「SQ算出後に失速、弱気形状を維持」

著者:黒岩泰
投稿:2016/05/14 08:36

「そーせい好業績見通しで、新興株は猶予期間」

 本日の日経平均は234.13円安の16412.21円で取引を終了した。買い一巡後は一気に売り圧力が強まり、上昇幅を縮小させる展開。引けにかけては一段安となり、リスク回避姿勢が強まった。

 寄り付きは予想外の上昇となった。日経平均が16800円台で寄り付くなど、波乱の展開となった。本日は5月限ミニ先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出日。寄り付きで思惑的な買いが入り、相場が吊り上がった。しかし、SQ(16845.67円)算出後は、目標達成感から上昇幅を急速に縮小させる展開。先物やオプションの損益が確定したことから、ポジションを元に戻す動きが強まった。

 日経平均の日足チャートでは、大陰線が出現。強い売り圧力を示唆しており、上値余地の乏しいことを示している。「日銀ゼロ回答ショック」で空けた窓(16357.10円-16652.74円)をすべて埋めており、強い達成感が出ている。上値余地はほとんどなく、そういった意味でも下落しやすい需給であると言える。軸の傾き(下向き)にしたがって動いたということであり、来週はさらに下押しすることになりそうだ。

 足元で株価が堅調に推移していたのは、麻生財務相が出来もしない為替介入を可能性として含みを持たせたからだ。市場参加者の多くは足元の円高を「急ピッチ」と考えており、「当然、為替介入もありうる」と思っている。

 しかし、実際には先のG20会合で、為替操作しないことはコンセンサスとなっており、米国からも「為替操作国」のレッテルを貼られかねない状況となっている。もちろん、この動きは「表面的」「建前」なのだが、「今はその時期ではない」のは明らかだ。ドル・円相場の適正レートは、自己分析によれは1ドル=93円程度。ファンダメンタルズ面でさらに円高が進みやすくなっており、1ドル=108円レベルでの介入にはほとんど効果がない。逆に投機家に絶好の円の売り場を与えることになり、金融当局のメリットはほとんどないだろう。やはり介入のタイミングは1ドル100円割れの水準。そのとき初めて、実質的な米国債買いである為替介入を検討することになる。もちろん、属国日本が宗主国のために米国債を買い支えるという構図であり、「ドル救済策」の一環だ。

 なお、大引け後に発表されたそーせい(4565)の業績見通しは、なかなかの内容であった。今期3月期の営業利益は170億円程度に増加する見込みであり、週明けの株式市場ではこれを素直に好感する流れとなりそうだ。マザーズ銘柄の代表格が堅調に推移すれば、その他のバイオ関連、他のテーマ株にも好影響が波及しやすい。日経平均の方向性は「下向き」だが、個人投資家はこうした小型材料株で稼ぐしかないだろう。もちろん、全体相場が下げ足を速めれば、遅行してこれら材料株にも売りが出てくる。それまでの「猶予期間」ということになる。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想