【QAあり】セルソース、ひざ疾患の「早期発見×早期治療」実現に挑む 医療機関・パートナー企業と共に再生医療の社会実装に貢献
沿革
細田薫(以下、細田):セルソース株式会社執行役員COO 加工受託事業本部長の細田です。よろしくお願いします。
林祐太(以下、林):執行役員CSO 経営戦略本部長の林です。よろしくお願いします。
細田:それでは、セルソース株式会社についてご説明します。本日、初めて弊社を知っていただく方もいらっしゃるかと思いますので、前半ではセルソースという会社とその市場環境等を私からご説明し、後半でより詳細なお話を林からご説明します。
まず、セルソースについてご説明します。セルソースは2015年に創業し、現在10期目を迎えている会社です。社長は創業した裙本から澤田に代わり、今年を迎えています。現在、従業員数は151名で、昨年10月にプライム市場に上場した会社と覚えていただけると幸いです。
第10期の執行体制
細田:今お伝えしたとおり、今年執行体制が変化しました。創業社長だった裙本は現在、取締役CXOとなっています。
全体的な統括を担う新社長CEOの澤田の下、新規事業を司る裙本、これまで我々が生業としてきた加工受託事業を司る私、細田、人事や経営などストラテジーの部分を司る林という4名で、チーフオフィサー制度を導入して執行しています。
法改正による再生医療市場の誕生
細田:我々はいったい何のために存在し、どのような社会課題に取り組んでいくのかをお話しします。
まず、セルソースの出自についてです。スライドに記載のとおり、2014年に再生医療市場が誕生し、日本では世界に先駆けて再生医療に関連する2つの法律が整備されました。再生医療に関するレギュレーションが明確になったことを受け、翌年に誕生した会社になります。スライド上段に記載の再生医療等安全確保法は「安確法」と略されることが多いです。
セルソースが取り組む社会課題
細田:我々は上場していますので、企業価値の向上に邁進するとともに、社会課題の解決にならないことは行わないことを常に強く言語化しています。
企業価値の向上と社会課題の解決が重なっている部分で我々が取り組んでいるところは、高齢化問題、少子化問題、財政問題です。この3つの社会課題に沿っているか、解決につながっているかを常に自分自身に問いながら、日々、事業活動しています。
再生医療関連事業モデル
細田:事業はいくつかありますが、1つ1つをご説明していると時間がなくなってしまいますので、我々の売上の7割以上を占める加工受託事業のビジネスモデルをご説明します。
スライドの図をご覧ください。一番上に示している患者さまが、美容領域、整形領域、不妊領域等の医療機関に行きます。そちらで血液、脂肪などの組織を採取し、我々に送っていただくと、我々は血液や組織を加工して、幹細胞を抽出したりします。
簡単に言いますと、私は「良いものにして戻す」と表現しています。医療機関に戻した後、患者さまに医療機関に再来院していただき、投与するかたちです。
そのため、我々は医療機関の黒子のような存在です。患者さまが我々の名前を直接的に知り、「セルソースだからこのサービスを」という存在ではなく、あくまで裏方の存在として今まで取り組んできています。
整形領域の加工受託サービスの売上内訳について
細田:この後、林からのご説明でも何度か出てくる単語がありますので、こちらのスライドでご説明します。「自費診療特化型」と「ハイブリッド型」という単語です。弊社を理解していただくにあたって、ぜひ頭に入れていただきたいと思っています。
日本に1万8,000院ある整形外科の99パーセント以上は、保険診療の医療機関です。保険診療の医療機関が自費診療を導入している場合、我々はそれをハイブリッド型と呼んでいます。一方で、日本で数少ないですが、自費診療のみを行っている医療機関があり、自費診療特化型と呼んでいます。
自費診療特化型のクリニックは、朝から晩まで診療を行っている中で、基本的にはセルソースのサービスのみを提供しています。したがって、我々のプロダクトに関する1日当たりの売上高は莫大なものになります。
一方で、ハイブリッド型の先生方は、いろいろなお客さまが来られる中で、保険診療サービスを提供しながら自費診療である我々のサービスもご提案しています。そのため、1日当たりのオーダー数はまったく異なります。
ただし、現在の提携医療機関はハイブリッド型が1,300院、自費診療特化型が14院のため、N数としては圧倒的にハイブリッド型のほうが多いです。そのような業界構造になっているとご理解いただければと思います。
先ほど財政問題も社会課題として取り上げましたが、我々としてはハイブリッド型のところで、再生医療、自費診療をしっかりと導入していくことが、1つの大事なミッションになってきます。
一方で自費診療特化型は、世の中に対する自費診療の認知を高め、それがある意味で1つの選択肢として定着することで、非常に大きな役割を果たしているかと思います。この後、この2つを分けてご説明していきますので、ここで少しご理解いただけると幸いです。
『ひざの健康』は、高齢化社会の日本における大きな社会課題
細田:変形性ひざ関節症についてです。今、「ひざの健康」をすべての社会課題の1位に置いています。潜在的な患者数は約2,500万人、疼痛などすでに顕在化している方は約800万人です。
一方で、人工ひざ関節置換術を受ける方は年間約10万人となっています。この数字の並びだけを見ても、スライド右側に進むにつれて一気に減っていることがわかります。
そして、より重要度を増す日本における健康寿命問題
細田:高齢化問題の位置づけについてです。スライド右側の棒グラフをご覧ください。見づらくて恐縮ですが、上のグラフの平均寿命と、下のグラフの健康寿命の差が問題だと考えています。人が長く生きることはもちろん問題ではありませんが、健康寿命の伸びがそれに追いついていません。
つまり、男性で約8年から9年、女性で約12年の間、不健康な状態で生きなければならないことに問題があると思っています。まずは健康寿命の延伸にとにかく集中していくことが、我々の今の事業の位置づけになります。
その解決に向け、セルソースはこれまで再生医療等加工受託サービスを展開
細田:これだけ大きな疾患にもかかわらず、ソリューションは非常に少ない状況です。スライド左側の図をご覧ください。保存療法では、ヒアルロン酸の注射や服薬を行います。手術療法では、人工関節に入れ替えるという大きな手術を行います。実は、この間を取り持つものが数年前まではありませんでした。
これに対し、メスを入れることなく、薬物で治すというよりは、患者さまが持つ治す力を促進する再生医療が登場しました。したがって、保存療法と手術療法の間を埋めるアプローチを行っているのが、我々ないしはPRP(多血小板血漿)療法です。
我々は現在、不妊や美容領域も含めて提携医療機関が1,955院あります。整形領域は、マーケットの8パーセントから9パーセントが我々と契約している状況です。
加工受託件数は年間約2万件です。さらに、正確なデータがないためIR資料には記載していませんが、加工受託件数や再生医療の提供件数は、現時点で全国1位だと思っています。
適切な治療がまだ患者に届いていない事実
細田:社会課題について少し掘り下げています。スライドの円グラフのデータは、我々が独自で行った約1万5,000人の方へのアンケート結果をもとにしています。
50代以上のうち、ひざに痛みを感じたことがある方は40.4パーセントもいます。それにもかかわらず、現在通院している人はたった7.9パーセントしかいません。さらに、通院しても61.5パーセントの人は治療に満足していない状況です。
中央の円グラフをご覧いただくと、通院をやめた方がけっこういらっしゃいます。この中身については資料に入りきらなかったため出していませんが、効果を感じられずにやめてしまった方もいます。そのような方は右側の円グラフに含まれていないため、そのような方々を含めると、満足していない方はさらに多くなります。
変形性ひざ関節症の課題に対するソリューションの少なさ・効果のなさが、いわゆるUI/UXとしての治療への満足度のなさにもつながっているのかと思います。
新たな治療選択肢としての再生医療
細田:今お伝えしたことをピラミッド型に直したものがこちらです。この資料のご説明は割愛しますが、スライド左側の図の空白部分を埋めているサービスが、我々のサービスだと思っていただければと思います。
日根野健氏(以下、日根野):1点おうかがいします。セルソースのサービスは自費診療ということですが、整形外科の先生がセルソースのサービスを使うかどうかを判断するということでしょうか? また、保険適用でないということは、値段も整形外科の先生が自由に決められるのでしょうか?
細田:おっしゃるとおりです。
日根野:将来的に自費診療のサービスが保険診療の対象になった場合、マーケットが広がることで御社にとってはプラスになりますか? 反対に、保険適用にならないほうがいいということもあるのでしょうか?
細田:これはあくまで我々の立場からの目線になりますので、違った見方もあるかもしれませんが、まず自費診療が整形外科領域に広がっていく流れは止まらないと思っています。
それが我々のサービスかどうかは横に置いておいて、整形外科の経営状況などを考えた時に、保険診療の1つの課題は先生が自分で価格を決められない、所与のものであるという点です。
日根野:いくらの収入になるというのは、保険の制度ですでに決められているということですね。
細田:このサービスは何十円と決まってしまっていますので、経営の自由度はどうしても限られてしまうところが大きな課題です。人件費が上がってコストがかさんできている昨今においては、経営目線がより必要になってきており、自費診療を取り入れるクリニックが減ることはまずありません。
日根野:かえって、自費診療があることで経営の自由度が上がっていくということですね。
細田:大変ありがたいご質問でした。保険診療のものは治験が行われているため、安全性がすべて担保されています。しかし、自費診療はそれがないため、先生方の目利きがより大事になり、値づけ力も必要になります。経営のハードルが1個上がる時代に入ったのかと思っています。
PFC-FDの特徴
細田:プロダクトについてご説明します。スライド左側にローマ字で記載している内容を一つひとつご説明することは割愛しますが、なぜそれを投与するといいのかを簡単にお話しします。
成長因子と呼ばれるものが、血液の中には多く流れています。血小板の中に含まれている成長因子を抽出したものを体に投与すると、ひざの軟骨の傷み、すり減り、周囲の組織のダメージに作用します。この成長因子という言葉と、それが抗炎症成分を持っていることを覚えていただければと思います。
PFC-FD療法の流れ
細田:PFC-FD療法の流れについてです。先生に診察していただき、採血したものを我々に送っていただいて3週間後に戻すというのが、我々のメインである血液由来加工受託サービスになります。
日根野:3週間の間にどのようなことを行うのでしょうか?
細田:血液を送っていただいた後、我々のほうで感染症検査、無菌検査など、安全性の検査を行います。それと並行して血液を遠心分離し、そこで取り出した濃縮されている血小板から成長因子を抽出します。PFC-FDのFDは「Freeze Dry」ですので、最終的には凍結乾燥します。
ここで、すでに獲得している特許技術を使っています。他社のものはすべて生モノですので、その日に打たないといけません。しかし、我々のものは最新のもので1年保ちますので、すぐに打たなくてもよく、作っておけば水で溶いて先生に入れていただけます。我々に再度送っていただく必要もなく、保管もできるということです。
日根野:戻した時に先生が患者さまのひざに注射することで、患者さまが持つ治す力を促進するのですね。
細田:おっしゃるとおりです。
加工受託サービス関連:論文件数・実績
細田:本日もう少し強調してお伝えしたいところは、エビデンスの部分です。我々のサービスを含む再生医療としての論文の数ではなく、セルソースのプロダクトに特化した論文の数は、血液由来加工受託サービスで23報、脂肪由来幹細胞加工受託サービスで11報です。
自費診療でサービスを行う場合、このような論文は実は必要ありません。論文がなくても売れます。しかし、我々はしっかりと効果があり、安全性が保証されているものを世に出していく努力を常に行っています。
この23報の中には、『KSSTA(Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy)』という医学雑誌に掲載されたものもあります。
インパクトファクターと呼ばれる論文の受容度を測るものがありますが、ヨーロッパの論文でもきちんと査読を受けて掲載されていることは、自費診療で提供するサービスの中で極めてまれです。普通は行いませんので、我々としては非常に重要なところかと思います。
日根野:患者さまに勧めるため、客観的な根拠があることが医師の背中を押すということですね。
細田:間違いありません。やはり海外の論文雑誌は査読が厳しく、ケースレポートと呼ばれる症例報告ではなく、エビデンスとして価値があり、世の中に発表する意味があるものしか出ないようになっていますので、非常に重要なポイントかと思っています。
PFC-FDのエビデンス
細田:症状グラフについてご説明します。グラフ上部に「KL」と記載しています。これは変形性ひざ関節症の重症度を4段階で表すグローバル指標です。KL1が一番楽な状態、KL4が一番厳しい状態ということになります。
横軸は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月と時間経過を示しています。やはり折れ線グラフが上にあるものほど色が濃く、KLの数字が小さくなります。歯の治療などでも同じですが、進行が浅い時に手を打つと非常に効果が出ることに加え、長持ちすることを表しています。
KL4は、軟骨がかなりすり減ってしまっており、歩くだけでも痛いというかなり深刻な状況の方になります。ただし、このグラフは上にいくほど改善していることを示していますが、我々のサービスを打っていただいた後はおしなべて改善しています。
軟骨は神経が通っていませんので、痛いと感じている時点で症状はかなり進行しています。KL1は、ファーストグレードではありません。
その時点である程度進行している世界のレベル1ですので、痛みのシグナルが出ている時点で「けっこう痛いんだよ」「けっこう進行しているんだよ」というところです。そのタイミングから我々のサービスを検討し、治療していただくといいかと思っています。
日根野:初期段階で治療すると、健康寿命が延びるだろうということですね。
細田:痛い状態では、やはり歩き方が変になってしまいます。正しく配置された骨の位置のことをアライメントと言いますが、ひざの関節がずれていると、歩く際に一方ばかりがすり減ってしまいます。
「あれ? 少し痛いな」という時にある程度修復を進ませておくと、体の構造のずれがなくなるため、再発しづらくなります。しかし、いろいろなところが崩れてしまった状態で、ひざだけを直しても、また違うところが痛くなってしまいます。
どうしても自費診療になるため、最初は「少し高いな」と思う方もいると思いますが、実はそのタイミングで治療すると圧倒的に効果が高いです。このように、エビデンスやデータを重要視しながらサービスを提供していることがおわかりいただければと思います。
日根野:「ああ、調子悪いな」と感じた時に先生が治療を進めてくれると思いますが、一度治療すると、どのくらい持続するのでしょうか? 1年ごとにやり直す必要があるのでしょうか?
細田:今のご質問に対する回答は二通りあります。ご質問と違うかたちでの回答になりますが、リハビリテーションをするかどうかで我々のプロダクトの効果が天と地ほど異なります。
KL3やKL4になると痛みがあるためリハビリテーションができません。「スクワットをしよう」と言ってもできません。
そこで、我々のサービスで痛みを取ることで、リハビリテーションができるようになります。歩けなくなると筋肉が減りますが、それにより荷重がかかって痛くなるという悪循環を我々のサービスでいったん止めて、筋トレをできるようにします。
ひざの周辺の組織をしっかり鍛えることで、負荷がかかりづらくなり、成長因子が出て治るという好循環に戻します。これが私たちの役割です。我々のサービスを注入すると、約1ヶ月で非常に改善します。
これは我々のサービスのおかげですが、そこから先も良い状態が続くかどうかは、リハビリテーションをがんばる人とがんばらない人の差になります。
したがって、我々のサービスをよく使用している先生方は、口を酸っぱくして、いかにリハビリテーションが重要かを徹底的に説いています。そうすると、「最近病院に来なくなっちゃったよ」というケースでも、良い話を聞けるようになります。そこが非常に大事だと思います。
日根野:整形外科の中にはリハビリテーション室を併設しているところがあります。整形外科としても、単に1回診療するだけではなく、リピートのお客さまにつながっていくということですね。
細田:保険適用のリハビリテーションは6ヶ月間あるため、その間にしっかりと通うかどうかが、その後の状態を左右します。面倒くさがって通わない方と、保険適用のリハビリテーションをしっかり受ける方で大きな差が生まれると思います。
PFC-FDの活用シーン
細田:私からのご説明はこちらのスライドで最後になります。実際の活用シーンをご紹介します。スライド左側は、我々の「Note」の公式アカウントの画像です。患者さまのインタビューを現在3本ほど掲載しており、今後4本から5本投稿する予定です。
また、本日の本線からは少しずれますが、スライド右側にエンブレムを掲載しているとおり、日本のトップクラスのスポーツ選手にも使用していただいています。2024年は出雲駅伝や全日本大学駅伝を走った青山学院大学の選手の約半分が我々のサービスを受けています。なお、このことは開示しているため発表しても問題ありません。
変形性ひざ関節症のみの使用かと思いきや、スポーツの現場でも非常に活用されています。ドーピングにも引っかからず、日本のトップクラスの選手が信用して使っていることも、信頼されるポイントだと思います。
創業来の実績
林:ここからは私がご説明します。10月に終了した第9期の実績と、それを踏まえて新しく策定したビジョン、第10期をどのように見込んでいるかについてお話しします。
スライドの棒グラフは、創業から第9期までの売上高と営業利益の推移を示しています。売上高は第8期に45億円まで到達しましたが、2024年10月期はやや低下し、43億5,500万円で着地しました。一部のサービスで引当金を積んだ影響により、営業利益は1億2,900万円で着地しています。ただし、引当金の影響を排除すると、営業利益は4億200万円での着地となります。
スライド右側の円グラフは、売上高の構成比を示しています。ご覧のとおり、6割以上が加工受託サービスです。累積加工受託件数は10万件以上で、年間2万件以上の加工受託を行っており、累計1,955院の医療機関と提携しています。
売上高の推移
林:売上高の推移についてです。加工受託サービス、コンサルティングサービス、医療機器販売、化粧品販売その他の4つに分けています。
前のスライドでもお話ししたとおり、一番大きいのは加工受託サービスです。第9期の売上が第8期と比べて減少したのは、加工受託サービスが前期比12.8パーセント減少したことによります。
また、コンサルティングサービスは一部契約が終了した関係で、約57パーセント減少しました。医療機器販売と化粧品販売はプラスとなってやや盛り返しましたが、全体としてはマイナスでの着地となっています。
日根野:加工受託サービスが若干苦戦したと見受けられますが、数量が苦戦したのでしょうか? あるいは、競合との間で価格が非常に厳しくなったのかなど、どのような要因がありましたか?
細田:私からご説明します。本日は時間の関係上、そのスライドがありませんが、先ほどお話しした自費診療特化型とハイブリッド型の部分が関わってきます。今回、自費診療特化型が大きく苦戦しました。
約2年から1年半前に「自費診療特化型×整形外科」というコンセプトのマーケティングが大当たりしました。ハイブリッド型医療機関は1,300院と提携していますが、いきなり「y=2x」にはなりません。本当にじわじわと社会実装を進めました。
一方で、自費診療のみということで、マーケティングコストをかけた分、非連続的に大きく増やすことができます。反対に、戻る時も非連続的に反動が大きくなるため、足元では自費診療特化型が落ちてきています。競争環境の激化とは違います。
日根野:自費診療特化型は、大口のお客さまだと思います。大口のお客さまの特需が落ち着いた一方で、小口のハイブリッド型のお客さまの認知が徐々に積み上がってきているという理解でよいでしょうか?
細田:後ほど林からご説明しますが、我々としては自費診療も大事です。しかし、今はハイブリッド型整形をどのように社会実装していくのかというステージ2に入っていこうと思っています。その成長に期待してもらえるよう、実績を残したいと思い尽力しています。
林:細田からのお話のとおり、自費診療特化型とハイブリッド型は、それぞれ成長するために異なる課題を抱えています。まさに第9期はそれがあらわになり、対策を考える1年となりました。ここからお話しする第10期の過ごし方やその先のところで、詳しくご説明します。
BSの推移
林:第9期の実績について、スライドのグラフはBSの推移を示しています。変化点はスライド上部に記載のとおりです。一番注目していただきたいのは、非常に強固な財務基盤を持っていることです。これからお話しする中長期のビジョンに向けて、約43億円という非常に大きな現預金を活用し、企業を成長させたいと考えています。
日根野:盤石なキャッシュですね。
林:おっしゃるとおり、非常に盤石です。これまで借り入れなどをせずに、ほぼ無借金と、自力で成長してきたところが大きいです。2024年1月25日付で澤田新社長が着任し、現預金をどのように使っていくかを議論してきました。今回策定したビジョンの実現に向けて、ようやく現預金の使い方がわかってきた状況です。
以上が第9期の実績です。
これまでのセルソースの活動
林:先日の決算発表でお話しした「セルソースビジョン」についてです。第9期の実績を踏まえ、我々がどのように活動していくかをご説明します。決算資料には動画もありますので、ぜひ一読していただきたいのですが、ここでは要点を絞ってお話しします。
変形性ひざ関節症に悩む患者さまの立場に立ってみようということで、どのような課題があるのか、患者さまがどのように過ごすのかをスライドにまとめました。
スライド左端に「患者さまの悩み」と記載しています。そもそも患者さまの中にはひざの健康を気にしていない方が多いです。「年を取ったらひざは痛くなるものだ」というのは、これまでの常識だったと思います。
痛くなる前からひざの健康状態に気をつけなければいけないということは、まだ浸透しきっていないと思います。「ひざの健康、気にしたことなかった」が1つ目の悩みです。
2つ目は、「違和感ある気がするけどなんだろう? 治るのかな?」という悩みです。そしてひざの痛みが増した時には、「いつ病院に行けばいいのかな?」「まだ我慢できる気がする。サプリメントを飲むか、病院に行こうか、どうしよう?」という悩みが3つ目です。
通院を開始しても、「どんな治療法があるの?」という悩みや、再生医療の提案を受けても、保険診療に比べて自費診療は高いため「効果はどうなのかな?」「いつ打てばいいのかな?」ということで悩みます。
再生医療を受けても、最終的に手術に進もうとした時に「手術は怖い。他にいい手はないの?」「どの段階で手術をしたらいいのだろう?」という悩みの推移をたどると考えています。
スライドには、それぞれの課題も記載しています。まず、ひざの大切さが認知されていません。その次の段階では、痛みを我慢したり放置したりしてしまいます。そして、治療の選択肢が限られていたことです。今まではヒアルロン酸を打ち、打ち続けて治らなかったら手術という選択肢しかありませんでした。
また、治療の分断として、「手術をする場合、このクリニックではできないため、あちらの病院に行ってください」ということがありました。このような課題を「ひざジャーニー」としてあらためて定義したのが、このスライドになります。
日根野:偶然ですが、つい数日前、私も「あれ、ひざ痛いかも?」と思うことがありました。朝起きた時や階段を登る時に、左足のひざが「なんだか痛いかも?」と思ったのですが、表の左から2番目の状態に当てはまりますね。
林:そうですね。まさに違和感というところです。
日根野:実は私も課題を抱えていましたね。
林:まさに課題を抱えていますね。当事者として聞いていただければと思います。
日根野:わかりました。どうしたらいいのですか?
林:これまで我々は、「少し痛みがあるかも」という方にはアプローチしてきませんでした。あくまでも治療の選択肢を増やすことに取り組んできたため、クリニックに行った方へ再生医療という選択肢を提案できるように、いろいろなクリニックに営業をかけていました。
これからのセルソースに求められる役割
林:ひざに関してさらにいろいろな領域で貢献できるのではないかと考えています。日根野さまがお話ししてくれたのは、まさに「早期発見」のところです。クリニックに来た時点で、かなり症状が進行している方が多いです。
「そもそもひざはケアするもの」「痛みを感じている時点で症状が進行している」という知識がないと、クリニックに行けません。まずはクリニックに来てくれないと、我々の治療を受けられないため、さらに早い段階で受診してさらに早く発見しようという働きかけを行っていけると考えました。
そして、病院に来た後もシームレスな治療を提供したいと思っています。我々は再生医療のメニューを提供していますが、その説明は先生によったり、人工関節のつなぎ目が病院とクリニックの関係によったりしているところを、さらにつなげることができるのではないかと考えました。
加工受託業者というだけではなく、ひざに寄り添う会社としてさらに貢献できるのではないかと考えたのが、新しいビジョンになります。
日根野:私のようにあまり自覚がない人を啓蒙していくイメージですか?
林:そのとおりです。
『医療機関への実装』から、本格的な『社会への実装』フェーズへ
林:今までは「to Doctor」として医療機関への実装を行ってきました。医療機関で再生医療を受けられる環境を作ろうと、この9年は医療機関の整備に励んできました。これを踏まえ、生活者にさらに寄り添い、再生医療を真の意味で広げるためには、どうしたらいいのかとあらためて考えた結果、PHASE2に取り組んでいこうとしています。
「to Consumer with Doctor」「to Consumer with Business」とスライドに記載しているとおり、ドクターや他の企業と一緒にConsumerに向かっていきます。今まで医療機関に向かっていたところを、生活者に向き合うことに大きく転換しようとしています。
日根野:医師への情報発信から私のような個人のConsumerに向かうということですね。
林:おっしゃるとおりです。社会で再生医療が普及し、ひざが痛い人をゼロにするためにはどうしたらいいのかということに取り組んでいくのが、PHASE2となります。
日根野:これは大きな転換ですね。
林:そうですね。澤田が新しく入り、あらためていろいろな医療機関に訪問したり患者さまの声を聞いたりして、本当に必要なことは何かを患者さまの目線で考えた時に出した答えがこれです。
セルソースビジョンまとめ
林:まとめになります。細かいため割愛しますが、今までの選択肢を増やすことから、「ひざの痛みに悩む人をゼロへ」というビジョンを目指して取り組んでいきます。「セルソースビジョン」では、ひざにフォーカスして大きな転換を図りました。
以上が「セルソースビジョン」のご説明になります。
来期を「Year 1」と位置付け、今期はその『型化』の具現化に注力
林:第10期の業績予想と何をコミットメントしていくかについてお話しします。第10期を「Year 0」と位置づけました。「Year 1」が始まる前の「Year 0」です。
これまで「to Doctor」で取り組んできたところから、一気に方針転換してConsumerに向かっていきます。もちろん、ひざという軸は変わっていませんが、方向性を変えたため、ビジネスの型を作るところが始まったばかりだと認識しています。
第10期では、どのようにビジネスを広げていくのかについて、一歩一歩トライアルを踏んで型を作っていこうと考えています。
「Year 1」は「Year 0」を大きく反映させて、スケールアウトさせていくことを考えています。「セルソースビジョン」には将来的な売上高の数字は入っていませんが、「Year 0」が進む2025年10月期中には、3年、5年でどの程度の売上高・利益を目指すのかといった数字を開示したいと考えています。
経営リソース配分の最適化
林:決算説明会で「Year 0」において3つのすべきことへのコミットについてお話ししましたので、そのハイライトをご説明します。
1つ目は、経営リソース配分の最適化です。細かい話になりますので、簡単にご説明します。我々の従業員は151名ですが、今までかなり多くの事業を手がけてきました。加工受託というビジネスモデルで、例えばひざだけではなく、美容、産婦人科、動物、海外展開など、かなりいろいろな分野にトライしました。
しかし、あらためて整理してみたところ、ひざと整形外科にしっかりフォーカスしていこうということになりました。
スライド右側のグラフの青色の部分はお金をかけるところ、オレンジ色の部分はお金をかけないところを示しています。青色の部分のうち、2つは加工受託事業と医療機関支援事業で整形外科に関するところです。
整形外科に特化している、またはそこにしっかり集中していくことが、このスライドからおわかりいただけるかと思います。
セルソースビジョン(再掲):パートナー企業とのつながり強化へ
林:整形外科にどのように注力していくのかをご説明します。こちらのスライドはビジョンの中でもお話しした内容になりますが、ひざの悩みをゼロにするために、医療機関とのつながりを強化していきます。
メインターゲットとする医療機関
林:先ほど細田からもお話ししましたが、これから伸ばしていく必要があるハイブリッド型の整形外科についてご説明します。我々は1,300院以上の整形外科と提携していますが、実はオーダーの8割以上は一部の院からになります。
スライドに記載のとおり、オーダーが8割以上を占めているクリニックを「A」「B」のカテゴリ、最近始めたばかりでオーダー数は少ないですが、がんばっていきたいと思ってくださっているクリニックを「B'」としています。
メインターゲットとする医療機関
林:「A」「B」「B'」を重点注力医療機関として、先生方とかなり密になり、患者さまへの事前説明や伝え方などを一緒に協力して作らせていただく体制を構築しています。
日根野:すでに主だった整形外科とのコネクションはできているため、そこをどんどん深掘りしていき、1院当たりの利用を促進していこうということですね。
林:そのとおりです。まさにこれも第9期までの活動があるからこそできることになります。やはり急に「重点注力医療機関として深くお付き合いさせてください」と言っても、「誰ですか?」ということになってしまいます。
しかし、これまでしっかり加工受託を受け、エビデンスもある中で医療機関との関係性を築くことができ、信頼していただけたからこその協力体制になっていると思います。重点注力医療機関としっかりと進めていきます。
血液由来加工受託件数の今後の見通し
林:血液由来加工受託件数の目標値についてです。スライドのグラフの濃い青色の部分がハイブリッド型医療機関を示しています。2024年10月は月間779オーダーでしたが、2025年10月は1,000オーダーを目指しています。
日根野:かなり伸びる計画ですね。
林:細田の部隊にしっかりがんばってもらおうと思っています。しかし、ここに関してはかなり自信があります。
一つひとつの医療機関とはすでにかなり深いところまでお話ししており、どのようなところに課題があるのかなどはだいたい見えてきています。ですので、かなり自信のある数字となっています。
日根野:先ほどのお話にもあったとおり、ハイブリッド型医療機関は小口での取り扱いになりますが、保険診療だけではなかなか売上が上がらないため、自費診療なども活用して、経営状態をうまく改善していきたいといった課題感があるところになると思います。おそらくお互いの思惑が一致している部分があるのかと思いました。
林:おっしゃるとおりです。これまでの9年間で深い関係ができていますので、お互いに忌憚のない話もすることができます。したがって、かなり深い信頼関係にもとづいたことができているのではないかと思っています。
一方、グラフのグレーの部分は自費診療特化型医療機関を示しています。最初に細田からお話があったとおり、我々のプロダクトをメインに扱っていただいている医療機関です。こちらに関しては、ほぼ横ばいという見通しになっています。
年間累計件数は前年比マイナス1.3パーセントです。スライドのグラフに示しているとおり、2024年10月から2025年10月でハイブリッド型は大きく伸びていますが、自費診療特化型は横ばいとなっています。理由としては、年末年始に数量減などの時期ズレがどうしても発生してくるためです。したがって、全体の年間オーダーはほぼ横ばいとなっています。
自費診療特化型に関しては、ハイブリッド型とはまったく異なるアプローチが必要となってきます。
医療機関とのつながり強化
林:どのようなアプローチを行っていくのかについてご説明します。スライドに、医療機関とのつながりの深め方を4段階に分けて記載しています。
まず、オーダーを受けたら加工受託を行います。次に、それをどのようにクリニックから患者さまに伝えるのか、さらにスタッフをどのように教育していくのかについても支援します。
さらに、集患も支援します。クリニック外にどのように打ち出していくのかを支援するということです。さらに深いところでは、経営のところまで支援させていただきます。このようなつながりの段階があると考えています。
日根野:先生自身は専門家ですので、詳しく製品の良さがわかると思いますが、看護師などのいわゆるコメディカルの方々は、ピンとくる人もいればこない人もおそらくいらっしゃいますよね。そのような方々を教育していくということでしょうか?
林:そのとおりです。特にハイブリッド型医療機関では、先生が患者さまと会話できる時間は、1人当たり3分から5分になります。
患者さまとより長く過ごされるのがやはりコメディカルの方々になりますので、その方々がどのくらい自費診療について理解しているかはとても大事になります。したがって、そこまでしっかりと支援させていただくということです。
自費診療特化型に関しては、院内体制整備支援、集患支援、経営支援を統合して支援していきます。現在、この体制を構築中です。これまではあくまで加工受託業者でしたので、オーダーを受けたら対応するだけでしたが、より深部まで入り、対策を練っていきます。
先ほど加工受託件数は前年比でほぼ横ばいとお話ししましたが、この効果は含めていません。あくまでも現状で進めば横ばいという意味になります。したがって、かなり深いところまで支援を行うことで、予測からの上振れを目指していきます。
ハイブリッド型に関しても、今お伝えしたとおり、より深いところまで支援させていただきます。
NTTドコモとの提携
林:ビジョン実現に向けた先行投資として、2社と連携することを発表しました。まず、NTTドコモとの連携についてです。「dヘルスケア」というアプリを通じて、来院前の患者さまとオンラインでの接点を深めていきます。
日本郵便との協業検討を開始
林:次に、日本郵便との連携についてです。現在、メディカルフィットネスの協業を構想しています。オフラインでも来院前の患者さまとしっかり接点を取り、ひざについてしっかり啓発を行っていこうと考えています。
2025年10月期業績予想:概要
林:2025年10月期の業績予想は、売上高が45億100万円、営業利益が3億7,000万円となっています。
2025年10月期通期業績予想:売上高
林:売上高の内訳です。加工受託サービスで微増、コンサルティングサービス、医療機器販売で大きく増加することを見込んでいます。全体としては3.4パーセントの成長を予想しています。
以上が、第9期の実績、ビジョン、そしてそれに基づく第10期の予想のご説明になります。
質疑応答:整形外科領域以外の事業について
日根野:基本的には整形外科領域に注力するということで、他の事業については縮小まではいかなくても、力を若干弱めるという理解でよろしいのでしょうか?
林:おっしゃるとおりです。整形外科のところにしっかりと注力していく予定です。
日根野:だいぶ深掘りする余地がありそうですからね。
林:そうですね。悩んでいる患者さまの数だけでもかなりの数になりますので、できることはまだまだあると考えています。
質疑応答:海外展開について
日根野:現在は大口でも小口でも国内をイメージしてお話ししていると思いますが、海外展開のイメージはあるのでしょうか?
林:将来的には必ず海外で展開していきたいと考えています。しかし、まだ今ではないと思っています。まずは国内の基盤をしっかりと固めて、型を作った上で、国内のドクターたちの協力を得ながら海外に進出していきたいと思っています。
質疑応答:自費診療の価格について
日根野:「自費診療はどのくらいかかりますか?」というご質問です。私も先生に診てもらうとどのくらいかかるのか非常に気になります。
細田:値づけがフリーですので、血液由来加工受託サービスのPFC-FD療法では、だいたい10万円から20万円の先生方が80パーセントくらいになります。中にはもう少し高い先生もいますが、基本的にはそのレンジ内になります。
日根野:自費診療になりますので、価格は先生が自由に決められるということですか?
細田:そのとおりです。我々が指定してしまうと再販売価格指定になってしまいますので、我々は値づけには関与していません。しかし、一番多い価格として13万円から17万円がボリュームゾーンになっていると思います。
一方、脂肪由来幹細胞加工受託サービスが入ってくると、我々の加工工数も多くなりますので、3桁万円になってきます。したがって、100万円くらいがスタートラインだと思います。
日根野:けっこうよい感じですね。
細田:そうですね。我々は血液の話ばかりしてきましたが、幹細胞に関しての啓蒙も行っていかなければならないと思っています。幹細胞は日々減っていっています。成長因子は幹細胞に働きかけて幹細胞が活躍するものですので、幹細胞が枯渇していると、いくら成長因子を打っても意味がありません。
ですので、幹細胞を付加することは、ある意味で美容に近い観点になると思います。まず自分の体に細胞を蓄え、復活させるという意味では、100万円の価値は十分にあると我々は考えています。
先ほど林からもご説明がありましたが、幹細胞に関しても、ただプロダクトを紹介するというところから、認知を得る、そして理解を得るところまで行っていかなければならないと思っています。
日根野:整形外科の立場からすると、例えば自費診療の13円万から17万円の金額が整形外科に入り、セルソースに加工委託する支払いが経費となり、その差額が整形外科の利益になるという理解でよいでしょうか?
細田:おっしゃるとおりです。
荒井沙織氏(以下、荒井):作ってから1年は保つとのことですが、これは価格のばらつきに関係がありますか? 打つ回数や作る分量の差で価格が変わってくるということでしょうか?
細田:我々がお戻しする量はまったく同じです。先生方がマーケットの環境などを見ながら、マーケティングの観点から値づけしていますので、値づけと我々がお戻しするものはまったく関係ありません。
荒井:ありがとうございます。とても勉強になりました。
日根野:勉強になりますね。
質疑応答:国内外の競合企業について
日根野:国内外に競合企業はありますか?
細田:国外に関してはあまり関係がないと思っています。今は再生医療のルールが国によってすべて違うため、ある意味でそれぞれの国の中での戦いになっています。もちろん国外からプロダクトを持ってきて日本で導入することはあります。しかし、レギュレーションの観点から、いきなり持ってきて売れるようなものではありません。
国内に関しては、今日は時間の関係上説明を省きましたが、PRP療法と呼ばれる血液からよいものを作る治療法があります。これには、その場で作って生で投与する院内PRP型というものがあります。
日根野:整形外科の中で作るのですか?
細田:クリニックの中で作って入れます。大谷翔平さんが打ったのが、このようなものになります。大谷翔平さんのために3時間から4時間かけて作って入れるのはよいのですが、やはり1日に何百人の患者さまが来るクリニックでは、場所もスタッフも足りません。したがって、それをアウトソースして加工受託するのが我々になります。
PRP療法に関しては、すでに5社から7社あります。我々が始めたのもこの業界がすでにあったからです。「そのサービス、アウトソースできますよ」というのが我々の宣伝文句でした。我々は加工受託業者としてはファーストペンギンですが、PRP療法は長い歴史があります。
加工受託としては、主な競合他社は1社です。我々と似たようなアウトソース型の企業です。ただし、そのような企業が何十社もいるという状況ではありません。
日根野:セルソースの立ち位置としては、もともと院内で行われていたことを外注できるようにしていくということですね。
細田:そのとおりです。かつ、フリーズドライして戻すというところが1つのポイントです。
日根野:「いつでも溶かして使ってください」ということですね。そして、そのような外注方式を行っている競合企業は明確に1社あるということですね。
細田:おっしゃるとおりです。
荒井:「ひざの健康の啓蒙活動が必要なようですね」というコメントもあります。
細田:そのとおりです。これを1億2,000万人に行うと、いくらお金があっても足りません。先ほど林が紹介した重点注力医療機関のあるリージョナルに深く行っていただかないと、「ふわっ」と拡散してしまいます。実は今日本で一番1万人当たりのPFC-FD療法投与数が多い場所は、宮古島になります。
日根野:そうなのですね。
細田:銀座でも大阪でもなく、宮古島になります。やはりクローズドだからこそ口コミも広まるということです。啓蒙すると届くという意味では、一つひとつの場所によってマーケティング方法を変え、先生と一緒にマーケティングすることが何よりも大事かと考えています。
細田氏と林氏からのご挨拶
細田:第10期を「Year 0」と位置づけているのは、この前終わった第9期で、株主のみなさまの期待を裏切った数字を出していると考えているためです。したがって、我々としてはコミットメントとしての戦略と数字を出して、まずは必達していきます。そして「あ、セルソース変わったな」と思ってもらえる1年にしていきたいと考えています。
私は加工受託の事業責任者として数字を見せていかなければならないと思っています。「今が買い時だ」と思ってもらえるような成績を出していきたいとも思っていますので、よろしくお願いします。
林:私からは2つあります。1つはお示しした数字の必達です。もう1つは、それを踏まえた中長期的な数字をしっかり出すことです。この2つを今年1年しっかりと取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:日本人以外の顧客の獲得を目指す将来的な計画はありますでしょうか?
回答:いわゆる海外からのインバウンドの利用者については、提携先のクリニックの中には、対応をしているところもあるようです。当社事業の海外展開については「海外展開について」の回答をご参照ください。
<質問2>
質問:再生医療における課題はあるのでしょうか。あれば、その内容とどう対処して解決していくのかを教えてください。
回答:再生医療は日々進化している領域であり、法規制などの変化に常にキャッチアップする必要があります。この課題に対し、セルソースは医療法規の専門人材を社内に擁し、常に最新の規制動向を把握しています。
さらに、海外を含めた最新のエビデンスを収集する専門チームを設置し、グローバルな視点で技術革新や規制環境変化の動向を収集、技術開発やサービス向上に役立てています。
こうした体制を整えていることが、当社の強みでもあります。
<質問3>
質問:直近の決算短信において、滑膜由来幹細胞加工受託サービスについて社会実装の難易度を再評価し、当初見込まれた売上達成が困難であると判断したとありますが、こちらについて詳しく教えてください。
回答:当サービスの医療機関における導入について、オペレーションの複雑さや、UI/UXでの課題である、施術にあたる患者の通院回数が多いこと、価格帯が⾼いことにより、社会実装が難しいことを再評価しました。
その結果、収益⾒通しを⼤幅に下⽅修正することが最も健全な財務諸表になるとの判断に⾄りました。監査法⼈との協議も経て、我々としても最も適切な会計処理であると判断しました。
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