「伸び悩んだものの、週末のG20では好材料か」

著者:黒岩泰
投稿:2016/02/27 08:29

「短期的には上方の窓を目指す」

 本日の日経平均は48.07円高の16188.41円で取引を終了した。朝方は米株高、原油高などを受けて買い先行となったものの、買い一巡後は上値の重い展開。高値近辺での上値の重さを示している。

 引けにかけて伸び悩む展開となったのは、本日が週末ということと、中国で開催されるG20の内容を見極めたいという見方からだろう。投資家がリスク回避の動きを強めたことで、上昇幅が縮小したとみられる。また、寄り付きで窓が空いたことで、この窓が株価を引き寄せた公算が大きい。これは「需給的な要因」と理解できる。

 日経平均の日足チャートでは、着実に上値を切り上げる動き。やや上値の重い展開となったものの、強気相場は継続している。15800円付近に「壁」が位置している可能性が高くなっており、これは「ファンダメンタルズの壁(割安の壁)」であると思われる。短期的には上方の窓(17515.68円-17684.66円)までの上値余地があり、売り方は急速な踏み上げに注意する必要がある。

 現在の株価が強気形状ということは、G20で何らかの国際協調があるということなのだろう。なぜならば、株価はイベントを前倒しで織り込む習性があり、足元の株高はG20で好材料が出ることを暗に示しているからだ。もし、市場が驚くような材料が発表されれば、株価は一気に騰勢を強めてもおかしくない。2月前半の下落が急ピッチだっただけに、その反動が出てくることになる。

 だが、中長期的にみれば、世界経済の減速、金融不信の流れに変化はないだろう。中国バブルの崩壊、実態を無視した米国の利上げ、そして国内では日銀の金融政策が事実上の「機能不全」に陥っている。金融危機が発生する土壌は整っており、今は「キッカケ待ち」の状態だ。足元のチャート形状からポジションは「買い」を維持しなければならないが、何かしらの怪しげな材料が出てきて、相場が崩れるような事態となれば、即座に売りポジションに転じなければならない。スピード勝負の時代であると言えよう。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想