「窓を空けて下落、再び弱気相場が鮮明に」

著者:黒岩泰
投稿:2016/02/20 12:38

「選挙=為替介入というイメージ」

 本日の日経平均は229.63円安の15967.17円で取引を終了した。米株安を受けて売り先行となったあとは、さらに下値を試す動き。しかし、引けにかけてやや下げ渋っており、相場の底固さが目立った。

 しかし、日経平均の日足チャートでは、窓を空けて下落。再び弱気相場が鮮明になっており、一気に先安観が強まっている。引けにかけて下げ渋ったのは、日銀ETF買いの影響もあったのだろう。個人投資家は積極的に押し目を拾った雰囲気もなく、チャートの弱気形状は継続している。週明けは改めて下値を試す動きとなりそうだ。

 「窓・壁・軸理論」では16300円付近に「ファンダメンタルズの壁③」が確認されている。この水準では「株価は割高」と判断され、執拗な売りが出てきやすい。投資家の一部は「下落相場は終了」と確信しており、本日の下落は、「急騰に対する反動」と割り切っている。しかし、チャートはこの間、ず~っと弱気形状であり、外部環境に何も変化はない。再びジリジリと円高・原油安が進めば、日経平均は自然体で下落することになるだろう。恐怖のシナリオはまだ続いているということだ。

 最近、気になったニュースは、兵庫県警が小保方氏を参考人聴取した話である。マスコミは「参考人聴取=犯罪人」というイメージで報道するが、実際には任意で事情を聴かれただけ。「ES細胞の窃盗犯は誰なのか」ということである。

 一連のニュースで思うことは、小保方氏の暴露日記「あの日」にも書いてあったが、彼女が犯人に仕立てられ上げたということ。どう見ても彼女が極悪人には見えず、正直に話しているようにしか思えない。犯罪人特有の「目が泳ぐ」ということもなく、純粋に「STAP細胞」の存在を信じているようだ。それでは、いったい犯人は誰なのか―。

 あえて名前は挙げないが、恐らく「STAP細胞の協力者」なのだろう。彼がハシゴをはずしたことで、これまで作製できていた「STAP細胞もどき」が作れなくなってしまった。それは完全なる事実である。

 そしてもうひとつの見方が、STAP細胞は本当に存在していて、それを潰す勢力にヤラれたというストーリーだ。その権力者によって小保方氏がハメられ、論文撤回、特許取り消しなどの措置が取られた。時が過ぎるのを待って、同様の「万能細胞」が出てくれば、それは「STAP細胞の焼き直し」ということになる。その場合は外国勢力が日本から新技術・権益を奪い取ったという構図になり、日本にとって損失だったということになる。

 あとは、単に株式市場を使って、「バイオ関連株でひと儲け」なんていうシナリオもあるだろう。事実、STAP細胞が発表された直後は、関連とみられる銘柄が軒並み高となった。ここで政治資金なるものが稼がれていたのであれば、それこそ由々しき問題だ。甘利氏の口利き問題と同様、徹底追及される事象であると考える。

 そして、株安が進行するなか、ジリジリと政権支持率が上昇するという“妙”――選挙が近いということもあるが、政権傘下にあるマスコミ群は清原覚醒剤事件などで、スキャンダルの隠蔽に必死となっている。日銀によるマイナス金利導入も“思惑外”の動きになっており、いよいよ「為替介入の出番」が近づいているようだ。5頭だか7頭だかのクジラの弾も尽き果てており、実質“血税”での米国債買いが始まる。投資家にとって喜ばしい事態となりそうだが、これは「日米財政一体化」という毒薬でもある。TPPにはまさにこの毒薬条項(ISDS条項)が仕込まれており、結果的に日本の資産・権益が米国勢に奪われることになりそうだ。為替介入によってこの構図にさらに拍車が掛かることになり、それは1ドル=100円前後で発動されることになるだろう。投資家は「選挙=為替介入」ぐらいのイメージを持っておいても良い。もちろん、そんなことでこの下落相場が止まるわけがないのだが・・・。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想