「久々に聞く言葉、北朝鮮から飛翔体」
本日の日経平均は225.40円安の16819.59円で取引を終了した。売り一巡後はやや下げ渋る動きもみられたが、積極的な買いは入らず、終始マイナス圏での推移。材料株を中心に値崩れした。
日経平均の日足チャートでは、窓を空けて下落。ローソク足では下ひげが出現したものの、強い調整一巡感は出ていない。弱気相場は継続していると見るべきであり、下値模索の動きは避けられないだろう。日銀がマイナス金利を発表してから一週間。投資家の中央銀行に対する期待は低下しており、見切り売りの動きを加速させている。そして今晩は米雇用統計。波乱の週末を迎えそうだ。
米雇用統計で注目されるのが、その数値を受けて、利上げ観測が後退するのか否かである。足元では中国景気の減速、そして原油安など、世界中でリスク回避姿勢が強まっている。FRB内部でも利上げペース鈍化を主張するメンバーもいるほどであり、「順調な利上げ」が難しくなっている。もし、米雇用統計を受けて「利上げ困難」という認識が強まれば、為替相場は円高方向に動くだろう。その場合、日本株に対しても強い下落インパクトを与えることになり、週明けの株式相場は大波乱となる。それなりの覚悟をしておいた方が良さそうだ。
そして気になるのが、最近のメガバンクの動き。先週末の「マイナス金利」発表以降、収益悪化懸念が嫌気されている。最近こそ「シャープのホンハイによる救済報道」によって、銀行の債権放棄が免除されるとの思惑があったが、それもやや不透明な状況。再々逆転で産業革新機構による救済が決定する可能性も残されており、その場合には銀行団は多額の債権放棄を迫られるだろう。
さらに銀行にとって厄介なのが、BIS(国際決済銀行)によって規制が強化されるというもの。「滅多に起きない事象(テールリスク)に対しても引当金を積む必要がある」とされており、銀行自体がリスクを取れない状態に追い込まれそうだ。日銀の「マイナス金利導入」で、金融政策はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態。銀行の立場では「前門の虎、後門の狼」となっており、「進むも地獄、退くも地獄」となっている。将来的な収益悪化懸念が強まっており、それが全体相場を押し下げる要因にもなっている。
今の金融政策がなぜ「アクセルとブレーキ」なのかを説明したい。それは日銀が金融市場にお金を流す場合、これまでは「マネタリーベース」を基準としていた。マネタリーベースとは、世の中に出回っている現金、それに日銀当座預金を加えたものの。日銀当座預金を増やせば、その影響でマネーストック(昔の言い方で言えば、マネーサプライ)が増えるとされてきた。なぜならば、預金準備制度によって市中銀行は日銀当座預金に自行の預金の一定額を預ける義務があるからだ。当然、この「自行の預金」の裏側にあるのは、「他行の融資」である。逆の言い方をすれば、他行で融資が増えれば、自行の預金が増える仕組みであるとも言える。これが繰り返し行われることによって、いわゆる「信用創造」というものが行われる。誰かがお金を借りれば、それが銀行システムを通じて、一定の倍率になって増えるという仕組みである。だから、日銀がマネタリーベースを増やすと、自然とこの信用創造の仕組みが働き、世の中のお金、いわゆる「マネーストック」が増えることになる。これで景気が良くなる、というわけだ。
しかし、今回のマイナス金利の導入によって、市中銀行は日銀当座預金を積み増すインセンティブがなくなってしまった。なぜならば、積めば積むほど、金利負担が増えるからである。 なので、そのお金を企業などの融資に回せば、景気が良くなる。そう日銀が言うのである。
これまでは「マネタリーベース」を増やすことが日銀の金融緩和政策だったのに、急に「そうではない」と言われてしまったのである。だから、困惑するのである。「信用創造」という金融メカニズムを否定したことにもなり、そういった意味で投資家たちは「未知の領域」に誘われた。やはり日銀が期待しているのは「為替へのインパクト(円安)」であり、その結果での「株高」ということになる。同時に「安倍政権べったりの黒田日銀」を証明したことにもなり、直近の審議委員交代で「安倍・黒田寄り」の人物を登用したことも頷ける。これは「ドル防衛」を標榜するNYに拠点を置く金融支配者に配慮したもの。今晩の米雇用統計はどのような数値となるのか――。もちろんこの指標はある数値モデルを使った鉛筆ナメナメのもの。為政者が恣意的操作の出来るものであり、信頼性はかなり乏しい。問題なのは、その雇用統計を使って、相場をどの方向に誘導するのか―そこが最大の注目点となる。あと、「北朝鮮から飛翔体」という久々に聞く言葉にも注意をしておきたい。「飛翔体」が妙な動きをすれば、株式市場は即座に震撼する。
日経平均の日足チャートでは、窓を空けて下落。ローソク足では下ひげが出現したものの、強い調整一巡感は出ていない。弱気相場は継続していると見るべきであり、下値模索の動きは避けられないだろう。日銀がマイナス金利を発表してから一週間。投資家の中央銀行に対する期待は低下しており、見切り売りの動きを加速させている。そして今晩は米雇用統計。波乱の週末を迎えそうだ。
米雇用統計で注目されるのが、その数値を受けて、利上げ観測が後退するのか否かである。足元では中国景気の減速、そして原油安など、世界中でリスク回避姿勢が強まっている。FRB内部でも利上げペース鈍化を主張するメンバーもいるほどであり、「順調な利上げ」が難しくなっている。もし、米雇用統計を受けて「利上げ困難」という認識が強まれば、為替相場は円高方向に動くだろう。その場合、日本株に対しても強い下落インパクトを与えることになり、週明けの株式相場は大波乱となる。それなりの覚悟をしておいた方が良さそうだ。
そして気になるのが、最近のメガバンクの動き。先週末の「マイナス金利」発表以降、収益悪化懸念が嫌気されている。最近こそ「シャープのホンハイによる救済報道」によって、銀行の債権放棄が免除されるとの思惑があったが、それもやや不透明な状況。再々逆転で産業革新機構による救済が決定する可能性も残されており、その場合には銀行団は多額の債権放棄を迫られるだろう。
さらに銀行にとって厄介なのが、BIS(国際決済銀行)によって規制が強化されるというもの。「滅多に起きない事象(テールリスク)に対しても引当金を積む必要がある」とされており、銀行自体がリスクを取れない状態に追い込まれそうだ。日銀の「マイナス金利導入」で、金融政策はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態。銀行の立場では「前門の虎、後門の狼」となっており、「進むも地獄、退くも地獄」となっている。将来的な収益悪化懸念が強まっており、それが全体相場を押し下げる要因にもなっている。
今の金融政策がなぜ「アクセルとブレーキ」なのかを説明したい。それは日銀が金融市場にお金を流す場合、これまでは「マネタリーベース」を基準としていた。マネタリーベースとは、世の中に出回っている現金、それに日銀当座預金を加えたものの。日銀当座預金を増やせば、その影響でマネーストック(昔の言い方で言えば、マネーサプライ)が増えるとされてきた。なぜならば、預金準備制度によって市中銀行は日銀当座預金に自行の預金の一定額を預ける義務があるからだ。当然、この「自行の預金」の裏側にあるのは、「他行の融資」である。逆の言い方をすれば、他行で融資が増えれば、自行の預金が増える仕組みであるとも言える。これが繰り返し行われることによって、いわゆる「信用創造」というものが行われる。誰かがお金を借りれば、それが銀行システムを通じて、一定の倍率になって増えるという仕組みである。だから、日銀がマネタリーベースを増やすと、自然とこの信用創造の仕組みが働き、世の中のお金、いわゆる「マネーストック」が増えることになる。これで景気が良くなる、というわけだ。
しかし、今回のマイナス金利の導入によって、市中銀行は日銀当座預金を積み増すインセンティブがなくなってしまった。なぜならば、積めば積むほど、金利負担が増えるからである。 なので、そのお金を企業などの融資に回せば、景気が良くなる。そう日銀が言うのである。
これまでは「マネタリーベース」を増やすことが日銀の金融緩和政策だったのに、急に「そうではない」と言われてしまったのである。だから、困惑するのである。「信用創造」という金融メカニズムを否定したことにもなり、そういった意味で投資家たちは「未知の領域」に誘われた。やはり日銀が期待しているのは「為替へのインパクト(円安)」であり、その結果での「株高」ということになる。同時に「安倍政権べったりの黒田日銀」を証明したことにもなり、直近の審議委員交代で「安倍・黒田寄り」の人物を登用したことも頷ける。これは「ドル防衛」を標榜するNYに拠点を置く金融支配者に配慮したもの。今晩の米雇用統計はどのような数値となるのか――。もちろんこの指標はある数値モデルを使った鉛筆ナメナメのもの。為政者が恣意的操作の出来るものであり、信頼性はかなり乏しい。問題なのは、その雇用統計を使って、相場をどの方向に誘導するのか―そこが最大の注目点となる。あと、「北朝鮮から飛翔体」という久々に聞く言葉にも注意をしておきたい。「飛翔体」が妙な動きをすれば、株式市場は即座に震撼する。