上昇一服、目先的な達成感から利益確定売り

著者:冨田康夫
投稿:2016/11/21 18:40

明日の東京株式市場見通し

 22日の東京株式市場は、きょう日経平均株価が終値で約10カ月半ぶりに心理的なフシ目である1万8000円の大台を回復したことで、目先的な達成感から利益確定の売りが予想され、反落となりそうだ。

 市場関係者からは「きょうで、日経平均株価が4日続伸したことで、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は137.66%と一段と上昇してきた。また、東証株価指数(TOPIX)はきょうで8日続伸となり、短期的には過熱感が増している。スピード調整の一服となる可能性が高い」との見方が出ていた。

 21日の東京株式市場は円安進行を背景に終始買いが優勢となった。日経平均株価は前後場を通じて次第高の展開となり、終値は前週末比138円61銭高の1万8106円02銭と4日続伸した。

21日の動意株

 任天堂<7974>=6日続伸。
「ポケモンGO」の世界的なヒットは同社に二次的な恩恵をもたらしている。東南アジアやインドでのポケモン人気が再燃しており、「同地域の企業との関連商品の取り扱いを巡るライセンス契約数が急増傾向にあることがメディアを通じて伝わっている。ポケモンGO配信後にいったん株価が下押したことで売り圧力が低減している。これが株高期待を後押しているもようだ」(準大手証券)という。

 三井松島産業<1518>=後場一段高。
岩井コスモ証券は18日、同社株の投資判断を新規「A」でカバレッジを開始した。目標株価は1720円としている。同社は4日に17年3月通期の連結営業利益予想を従来の1億円から4億円(前期比60%減)に上方修正した。7月以降の石炭価格の急騰を背景に今後の収益改善が本格化することを織り込んだものだが、足もとの石炭価格は高値圏で推移しており、同証券では一段の増額修正を予想。今3月期の同利益は8億円(同21%減)と更なる利益上乗せを予想している。

 エヌジェイホールディングス<9421>=ストップ高で、年初来高値更新。
グループのトライエースが開発を手掛けたスマートフォン向け新作ゲーム「スターオーシャン:アナムネシス」に関する公開生放送が19日に「ニコニコ生放送」などで行われ、実機プレーなどが披露されたことが同ゲームへの期待感を高めるかたちとなっているもよう。なお、同ゲームはスクウェア・エニックス(東京都新宿区)が16年配信を予定しており、10月20日から事前登録を開始している。

 イハラケミカル工業<4989>=急伸。
同社は前週末18日の取引終了後、集計中の16年10月期連結業績について、売上高が従来予想の440億円から448億円(前の期比8.9%増)へ、営業利益が29億円から41億円(同16.9%減)へ上振れたようだと発表しており、これを好感した買いが入っている。今期は6月と8月に業績予想の下方修正を発表しているが、これに対して、海外向け畑作用除草剤が顧客からの早期出荷要請を受けて出荷が増えたことに加えて、好調に推移する受託農薬関連剤や海外向け水稲用除草剤の増産対応を主因に製造原価が圧縮され売上粗利益が改善したことなどが業績を押し上げたという。

 ブロードリーフ<3673>=ストップ高。
同社は前週末18日の取引終了後、12月16日を基準日として1対2株の株式分割を実施するとしたほか、16年12月期の期末配当について、従来予定していた12円50銭を据え置くと発表しており、株式分割を考慮すると実質12円50銭の増額となることが好感されている。また、16年12月末時点の株主から、株主優待制度を導入すると発表しており、これも好材料視されている。

 ウインテスト<6721>=ストップ高。
同社はきょう、大阪大学とIoTセンサーの高精度化に向けた共同研究および製品の開発を開始すると発表。これが材料視されているようだ。共同研究開発の内容は、IoTセンサーの比/位相変換法と精密分光計測装置の開発。この成果は、IoTが使われるロボット分野での高精度姿勢計測センサーや、自動車分野でのセイフティー・センサーのほか、医療・ヘルスケアや農業分野における超音波および紫外線から赤外線までの各種計測、診断装置に応用できる基本技術になると期待されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想