボルテージ<3639>=急伸。
同社は21日の取引終了後、中条比紗也氏による大人気コミック「花ざかりの君たちへ」(白泉社刊)を原作とする恋愛ドラマアプリ「花ざかりの君たちへ~Boys love you~」を、17年冬に配信開始すると発表しており、新タイトルへの期待感から買いが入っている。「花ざかりの君たちへ~Boys love you~」は、ユーザーが主人公となり、大人気コミック「花ざかりの君たちへ」の登場人物たちと恋を育むストーリーを楽しんだり、アバターを着飾ったりと、「花ざかりの君たちへ」ファンも、「恋愛ドラマアプリ」ファンも楽しめる内容となっているのが特徴。21日にはディザーサイトを公開しており、同サイトで続報なども順次公開する予定で、来月上旬から事前登録を開始するとした。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想