サプライズはトランプ候補の当選

著者:川島寛貴
投稿:2016/11/08 16:45

支持率では拮抗も選挙人予想では圧倒的ヒラリー候補が有利

各メディアや予想媒体の最終予想が出てきておりますが、事前予想では支持率はヒラリー候補が3,4ポイントリード。
獲得選挙人予想になると、およそ7対3でヒラリー候補が圧倒的有利となっています。

特に、過去2回の大統領選挙で予想精度に定評があるFiveThirtyEightでは、ヒラリー候補の勝率が70%となっています。

隠れトランプ氏が多く、数ポイントの支持率では分からないといわれている今回の大統領選挙ですが、これらのデータを見る限りトランプ氏当選は難しそうです。

ヒラリー氏勝利に目新しさはなし

今のところヒラリー候補の勝利がセオリーですので、インパクトはトランプ候補勝利による下落リスクが圧倒的に大きくなっています。

ヒラリー勝利の場合は、本日のポジションの巻き戻しも考えられることから、マーケットは安心感での上昇余地しかないということも考えられます。
直近の経済指標やヒラリー氏の中間層に対しての増税案を考えると、最悪の場合は選挙日高値ということも考えられます。

この場合、年末の日経平均は今と同レベルである17,000円程度を予想します。
ドル円もほとんど変わらない104-105円というイメージです。

トランプ候補の当選を期待したい

筆者は米国中間層の不満感と、世の中を大きく変えるかもしれないという期待を込めて、トランプ候補の当選を予想します。

ただ、トランプ勝利となった場合、最初の方向性としては下落で反応するでしょう。
日経平均は、最近で一番の下落を演じる可能性を考えると500円以上下落してもおかしくありません。一部の証券会社では、ブレグジットと同レベルである1000円以上の下落を予想しています。

為替に関しては、本日大手証券会社はドル円が99円台に突入するとの見解を示しました。これは、トランプ候補の強烈な円安批判が根拠なのではないでしょうか。
同氏の「中国と日本、メキシコをやっつける」という演説を何度となく視た方もいるかと思います。

ただ、個人的にはドル円が1日で5円も下落するイメージはありません。
ブレグジットの際には、ポンド円の下落でドル円が大きく引っ張られたことが円高に拍車をかけました。それでも下落幅は瞬間的な安値を除くと5円程度。今回、1日で下落する幅は、せいぜい3円程度となる101円台までではないでしょうか。

トランプ候補が当選後にどんなコメントを出すかにより左右されるところも大きいと思いますが、値動きのイメージとしてはブレグジットの当日より値幅が小さいといったところでしょうか。

相場に関して悪いイメージのあるトランプ候補ですが、経済政策ではヒラリー候補より効果的であるように思えます。
同氏の経済政策では、減税・消費喚起・賃金の上昇、インフレ率の上昇に繋がることから、米国株にとってはプラスに働きます。

米国株に引っ張られるかたちで、日本株はじわじわ上昇するのではないでしょうか。
ドル円は難しいところですが、100円は割り込まないイメージ。昨年からすると大きな円高となっていることから、批判も少ないとみて、利上げに向けて上昇し、その後少し押し戻されて年末を迎えるイメージです。

■年末予想
日経平均:18,000円  高値は18,500円
 ドル円:105-6円    高値は108円
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想