「膠着感強い、こんなときに有効な戦略とは?」  

著者:黒岩泰
投稿:2016/03/26 10:22

「ウィークリーオプションを使った投資戦略」

 本日の日経平均は110.42円高の17002.75円で取引を終了した。朝方から堅調な動きとなり、じりじりと上昇幅を拡大させる展開。昨日のようにゴールドマンサックスによる大量のTOPIX先物売りがなかったため、全般的に上昇しやすい地合いとなった。高速道路の制限速度引き上げや、日産自(7201)の自社株消却発表などで自動車株を物色する流れ。市場全体のセンチメントを改善させる要因になった。

 日経平均の日足チャートでは、下影陽線が出現。短い下ひげが出現しており、押し目買い意欲の強さを示している。
 しかし、「窓・壁・軸理論」における強弱の分岐ラインは、前回の窓上限(17149.21円)。これを終値ベースで突破するまでは、弱気相場は継続となる。相変わらず17200円台には「ファンダメンタルズの壁(割高の壁)」が位置しており、これが執拗に上値を抑えることになりそうだ。

 チャートが膠着感を強めるなか、来週の火曜日にはいよいよ「権利落ち」となる。日経平均では135円程度の配当落ちが予想されており、その分だけチャートは弱くなる。足元の堅調な値動きは、「期末の権利取り」の動きも加わっており、そういった意味で権利落ち後は軟調に推移する可能性が高いだろう。チャートは下方の窓(16099.42円-16388.92円)を埋めることを示しており、短期的には900円程度の下落余地がある。

 最近のように相場が動かなくなると、投資家は銘柄選択に苦慮する。なぜならば、「当たりハズレ」が大きくなり、個別銘柄への投資そのものがリスキーになるからだ。

 そんなときにオススメしたい手法が、「ウィークリーオプションを使った売り戦略」である。最近は株価の値動きも落ち着いており、プレミアムを比較的簡単にとりやすい。相場が膠着感を強めれば強めるほど、儲かりやすいというわけだ。
 ウィークリーオプションが取引出来る証券会社は複数存在している。楽天証券やSBI証券などだ。通常の(マンスリーの)オプションは、満期が毎月第2金曜日だが、このウィークリーオプションは毎週金曜日にSQ算出日(清算日)を迎える。つまり、毎週利益が出るチャンスがあるというわけだ。

 たとえば、今週の月曜日に、3月第4週の16875コールを1枚、180円で売ったとしよう。このポジションの損益分岐点は17055円となる。つまり、SQ(特別清算指数)が17055円以下であれば利益が出るというわけだ。ちなみに、もしSQが16875円以下となれば、1枚当たり18万円の利益が出ることになる。非常に勝ちやすいことが分かるだろう。

 そしてその翌日、火曜日に今度は17000円のプットを1枚、85円で売ることになる。この2つのポジションを合成すると、損益分岐点は上が17140円、下が16735円となる。ちなみに最大利益となるのは16875円から17000円の間で14万円となる。つまり、相場が動かなければ「勝ち」となる。実際、今週のSQは16943.93円で決まっており、14万円の利益を得ることができた。これで3週連続の勝ちだ。

 それではなぜ、マンスリーではなくウィークリーを選択するのか?それはオプションの売りは、満期直前が一番「オイシイ」からである。

 オプション価格(プレミアム)というのは、基本的に「本質的価値」と「時間的価値」によって構成されている。「本質的価値」というのは、仮に日経平均がまったく動かなかった場合でも残る価値のこと。それに対して「時間的価値」というのは、時間が経過すれば(SQ算出日になってしまえば)消滅する(ゼロになる)ものである。だから、そのオプションの「売り」をやれば、「毎週」その時間的価値の分だけゲットしやすくなるのだ。

 現在、オプション価格から算出される予想変動率(インプライド・ボラティリティ)は19%程度。今後、一段と低下する局面においては、必然とこの戦略は勝ちやすくなるだろう。当然、予期せぬ上昇・下落に見舞われることは十分に考えられる。しかし、その後は再びボラティリティが低下することが予想され、もし、損失を被ったとしても、余りある利益が獲得できると思われる。理論上ではそうなっている。オプションの売り方というのは、ギャンブルでいえばある意味「胴元」。多少のリスクはあるが、長い目でみれば、すこぶる勝ちやすい投資手法であるといえるだろう。

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想