BOEは3極同時緩和の尖兵に?「ヘリマネ」はポリシー・ミックスの一要素?

著者:津田隆光
投稿:2016/07/14 17:41

今夜、注目の英金融政策員会

これからの注目は本日日本時間20時に公表されるBOE(イングランド銀行)政策金利発表。
カーニーBOE総裁は、英国民投票によってBrexit(英国のEU離脱)が決定された後の6月30日のコメントにおいて、「(Brexitの影響に対処するため)BOEはおそらく数ヵ月の内に金融政策を緩和する必要がある」「英経済や金融システムを守るための行動について躊躇しない」「銀行への流動性供給オペを月1回ではなく、毎週実施する他、“他の多数の措置”を検討する」といった発言をしています。
額面通りに受け取ると、本日会合での利下げは概ね既定路線と取れそうですが、それ以外に新たな施策やヒントが出てくるのでしょうか。

ちなみに本日のMPC(金融政策委員会)において利下げする確率は、昨日時点のOIS(翌日物スワップ)から算出した数値では82%となっている中、BOEの方向性がさらなるポンド安と日欧の金融緩和政策へのトリガーとなり得るのかどうか。大いに注目が集まります。

その英国では、テリーザ・メイ氏が故サッチャー氏以来となる英国史上2人目の女性首相となることが決定しました。早速組閣人事に着手し、外相にかつての首相候補であったボリス・ジョンソン氏を任命するというサプライズ人事も。(就任要請を受けてしまうジョンソン氏にもびっくりしてしまいますが・・・。)

その他では、キャメロン政権時の外相であったハモンド氏を財務相に、新設のEU離脱担当相に離脱派のデービス氏を任命。英国の政治空白化懸念の後退は、Brexitの余波を受けて動揺したマーケットに対してはひとまず安心感を与えることになりそうです。
いずれにしても、本日のBOEの決定は次週のECBや月末の日銀会合に対して影響を与えることは必至。7月には3極(BOE,ECB,BOJ)同時緩和の可能性もある中、まずは本日のMPCには要注目です。

「ヘリマネ」はポリシー・ミックスの一要素?

そんな中、バーナンキ前FRB議長の参院選後というタイミングでの来日と、黒田日銀総裁および安倍首相と会談したことが「ヘリコプター・マネー」に対する憶測を生んでいるのも事実。
バーナンキ前FRB議長の来日の目的は、本日行われる資産運用会社の講演とのことですが、単なる表敬訪問で参院選において圧勝した安倍首相や28-29日に日銀会合を控える黒田総裁と会うとは到底考えられず、何らかのポリシー・ミックスが実施されるであろうというのが妥当な線なのかもしれません。

その結論は29日を待つしかありませんが、期待感の大きさ=失望の大きさとなることも考慮に入れつつ、ドル/円や日経平均は「Sell the fact」を座標軸とした戦略を立てた方が無難なのかもしれません。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想