FBIの調査が長引くと、混迷からリスク回避への心構えも必要 トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2016/10/31 11:05

■サポートラインを下割れすると103円も視野に

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■先週末は、注目された米7-9月期GDP速報値が発表され、予想値を大幅に上回り前期比2.9%増となりました。
この結果は2年ぶりの高い水準となり、年内利上げを後押しした格好となりました。

しかし、その後FBIはクリントン氏が国務長官時代に私的な電子メールを使っていた問題をめぐる調査を再開した報道で、大統領選に対する混迷からリスク回避の展開となり、104円台まで下落しました。


■さて、大統領選を控えこのクリントンメールリスクが一つの大きなポイントになりそうです。
あと残りわずかのところでこのような事柄を見にするとは思いもよらないサプライズであり、異常ともいえます。
もしFBIの調査が長引くようであれば更なる混迷からリスク回避となりことは必至です。

少し前まではトランプ氏のスキャンダル問題が前面にテレビ討論会でもクリントン氏優勢と言われ、市場も油断したところではありました。

しかし、どうでしょう‥

冷静に見ればFBIを絡めた問題の方がスキャンダル問題と比較すれば比べ物にならないほど重大な問題です。その点を考慮すれば捜査に時間がかかるほど、クリントン氏の支持率は落ちるとみています。


■いずれにしても大統領選でどちらかが選出されるわけですが、どちらになっても保護主義的な面は多く見えるので、年内に向けて一気にドル買いが加速する環境にいないとみています。
既に年内利上げは織り込み済みのところも多く、むしろ次の利上げはいつ‥?といったイメージの方が市場は日増しに要求してくると思います。

また、ユーロやポンド、中国リスクからドル買いに一時的に入っているものの、今後はこのドル高けん制発言がいつ出てもおかしくない環境とみています。特に7-9月期のGDPは輸出や在庫処理もあって大幅なプラスとなったが、個人消費に関してはそれほどでもないことをみれば、持続的に成長できる環境でないとみています。


■そして、シカゴ日本円のポジションも円買いが一時、縮小したものの、先週は再び、増加していることもあって、このドル円も調整に入る可能性はありそうです。

更に、短期的にドル円のトレンドを強くしていた裏の立役者、NY原油も週末イランとイラクの減産協議も物別れとなったこともあり、来月末のOPEC総会も不透明感が台頭し、調整局面に入る可能性もあるので、株安からリスク回避も視野に入れたトレードを心掛けたいです。


■最後に、本日のドル円です。

4時間足ベースでは大陰線となり、後味の悪い展開となっています。9月27日からきれいな上昇トレンドとなっています。それと同時にサポートラインもきれいに切りあがっています。
しかし、このサポートライン(10月28日現在:104.50円)を割り込むようであれば、103円台も視野に入れる必要がありそうです。

■その意味では、安易に押し目買いを行くより、104.50円で逆指値での売りポジションをもって仕掛けてみたいと思っています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想